猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

本当のところ

ききそびれた 本当のところを きけば だけども教えてくれたかどうか 代わりは 似たものは惜しみなく だけども本当に欲しかったのは 口を開けて待っていたところで 与えられはしないのだ ききそびれた 本当のところを きけば だけども教えてくれたかどうか ア…

じゃがいもとはなっこりー

新ジャガの季節、菜の花も…と思うのだが、なぜか猫街近辺のスーパーで見かけるのは「はなっこりー」である。 ブロッコリーや菜の花もよいが、まるっと食べることのできるはなっこりーは、この季節に食卓にのぼりやすくなる。 袋の中でよくよく洗って、キッチ…

あたしの中の群衆

あぶくですら宿命だとするなら いっそ生まれる前の そのまたずっと前の はるか昨日へ 思いすら存在しなかったあの時にまで 息をつきたい だけどあたしの中の群衆が そうさせない 微笑みたい だけどあたしの中の群衆が そうさせない 許したい だけどお前なん…

希望

またひとつ なくしものをした 今度ばかりは手痛かった ただひとつ 残っていたのを 使い果たしてすっかりひからびて またひとつもうひとつ などとふざけてる隙に うっかり落として粉々だ またひとつ なくしものをした 今度ばかりは手痛かった 誰かのおこぼれ…

日曜日和

日曜が苦痛だった 今でこそ曜日を意識しても なんと言うこともないが ただただ苦痛だった テリトリーを侵食し続ける 愛という名の束縛と 大切だ、の一言で片付けられる 自我の否定 日曜はそんなものが 殊更に強くなる 苦痛だった 今でこそ曜日を意識しても …

大人と呼ばれる間際、自分が苦手だった。

子どもの頃、チーズケーキが苦手だった。 思春期の頃、アップルパイが苦手だった。 大人と呼ばれる間際、自分が苦手だった。 大人を通り過ぎた今、チーズケーキに目がない。 ランキング参加中詩

星にも命にもやさしい 愛情にあふれ凜として 誰にでも好かれ 安全面も申し分なくて 口コミだって高評価 それでも 自分にとってもそうであるか 過剰になれば毒ではないのか そういった目は 必要なのだ きっと多分この先の終わりまで ランキング参加中詩

春はいつも

知らない歌が耳たぶにたまって 僕は少しイラッとする 春はいつもそうだ 体にも心にもやわらかいのは 日差しだけで 泣く隙も吹き飛ばしてしまう はしゃぐ甲高い声 パタパタ小さな足音 よろしくね と 知るもんか が 同じ意味だなんて この世は残酷だ ランキン…

手放したこと

HOW TO本や自己啓発本に頼らなくなってから、しばらく経つ。 取り入れたのはいいが、どうにもしっくりこなかったり合わなかったり。 それはそうだ。 例えば、他人の服のサイズやファッションセンスを真似たとしても、100%自分をその中に合わせることは不可能…

入口と出口

しばらくぶりに歯医者に通い、しばらくぶりに体重が少し増えた。 スマートウォッチは、現在「標準」を示している。 もしかしたら、ちゃんと「食べて」るつもりで、栄養補給そのものがうまくいってなかったのかもしれない。 入口が不調だったら、いろんな意味…

悩みなんて置き去りにして、スープをこしらえよう

眠っている間に 雨になった パラパラざあぁあ 不規則なリズムに起こされ ようやくなんだか軽い心持ちになった 冷蔵庫の中身と 自分の体調と 今の天気と あーでもないね こーでもないな 相談しながらこしらえるスープ キャベツが半分 玉ねぎちょっぴり 水菜を…

手放すこと、捨てること、忘れること、忘れられないこと、

引っ越しの予定こそないが、持ち物との距離感はそこそこでそれなり。 段ボールで荷物が届けば、その日のうちにできる限り分別しておく。 本を読み終わったら、手放す。 記憶は、形を変え美化されやがて昇華の時を迎える。 記録は、手放さない限り存在する。 …

多分、きっと、死ぬまで。

鳴らない固定電話。 待っているわけでも、連絡するわけでも、ない。 さあて、もう外してしまおう。 手続きはネット上で簡単にできる。が、何箇所かで緊急連絡先に指定していたことをその度に思い出すのだ。 こちらから連絡することはないのだけど。多分、き…

choisir

部屋干し用の洗剤や柔軟剤を使っていた。 だが、香りがどうにも強すぎ、かと言って石けん成分や自然素材に近いものだと、どうしたことか肌具合がよろしくない。 なかなか難しいところだが、柔軟剤はかなり前から使うのをやめており、代わりに酸素漂白剤を使…

あたしの、こと

狡い、狭い、頑な。 やさしい、強い、頑な。 悟り、明快、頑な。 まじめ、不真面目、頑な。 ランキング参加中詩

ワタクシゴト

冷たい。バカだ。 うまく立ち回れなかったり、少しの失敗をそう称される。ハグは、ベタベタしないでよ、と振り払われる。 本音を打ち明けるのは、ごくごく限られた範囲で。または、紙に書いて跡形もなく破り捨てる。親世代の大人には「生意気で扱いにくく子…

愛以上、悲しみ未満

詩人さんにとって、 親孝行とはそんな感じである。 そして、そればかりか。 どんなに自己中心的でどんなにわがままであるかも、 痛感している。 …と、打ち明けたところ、 相手は「親孝行は、わがままでいいんですよ。それで間違ってないですよ」 そう言って…

詩人さんと水まわり

水まわりを掃除した。 今までとは違うやり方で。 キッチン用の止水栓セットを購入した。用事を済ませた帰り道、ふと「だいぶ古びてきたな」と思い出して、ネットで取り寄せたのである。 いい機会なので、流し台にぬるま湯をためてしばらくほったらかしにした…

とりあえずでいいから

とりあえず ご飯を炊いておく(おむすび作ればなおよし、だけど無理せず) とりあえず 水まわりをなんとなくでいいから 片付けておく(拭きあげればなおよし) とりあえず 少しのお金と身分証明と飴玉なんぞを バッグに入れておく とりあえず 空を見上げてう…

一筋縄ではいかない

詩人さんは、ときどき驚かれるような行動をする。 日帰りで九州から東北へ旅してみたり、例えば本を出してみたり。 それでも、いざ動くまでには人より時間がかかっている。計画中に誰にも話さないから、アクティブだと映るようであるのだが。 時として、慎重…

身勝手だとしても、だ

沈黙が好きだ その時間が愛しく溺れたくなる それを寡黙とも大人しすぎるとも (あるいはどっか足りないのか?と) 過ぎる心配と比べ過ぎマウントに 悩むことの多かったこと! モラハラという単語はまだ 一般的ではない頃の話 はてさてそんな家庭に育っても …

映画を1本

猫街のちょうどいい場所に、猫街シネマがある。 詩人さんは映画好き。と言っても、内容によってはなんらかの(使いこなせない)魔法が発動して手持ちの何かをすっ飛ばす危険性があるから、アクション多めの作品は外では観ない。 ハンカチが飛ぶとかポップコ…

わたしの声をわたしは

わたしの声をわたしは わたしはワタシの思いを私は ワタシとわたしの願いをあなたに 押し付けるばかりなのでした 強さも弱さもむしろ さびしい悲しいとやがて 無になり無理を生み出しては ようやく夢と訣別する わたしの声をわたしは わたしはワタシの思いを…

リズム

久方ぶりのインスタライブに、ちゃんと参加した。 “ちゃんと”と言うのは、前に配信があった時は高熱で寝込んでいたため、ろくすっぽ画面を見ることができなかったからである 編集者であるその人は、穏やかな語り口で丁寧にライブを進めていく。 と言っても、…

舌を突き出した幼心のうちで

このあたりの言葉は汚いから使うな 頭が悪くなるぞ 幼少期の「ほんとうにあったかなり怖い話」である 汚い=乱暴な言葉を使うな、と叱られるのは まだ理解できても いわゆる「子ども心」にも ヘンテコな考えを持っている人たちだと 思わざるをえなかった 理…

余迷い

絶望と納得を繰り返しながら 終わりを見据えていく ため息の理由は自分の中にあるのだから 一度は取り出しておけばいい 死と忘却が訪れいずれ消えてしまうだろう あんなことも こんなことも 抱えすぎてもしょうがない 見すぎても仕方ない ああそれでも 生き…

散らばる言葉

散らばる言葉を 探りあてたと錯覚して 少しばかりいい気持ちになる そんな過去もあるにはあったかもしれない しかし それではナニモノも世に誕生しないので わたしはここにいるのだろう 錯覚が夢でなくなるときまで ランキング参加中詩

戻ったよ、ね

朝起き抜けに 「戻ったよね」 そんな言葉が口をつく 体内時計が息を吹き返し 心身のアンテナがいくつもの 感情をキャッチする ここ数日間の出来事も ここ数年間の日常も 今は全てがありがたく 猫の姿勢を時折真似て 空と向かい合った 朝唐突に 「戻ったよね…

抱負と柵(しがらみ)

11月、冬の「ふ」の字もないうちに 決めておいた 全てに当てはまり 全てをあらわし 全ての意味になる 季節のよろしいときは 多少ガツガツして 季節の厳しい折には 多少静かに暮らす 誰とも同じでない時を 誰とも比べることなく 過ごすのである せきとめるも…

繰り返し

誰彼ともなく いつもより念入りに磨き始めて それは唐突に終わる 少し半端に残ったとしても そこはあまり気にせずに 朝はやってくる 古くなるなどあり得ない 夜もまた同様に 同じ時間は二度紡がれない 瞬間ごとに生まれ変わって 瞬間ごとに何かを忘れては ま…