猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

確定

ちぎればなれになるのは 目に見えている 煮込みすぎたシチュー 理解が深まりすぎた恋人ら 愛の消えた家族 わたしの心 ちぎればなれになるのは 目に見えている 素敵に編んだセーター 食べ散らかしの菓子パン 読みかけの古本 わたしの最期

blog3本

他でも書いたように思うが、改めて。 現在、blogを3本運営している。 正確には4本だが、うち1本はamebloで、たまにお知らせめいたリンクを貼るぐらい。ほとんど更新していない。 「いいね」「コメント」「メッセージ」などの機能は全てオフにしている。 …

憎々しげにあるいは楽しげに

ごっごっごっ しゃーっしゃーっ しゃりしゃりしゃりしゃり とん! とんとんとんとん 独特のリズムを刻みながら 女は歌う 皮を剥いで〜ぶっ叩いテェ〜刻んでぇ〜 邪悪な祭りのように どこか憎々しげにあるいは楽しげに 連れ合いの帰りが遅いとき 自分ではない…

旅か移動か

「集団に属する」「何らかのグループに参加する」「イベントに出かける」ことには、大人になっても不慣れなままだ。信頼できる人間と一緒に参加していたが、この数年「禍」もあり、それぞれの暮らし・都合も変わってきた。 筆者も、「誰にも知らせず約束もせ…

猫は金色

冬ひなた 猫は金色集めて眠り 寄り添う尻尾に恋をする

持ち歩けるくらいでいいよ

このところは 雨ばかりだなんて 素敵な歌が流行っていた頃 あたしたちは幸せごっこにさえ飢えていた ほんとは 持ち歩けるくらいで ほんのり微笑みが頬に宿るくらいで 隣り合わせの誰かが ほんのりあったかくなるくらいで ちょうどいいんだ 幸せも大好きも あ…

揺れ

「おっと」 ごく小さな段差を車が踏んだ 拍子に揺らいだ指先が 画面のどこかを踏んだらしく ずらり並んだアプリが ぷるぷると震え出した 運転中の男友達が 平気か?と前を向いたまま訊くので 平気だよ、と返し また画面に目を落とす 使ってないものもずいぶ…

未来は途方がないのに過去に頼りすぎる

未来は途方がないのに 過去に頼りすぎるきらいがある その癖をなんとかしたくて 生きているのかもしれない などと思う 死を闇と見るか光と見るかは それぞれであろうが いずれは行き着くのであれば 無理にこじ開けなくてもという感じもあり それでも生き急ぐ…

どんな時代に生きていても。

身長は160cm台の初めのほう 体重はここ数年40kg台キープ ほとんど変化がない おかげさまで つつがなく暮らしている 「禍」の中 習っていて心底よかったと感じるのは やはり 室内で静かに行えるメソッドであろう よほどの体調不良でない限りは 「前半のみをひ…

寒中見舞い

ひと昔 いや ふた昔前であれば 「喪中のときに」 「(遅めの)年賀状への(遅めの)返事」 「年賀状を送っていない相手から届いた際の返事」 そんな意味合いであったろう ここ最近の傾向として 「喪中ではないが、 季節の挨拶状として寒中見舞いを書く習慣が…

ロボット・クリーナー

“そもそも走らせること自体が不可能でしょ” あの人は自嘲気味に呟くだろう 決して私を責めることなく “自分が片付けるからいいよ” などと 上澄みだけはやさしい言葉を つらつら並べていく こんなに不在が続くのに それはいつになるんだろう 私は現実を捻じ曲…

別離

きみの背中を見送った日 店を満たしていた大好きなボサノバにも しばらく気づかなかった

里帰り

あまりにくたびれて 午後9時を回った頃には 寝床にいた 長男の嫁でこそなくなったが 里帰りだけは今でも気遣いと気苦労を 天秤にかけるようなもの 眠りの間も夢にまんまと忍び込み 空元気の日中をやり過ごす 自分の実家となれば もっと顕著で 傷もつけ合えば…

彼は猫である。名前は匿名でよろしく。

数ヶ月に一度会う 猫彼がいる そういうつもりなのは こちらだけであって 果たして相手はどう思っているのか とんと見当がつかない 嫌われていないことだけは ありがたいことに確かである 1月下旬にしては ずいぶんと陽射しが強い 猫が日向ぼっこをしに顔を…

カトラリー

10数年ぶりに カトラリーを処分することにした 食卓を共有した人がどこで暮らしているのか 知る由もない であれば カケラほどの気兼ねや後悔は不必要というわけだ 目指しているのは例えば ロボット掃除機がそこそこ走り回れる家 急な来訪者(修理屋さんとか…

詩人、カフェに出かける

手にのるほどの地図に 案内される街ハズレの店 たった一度 海向こうに暮らす人が 連れて行ってくれたのだ 道案内してくれた人は 女のくせに 男のくせに そんな言葉が嫌いで だから ほんとうのところは 私も知らないままである 「人」と記してはいるが それも…

どこにも

泣く風と折り合いをつけても 心が寒い それでも「禍」の前よりましになったろうか 差し引いても割り引いても 少なく見積もっても控えめに見ても どこかには幸せの種が転がっていて 水を光をとわたしを促すのだ 育てる準備はできている 受け入れる器がないだ…

昔探し

引き出しを引っ掻き回す あの日のアレを見つけようと やっきになる アレってなんだっけ あの日っていつだっけ 思い出せやしないのに こそ泥の新米弟子か!と笑われながら 雪の中を汗だくで探す 誰のものやら 打ち捨てられた嫁入り箪笥 引き出しを全てあらた…

青々とひょろひょろと

青々とひょろひょろと 枯れることを恐れず 芽が育つ 種も球根も はちきれんばかりの命を抱えているのだから それは芽ぐらい出るでしょう 大袈裟ねえ なんだかんだとことが起こるたび 大騒ぎするあたしを 家庭菜園が趣味だという友人が 呆れ顔で眺めてる いい…

思い切りよく景気良く

あなたの日々を わたしの人生から追い出しました あなたは 簡単に忘れられないし切り離せないと 渋ったけれど あなたのことを もう憎まなくていいし あなたのことで もう悩まなくていいし 破滅だ破壊だと喚かずに済むのなら 何よりでしょう? 結局 好きだと…

苦笑ひ

買わなくなったもの、または買わなかったもの(買わなくなりそうなもの)-8

秋を過ぎる頃になると、どんなに気をつけていてもアカギレの襲撃を受けるのが常だった。 ハンドクリーム・ジプシー。救急絆創膏ジプシー。 ここ数年の冬事情でもある。 去年末、それがぴたりと止まった。 ついには、アカギレの襲撃も影をひそめ、ハンドクリ…

濃度

好きの濃度は それぞれでいい なんなら「好き」が人生の中になくても それはそれで面白い いや 「好き」の一言だけで済ませず 気になるだけ なーんか引っ掛かる ちょっとやってみようか それだけだっていい がむしゃらに「好き」を探すのは 誰かと比べてしま…

許してしまう

挑戦的な物言いも 蔑みの態度も 何かもう「あはは」と笑い飛ばしてしまう 強さだと褒められたかと思えば 諦めの早いと揶揄もされる 視線の角度はいく通りもあって こちらの受け止め方もいく通りもあって 一望千里に近づきたいものよと 嘯いてみたりもする 丸…

ほど遠きものなれば

孤独を語るべからず 言霊にのるうちは 真の孤独とはほど遠きものなれば 涙も忘れ 寝食も忘れ 笑ふことも怒ることも この世より消え 手放さめど 手放すべけれど いまいづかたにも構はぬ さる思ひに満たさる それこそが孤独に それこそが底にもあれ 孤独を語る…

ごちそうさまもいただきますも

あなたの名づけた幸せ あたしの描いた幸せ すれ違って ずれまくって いつの間に思い違いも甚だしく 丁寧に煮込んだスープも腹立たしく ごちそうさまも いただきますも 食卓から消えてしまう そんな家族の中で いい子ちゃんでいた反動が あたしを作っているの…

首都-3

耳がキンとして 眠りから目覚め 現実感のないまま斜めになった光たちを眺めた 高速ビルからの夕日と 有名写真家のパッションあふれる展示と 併設のグループ展のあたたかさと 先ほどまで囲まれていた鮮やかな龍たちと そんな幸せな時間を抱えて 機内でうとう…

どっぷりだった頃

身も心もどっぷり浸しきって(仕事だったから)いた頃 嫌いではなかったが “ああ音楽のない世界に身を投じてしまいたい” 度々思っていた 気づけば半ば無理やりに ほぼ投げやりにそこにいて どっぷり身も心も浸しきっていたのだった いつしか 音楽へ導いてく…

心のわからぬものにまで

痛快じゃあないか

初日の出を拝む意味を 知識として教わったのは 親からではなかった 「昨日と同じ太陽を見てるだけ」 「日の出は明日見てもおんなじよ」 という超現実主義者たちなので 学校だったか友達だったか ともかく まあまあ大きくなって反抗心も芽生えようかと そんな…