猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

銀のつぶつぶ

銀のつぶつぶが こぼれていったら やっと 心の熱がひいた そもそも 自分自身が銀色のかたまりみたいなもので それが急にグリーンを育ててみたりもして どこかでバランスが崩れたのでしょう、と 主治医は血液検査を細かくチェックしながら 穏やかに告げた 処…

全くのひとりになれるのは

コミュニティは あまり得意なほうでなく それでも何かしらに属したり属していたり そんなものなので 全くのひとりになれるのは この世では寝ている間だけである ま この世、というコミュニティだと考えれば 逃げ場など星の上にはどこにもないのだが 信じるか…

孤独という花

孤独だと 言葉にできない想いこそが 真の孤独 孤独だと感じる気持ちは さびしいが誰にも理解されないという 絶望から栄養を得て 育つのだ よくよくの哀しみから 花を咲かせるのだ

思い出

脈絡もなく 天気雨のついでに浮かび上がるような そんなのが いい思い出なんだよ

夏の休暇

何やらベトベトして コバエが飛んで 蚊取り線香の匂いに辟易する 扇風機の風を気にしながら 何かを組み立てて泣きたい気持ちになっていた 学校はよ始まらんかねえ、ひとりにもなれん 男親にも女親にもため息つかれ 受け流すことを自力で覚えた 少女のあたし

声に出してみる

オテル、オピタル、アルモニ… セミの声に紛れていくだろう 丁寧に繰り返す 声に出してみる 種を蒔くなら自分の中にも 実を結ぶことを期待しすぎず オルボワール、ボンジュール、メルシ… 例え下手っぴだと指差されても 例えひとりよがりと嘲笑されても セミの…

チェリーと真夏

アメリカンチェリーの価格がようやく落ち着いてきた。 去年と違ってすっかり高値の花になっているシャインマスカットの棚を素通りし、チェリーに手を伸ばす。 少しの幸せが、少しの不幸と隣り合わせだ。 それが、日常というもの。 グラデーションを生きてい…

「いつも」と「みんな」

ゆっくりと1週間が始まったけれど あくせくと1週間が終わっていく 始まりは火曜日だった 終わりは金曜日だった いつもよりずっとゆっくりで いつもよりずっとあくせくしてた 「いつも」は「いつも」じゃない顔をして 「いつも」だと言い張って通過する 「…

道の程

栞を挟めど挟めども あれもよきこと これもよきこと 忘れられない道の程

答え

答えをくれる人はいない 糸口くらいは こんがらがった糸の最初のもつれくらいは ほどこうと寄り添ってくれるかも 知れないけれど 答えをくれる人はいない どこにもいない 自分の中に横たわる 暗くて長い川の底から掬い上げる 答えは必ずそこにある

たなばたしちせき

もう、そんな時季か。詩人さんは、足をとめた。 最寄駅の改札を抜けたところに、笹が揺れている。 今は、「たなばた」と書かれた一枚だけだが、子どもたちの手で書かれたとりどりの短冊が増えるのだろう。 たなばた、しちせき。 心の中で唱えれば、ぶきっち…

弁当と応援団

弁当を詰める。 義務感もなく、淡々と。 何かのバランスをとっているのか、と言われればそんな気もする。だが、絶対ではない。 楽しみというわけでもなく、淡々と。 暑すぎる時期や寒すぎる時期は、こしらえない。年間を通して300日以上こしらえる…というこ…

折からの雨で 喜んでいるのは紫陽花ぐらいか そうは思っていても 湿度と温度の中に飛び出して行く日は あるわけで ほんの少し ほんのわずか 雲の切間をスマホ画面で確認しては 湿度と温度の中に飛び出して行く あとしばらく もうしばらく そんな毎日を過ごす…

あの歌

あの歌は 嫌いだ 眠くもならないし 寂しくもならないんだもの ただ本当に 本当に少しこれっぽち 不安が満ち満ちてくるんだ

から

カラでいたい かわいていたい 空を映せるから 光を思うから

過去

今この瞬間のわたしを 構成している全て 忘れたり捨てたりしたことも ひっくるめて

未来

たぶん いちばん信じてはいけない 事象だ 遠かろうと近かろうと

金曜の声

その人は、実在の歌手である。 名前を出せば、愛称を思い浮かべる人も多いに違いない。 その人が夢に登場して、タバコを吸っていた。 実際に、喫煙者かどうかは知らない。 ギターを抱え、歌っていたか何か話していたようだ。 何かを問われ、うまく説明できな…

突然菜園

家の中で植物を育てる。 少しずつグリーンを増やしていく。 そんなことを、A6サイズのノート(やりたいこと、得意・不得意・悩み事の分解などワークを実践する)に書きつけた。 …と思っていたのだが、なぜか今見ても見当たらない。叶ったので、付箋を剥がし…

愚かであれ、ずるくあれ

よほど、前の年に「らしくなく」出歩いていたせいだろうか。 明日はどこにも行く用事がない(突発的に呼び出されたり、がないわけではないが)、という日が訪れると、心底ほっとする。 旅のワクワク感も、店舗での買い物も、誰かに会うのも、心浮き立つ。 そ…

猫に信じてもらうこと

近道できない三つのこと 人の心の開き方 あなたがぎゅう、っとしてくれること 猫に信じてもらうこと Mari Nishimura さん作 ランキング参加中詩

通り雨

街とあたしを閉じ込めた 通り雨 悲しみ押しのける風が降りる もうどこへも行かない もうどこにも行けない 正しく言い表せばどちらだったのか 街とあたしを閉じ込めた 通り雨 憎しみ押しのける風が降りる ランキング参加中詩

いい天気ねえと笑っている

ほら そこにツクシが群れているでしょう 3階だというのに胸までのりだすものだから 慌てて服の裾を掴んだ こちらを向くと あなたも見てご覧なさい すすっと回りこんで ぐいぐい背中を押してくる あらあら 空に犬がきているのね 迎えにきたのかしらねえ 雨な…

詩人さんはこっそり願う

しみひとつない心が欲しいと 誰かが言う しわひとつない心が欲しいと 違う誰かが言う 広い心が欲しいと きみが言う 悪意などこれっぽっちも育たない そんな心が持てればと 詩人さんはこっそり願う ランキング参加中詩

やさしさ探し

初夏にひとすじ たれこめた春忘れ 手渡しもせず受けとりもせず 愛を知らぬまま旅をする 初夏にひとふり ざわめいた春忘れ 振り返らず見据えもせず やさしさ探しの旅をする ランキング参加中詩

便り

勘違いされても困るので 返事はしていない 頼られても助けられないから 返事は送っていない 泣かれても困るので 逢いに行かない もう 互いの手を離しても 歩いていけるから 便りは読まない ランキング参加中詩

自分(のサイズ)に合っているか否か

amebloには、相変わらずアカウントを置いているだけだ。 数本のブログの読者になっているため、アカウントぐらいはあったほうが便利だからである。 引っ越したのは、HTML編集が自由にできなくなった(エラーが出て記事を投稿できない)のと、広告なのかブロ…

意味ありげに綴る

ありがたいことに、 連休最終日の天候は良好で 外出予定は終わらせたので 時ならぬ大掃除としゃれこんだ と言っても一日で終わらぬので 5月中に(ある程度)スッキリ!を目指すことにする 年末は寒いし 気忙しいのだし 春から初夏にかけて気持ちがのんびりほ…

所在不明

愛は行方不明になり 光は所在不明となり 闇は証拠隠滅困難となり ヒトは死ぬまで 散らばりゆく宇宙を集め続けるのだ ランキング参加中詩

あたしはいつまでも怖がりで

アスファルトに5月がへばりつき 不機嫌にそれを避けた 踏めば何か変わるから 踏めばどこかへ滑って行けるけど あたしはいつまでも怖がりで アスファルトに5月がへばりつき 不機嫌にそれを避けた 拾えばまだ美しかろに 茶色くなるにまかせる あたしはいつまで…