猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2020-01-01から1年間の記事一覧

未来への言い訳

罪ほろぼし程度に 雨に濡れ 未来への言い訳を考える 面倒だったから 誰もやってないから 知らなかったから そのふりをしたから 自分は痛くないから 罪ほろぼし程度に 雨に濡れ 未来への言い訳をこしらえる 面倒だったから 誰かがやってくれるから 知らなかっ…

Tombe la neige

ご褒美のように雪が舞って 覚えたてのフランス語で merci beaucoupと呟いてみた 「ドモ アリガトネ」 覚えたての挨拶をくれた いつかの君を真似て

何者でなくても

何者でもないが 何者かでいる 何者にならずとも 何者かでいる 何者だと指差されても 何者でもなく街をいき 何者かになれなくても 何者かの我を生く

なんとなく、やすむ-2

いわゆるBBS(すでに死語だとささやかれているが、)によく書き込みしていた時期がある。 いつの間にか参加をやめてしまったが、その「部屋」にいた人々の思いは、今でもネットの海を漂流しているのだろうか、などと思ったりする。 現在では、「部屋」も多種…

詩人(シト)日記-2

夜の10時00秒に ピココン!と合図が送られてきた 攪拌し水分を飛ばしておいたのを これから漬け込むのである ほんの少々 ネリネリねりねり 決してねちっこくならぬよう 尖っていればすこおし丸く 鈍いようならすこおし削り 丁寧に漬け込んで ようやく一日が…

ひとりでいるうちに

このところ 家でも外でも気忙しく 「誰にも会わなくていいや」 半ばやけくそ気味に そんなことを思ってしまう 会えば話もはずむし 会えば互いによき時間と空間が構築される わかっているけど 「ひとりがいい」 そんな誘惑がむくむくと 頭をもたげ始めるのだ …

自分をなくすより、ずっと。

集団に属してしばらく経つと 染まりきらない自分を 冷静に見つめるもう一人の自分が現れる 「あなたはそれでいい」 頭でも心でもすっかり慣れているものの 改めて知り合いにも見抜かれ それはそれで ありがたいことである 流れてくるもの全てを追うのは もう…

年末光景

ひしひしとさわさわと 染み込む時の渦よ ゾロゾロと苛々と あふれる人の群れよ 宇宙から地中から風あふれ 愛にとり残されまいと 星にしがみつく始末 陰を歩み光をしまいこめば 救われるのかと 朝陽に背を向けた ひしひしとさわさわと 染み込む歳の末よ ゾロ…

Just a Sad Xmas

くだらなそうに 僕の口笛が風に運ばれ クリスマスソングをかき消していく 耳に残るは 母さんの金切声と 父さんの怒鳴り声 クリスマスなんて ため息つくのが 上手くなるこども時代を 不器用に駆け抜け 大人になる不自由さを 愛し生きる くだらなそうに 僕の口…

夢をみた

美しいことだまだけを 咲かせたい 手渡されるたび誓うのに 咲くのは泥の色した花ばかり 「そこが人間ぽくていいじゃない」 きみはそう言いました あの虹を渡りながら

願い

そんな日もある

もしも許すと決めたなら

もしも許すと決めたなら あるいは 許そうと思えないのなら とりあえず そこから一度はなれるといい 時間さえ味方にできない そんな日は とりあえず眠ってしまおう 忘れることはできない 思い出さないように 努めたとしても あぶくのように湧いてくる 涙さえ…

たぶん

たぶん 宇宙のあちら側には いいことが満ちていて 宇宙のこちら側には そうでもないことが 満ちている そう思えば そんなに腹も立たぬ 星は回り続けるのだし いれかわりも 逆転も たえず起きているのだから たぶん 宇宙のあちら側もこちら側も それほど変わ…

肉のうちより

ふるさと

会員証

グググ、とシュレッダーがストップする 苦笑いして保留モードを 解放してやり もういちど起動させた こんなことになったのは 初めてではない 実は もう使わない会員証を いちどきに手放そうと思ったのだ 足繁く通ったCDショップ あなたがママ友らと競うよう…

リアルに枕を抱いて眠るなんて 「うそでしょ」 そう思っていた 一人だからさびしいのは いつものことで 二人だから孤独が増すのも 体感済みで もやもやと言葉にならない喪失感が 深く深く あたしの中で広がり続ける リアルに枕を濡らすなんて 「うそでしょ」…

言刃

突きつけられた 言刃が心をえぐろうが 知らぬ顔して微笑んでいる もう傷つきはしない 言葉なんぞで 幾度も 突き立てられた以上の何かが 相手にかえっていくのを 目の当たりにしては なんとまあ とため息まじり 言刃は遠回りしても 必ず放ったものの上に降り…

少しばかりほほゑみて 生きゆかむ

雪と見間違ふほどの きみのかけらを まうけ集めき あれより冬はなかなかと けしきがうつろひぬれど 心はかの日のかけらの数ばかり 強(こは)くなりしぞ きみはわれを 抱きしめばくれねど いま遠き昔のことなり 少しばかりほほゑみて 生きゆかむ

星こし茶-2

今年の星こし茶は また格別だねえ 空をはめ込んでいたネジが 緩んできてるのが 見えるじゃないか ほら 星がこんなにも流れるだろう あれがネジの正体さ ばらばらばらばら 心の底に音をたててふりそそぐ 刺のある言霊や 考えなしの単語を舌や指先から 散らか…

詩人(シト)日記-1

目覚めて最初に 浮かび上がった単語をいくつか 感情のアプリに入力して 攪拌する 今朝は「季節」を強めに設定し 「事実」や「記憶」はやや小さな数値に しばらくして 「ぎぃぃ」と鳴るのでとりだせば まだやわやわである 「涙」が少々混ざったようだ 「水分…

心を診る猫の医者-18

悲しみの成分と 喜びの成分はとてもよく似ていて どちらも涙を運んできます 初めての恋が 甘いながらも苦く感じてしまう それと同じです 今日は悲しみが30パーセント 残りのすべては嬉しいこと 昨日は悪いことがふたつ だからとても運が悪いんだ 何もかもが …

近況

冷却ジェルの箱らが 若干うらめしそうに こちらをじっと見ている 春のうちに 「この夏は異様に暑くなる」と聞き及び 少しずつ買いためておいたのである それからすぐ 大怪我に見舞われたり 治癒と同時に家族の病気が発覚したりで 棚に押し込んだ冷却ジェルの…

母の教え

首手首を いつきたまへと冬始め

あなわびし

冬を待ちながら

ひぃやりした風も ほぉわりした光も 鼠色の雲も ぜぇんぶ嬉しくて ベランダで熱々のココアを啜る お行儀悪くぺろりとやれば まとわりつくのは深まる季節 もうすぐできるよ 連れ合いがまた 人参だらけの焼きそばを作っている どこか懐かしく ふっと泣きたくな…

ごっこ

出かけなくていい休日が もしもとれたら ごっこ遊びに興じる 例えば 買っただけで満足した 買っただけで一度も開かなかった そんなあれだのこれだのを ダンボールに 思いのまま詰めて (どこかへ送るか いつか発掘して楽しむかは あとで決めればいい) 黙々…

集合

微妙な時期ではあるが、年末年始、実家に集まることになった。 と言っても、子どもら(筆者含む)は、年始から仕事を抱えていたり、それぞれ家族がいたり、実家から近い者・遠い者と事情もさまざま。 人数は、こじんまりと2〜3人程度。 代表制か(笑)。 …

コーラたったの三口で

コーラたったの三口で もう眠れなくなる コーヒーを控えて くたくたに体を疲れさせてやったのに 風呂上りのたった三口のコーラで 寝返りに余念がない夜になってしまった このまま眠らず 街へ出るのは簡単だけど 折からの禍で店はどこも早じまい 美容に悪いし…