猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

遠きものぞと呼ばわる声の

きみの心と 星の声 腐れた昨日もそのままに 紡ぎ紡がれ幾年(いくとせ)か 触れそで触れぬは 遠きものぞ たれかの呼ばわる声聞ゆ 遥か春香を追い求め 我らは命を注ぐなり ひたすら己を裏切るものなり

100%ではない

愛も憎しみも 言葉にした瞬間から カケラほどのよそよそしさが混じり始める この命と器の持ち主は 露ほどの嘘を 舌にも指にものせなかった 断言できればどんなによいか そんな葛藤をふりはらい あたしはPCに向かうのだ 愛も憎しみも 言葉にした瞬間から カケ…

時の輪

ずるりと音がしそうな風情で 振り向けば なにやら時の輪が今にも千切れそうだ 途切れれば夜も消え 消えれば世も千切れるであろう かくして昼だけの国になり 夜を忘れた人らが闊歩する街になったと いうわけだ ずるりと音がしそうな風情で 振り向けば なにや…

年末

ようやくのところで 歳を無事に重ね 年を迎える準備が あらかた終わる 挨拶状には返信する それだけは欠かさない “なにがなんでも今年のうちに!!!” 目を三角にしていた頃も ずいぶんと長かったのだが 手放してから気持ちの上でも軽くなった なにがなんで…

ノエルの名残り

ノエルの名残りを 鼻歌まじりで弄ぶ 生まれた恋も破れた恋も 一緒くたにキラキラと お気に召そうが召すまいが 時の流れはなめらかだ 今も昔もあきもせず とまらぬ速さでいき過ぎる ノエルの名残りを 鼻歌まじりで弄ぶ 生まれた傷も繕う傷も 一緒くたにキラキ…

首都-2

なじみの薄い街という事実は 今も変わらず 点と点で結んだ場所にしか 行かないのは 何年経っても同じである 始発駅で乗り込み いつもの駅で一度乗り換えるだけの 他人にも自分にも説明できる道筋しか 知らないままだ 冒険はしない 約束もしない ただそっと訪…

買わなくなったもの、または買わなかったもの(買わなくなりそうなもの)-7

いわゆる毛糸の帽子や、耳マフと呼ばれるもの。 擦り切れたりなんだりで、手放しては買い替えしてきたのだが、ようやっとそのサイクルから逃れられそうである。 フィッシャーマンキャップ、という帽子をご存じだろうか。 ベレー帽にも、つばのごく浅いニット…

冬の光景

さらさちゃんが クリスマスの本来の意味を知ったのは 小学校にあがる頃でした 家族ではない大人がプレゼントしてくれた イエスさまの絵本は さらさちゃんへ宛てた お手紙つきのまま 何日も何日も さらさちゃんの目に触れにくい場所に 押し込まれていたのです…

露の間なり

「こはき人ぞ」 言はるるたびに 頽れそふな心隠し 「優しかし」 言はるるたびに 煮えくりかへるはらわた隠す 歳をとりしよりといふもの 隠すことはいと巧くなりしに 交はすことはいと悪しくなりにけり 全ては笑ひ物語に 泣き言にもあり いづかたを選ぶとも …

(抱きしめることも忘れず)

概念は やわらかな毛布に似ていて 雑念は ふわふわの綿菓子に似てる 蹴り飛ばして 吹き飛ばして 精査して いずれ 澱になるのか 織りあがるか 檻を見るのか ついには 自己を突き放そうともがきながら (抱きしめることも忘れず) 今日もPCに向かうのである

買わなくなったもの、または買わなかったもの-6

正確には、近い将来買わなくなるであろうもの。 もふもふした生き物のような、ハンディタイプのモップ。 手持ちのものを使いきったら、それ以上は買わない。そう決めた。 ただ、はたきのようなものがないと困る。 そんな折、羊毛ダスターの存在を知り、導入…

首都-1

もう地図を頼りにすることも 人の多さにまごつくこともなく 人々と同じ速度で 首都を歩く わざとの回り道は少し孤独で 旅人という自覚が 駄々をこね始めた 路線図を穴が空くほど見つめ 車内放送に耳を傾け 乗り換え駅で迷子になって そんなことも想い出深く …

0と100

0と100をかいくぐるだけの 言葉は誰にも届かずに 石ころにひそんで蹴飛ばされる 風が吹けばバラバラに 雨が降ればドロドロに 陽がさせばカラカラに くじけてもののしられても それでもとどまるのだ 0と100をかいくぐるだけの 言葉は誰にも届かずに 石ころに…

こっこさん

長く、好きでいる人のひとり。 歌い、奏で、描き、書き、演じ、舞い、創り、素敵に笑う人。 言霊をちゃんと届けることのできる人。 自分の言葉を大切にしている、愛の塊のような人。 褒め足りない(笑)。惚れた弱みである。 もちろん、ライブにも足を運ぶ。…

どんな名前で呼ぼうか

自由を裏切り 心を裏切り 空を裏切り 沈んでいるうち 家族に裏切られた 風に裏切られ 流れに裏切られ これでもかと 自分を裏切り走り出す いつの間にか愛を忘れ いつの間にか感謝を忘れ ふたたび思い出す日の なんともふくよかな感覚を 命を どんな名前で呼…

酸っぱい葡萄

ないものねだりのやるせなさ ぎりりと齧る 酸っぱい葡萄 あふれた果汁に 唇痛み ひび割れ指先 ひとつかみ 幾度も幾度も擦りむくうちに ようやく己を掴みとりしも いずれ遥かになるばかり ないものねだりのやるせなさ ぎりりと齧る 酸っぱい葡萄 憧れ妬ましあ…

出勤日

ぬかるむ道を歩く 街 なのか 己の感情なのか定かでないが 赤と緑でごった返した ぬかるみをよろよろと歩いている ほどけていった恋が 背中にもお腹にものしかかるのだ ぬかるむ道を歩く 重みを増す踵を引きずりながら 職場へ続くはずの橋を渡っている

季と節

あなたは選別する 容赦もなく あなたは手折っていく 迷いもなく もう四つである必要はないと 人らが決めたことであろう 彼方より大いなる力が はたらくさまを見たいのであれば 望みを叶える あなたは選別する 容赦もなく あなたは手折っていく 迷いもなく 何…

極上ではなくても

極上ではなくても 軽やかでなくとも 擦り切れていても どうにも草臥れた器ではあるが 寄り添い歩む いつかの明日 わたしはわたしでなくなり わたしの宇宙から出ていくのだ それまでは 新品でなくても 悩み多くとも ひび割れていても どうにも草臥れた器では…

拾い上げた街

拾い上げた街は カタカタ震えていた 終焉を待つように カタカタ震えていた 育まれた闇の質量など 興味もないが 光を同時に育むとなれば そそられるものがある 箱庭にさえ営みがあり 箱舟はなお閑散とし 清箱(*)を磨く日常は なんと潔く尊いのか 拾い上げた…

大丈夫

必死になって探している日は 何も見つからない気がしていて ああどうしたって あたしったら不幸の塊なんだわ 闇も絶望も絶対的味方なんだもん なんて投げやりにもなる 後で気づくのだ 探していることこそが そもそも幸せな時間なんだと 沈み込んでるなら 浮…

隙間

耳に届くは 子守りの唄か風の音(ね)か それとも 恐怖映画の断末魔か 心惑うは 夢の内側知らない街か さもなくば お前の残した手紙の文字か もう雪も降らぬ もう風も見えぬ もう涙も流れず冬が枯れる 耳に届くは 子守りの唄か風の音(ね)か さもなくば 宇…

その瞬間まで

星々のしがらみに 胸は痛み 宇宙(そら)から抜け出すことも できずにいる ああ なんて狭くて深いのか ああ なんと広くて浅いのか 錐揉みの心を立て直し にっこり笑う それでどうにか自分の器を壊さずに いられるのだ 星々のしがらみに 胸は痛み 宇宙(そら…

まとめてみた

ご存じの方も多いと思うが、インスタグラムには複数のURLを貼れないようになっている(上部にハイライトなどの機能を使えば可能)。投稿から飛びたい場合は、コピペして…ということになる。 以前、リンクツリー(linktree)というアプリを使っていた。 複数…

はにかみ屋さんへ

深〜い後悔 きみをこじ開けるものが そんな感情だとしても 正直に行動したのだから それはそれでよかった 喜び きみが閉じこもるのが そんな感情だとしたら いつかの未来に 素敵に破裂するとよいね 幸せという花火のように

白粉花のように

喉が閉じて 心が閉じていく まるで白粉花のように 声の大きな人は 嫌いだ なのになぜ あなたを選んでしまったのか 正義を振りかざすだけの人は 嫌いだ なのになぜ あなたの隣を選んでしまったのか 舌が乾いて 心が閉じていく まるで お行儀の良い白粉花のよ…

染めるたびに

染めるたびに ほんのり後悔が走る お小言を言われそうな 気がするのです 何色だっていいじゃない もう校則にも縛られてないのだし 仕事に差し障りもないのだし 連れ合いは面白がってくれる人だし それだのに 染めるたびに ほんのり後悔が走る お小言を言われ…

自由意志

週末の憂鬱と開放感が いちどきに胸を彩り 連れ合いの顔を盗みみる あたしは映画にするわ あなたは料理? じゃ、夕方ね 接種するとかしないとか そんな自由意志を尊重した結果 こんなことになってはいるが まあ上手くやってるほうだろう ふたりだけの家族だ…

ふたり

じっと見上げて ひょいっと膝にのる 安定がよくないので たまに爪を立てれば 「ダメでしょ」 そんな甘い声が降ってくる お互いぬくぬく安心する時間が ゆるゆる流れていく 「もぉ〜痛いよ」 人らがするように つい 前足をグーパーしてしまい またもや そんな…

ゼロはヤガテ

ゼロはヤガテ 増え始め 砂嵐のスクリーンを 拡張するのである 吹き荒ぶ感情の奥を きみは容易く抉り さも嬉しそうな顔で バイバイと言った ゼロはヤガテ 重なり始め 砂嵐のスクリーンが 明滅するのである