猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

しなやかに歩きたい

もっと無防備でいたい もっと不器用でいたい 無機質より 無関心より 不真面目でいたい しなやかに歩きたい

君に嫌われた季節

もう巡ってこないのだと 二度とこないのだと すっかり信じ込んでいた それなのに 君に嫌われた季節は 今日も僕の薬指をかすめていく

portray

眠れないほど 愛おしい こわしたいほど 狂おしい 世界はやがて苦く燃え 寒くて寒くて泣くだろう 笑いながら啼くだろう

曇っていればいいのに

晴れた空は嫌い あなたの香りがかき消されるから 雨の空はもっと嫌い あなたがいないって思い出すから 曇っていれば泣かなくてすむのに ひとりで泣かなくてすむのに

わたしの中の紅の海

明るい明るい 紅の海 ぬるりと甘く ざわりと冷たく ギザギザ波が寄せてくる わたしの中の 紅の海 するりと淡く ぞくりと熱く 刃の波が遠ざかる

だれかの夢

深紅をたたえ横たわる海を 渡る途中で目が覚めた 空の色を映すでなく 心の色を映すでなく ただただ深紅に横たわる 海を渡リ続けていた

泣きたいほど正しいのに

気づくことより 気づかないことが 残酷なのだと あなたはいつも そう言う

君にも言えない

雨を待ちながら 君のことを思う 雨を探しながら 後ろめたさを隠す 傘をさすふりをして 言葉を飲みくだす

雨が嘘を隠すから

雨が降るたび 夜の奥に 置いてきぼりの声を探してる 雨が降るたび 昨日の底に 置いてきぼりの嘘を探してる 雨が嘘を隠すから 僕らはやさしくキスをする

遅ればせながら

遅ればせながら 雨に 哀しみに 包まれています 涙ぐむこともせず 振り払うこともせず 遅ればせながら 包まれています

見知った顔から届くのは

見知った顔から届くのは 千もの刃の言の葉 見知らぬ顔から届くのは 今も変わらぬ温もりの声 人は残酷で温かい

みんな

みんながいる みんなが言ってる みんながしてる みんなが出来てる みんなじゃなくて みんなと違って みんなそれぞれなのに みんな と言いたがる “みんな”になりたがっている

逃避行

青い色が垂れてきた 青い色が立ち上がった 空と海は今日も 手に手をとって どこかへ行きたがっている

Distance

人との距離が近くなった そこにいつでも誰かがいる 世界のどこかで誰かが呟いてる 文字の羅列にすぎないのか 言霊が生まれくるのか 迷いながら目をこらしても 答えはどどっ、と流れるばかり 肩を落とせば深夜のテレビが その日に限って朝を告げた 冷たくなっ…

聞き覚えのある声がして

聞き覚えのある声がして 萌える緑に目をこらす 聞き覚えのある声がして 思わずくるっと振り返る 聞き覚えのある声がして 傘をゆっくり閉じてみる 聞き覚えのある声がまだ 隣に座っているようで

背中を押してくれないのなら

もしも別れが 背中を押してくれないのなら 明日を重ねても 歩いては行けない

素敵な嘘を奏でましょう

嘘つきになりましょう 嘘で心を飾りましょう 素敵な嘘を奏でましょう 世界が壊れてしまわぬうちに

ポケットを繕って

うそをねじ込むポケットを 繕って繕って なんとか立っている そんなものだと 曇り空に打ち明けた

さびしい嘘つき

さびしいと思う自分が愛おしく さびしいとつぶやく自分がちっぽけで さびしいと感じる自分はわがままで さびしいと叫ぶ自分は嘘つきだ だけど “さびしい”は便利で “さびしい”は生真面目 “さびしい”は苦しくて “さびしい”は少し悲しい

そっと、わがままに

誰かの寒さを 誰かの哀しみを 誰かの苦しみを 溶かすことはできないけれど 誰かの寒さと 誰かの哀しみと 誰かの苦しみとが ほんのりとでも やわらげば わがままで勝手な思いだと うちのめされながらも そっと願い続けたい

もぐりこんで泣いた

もぐりこんで落ち込んだ もぐりこんで泣いた もぐりこんでよく寝て もぐりこんで大笑い 歩いていこう 時々雨で時々晴れる 走っていこう 風が味方してくれる

思ったよりずっと嘘つき

雲も月も 箱に入れる勇気があれば どんなにいいだろう 海も風も 携帯できれば 幸せになれるだろうか 指先に触れるものは 夢と闇の褥ばかりで なすすべもなく立ち尽くす 空間と時を越えて 届くものがあって 空間と時を越えても 知りたいことはある だけど 過…

雨をくぐっていきましょう

隠したコトバで 責めている 隠したコトバに うなだれる 隠した痛みもそのままに 雨をくぐっていきましょう

風が強いね

風が強いね とても強いね 今までのことも これからのことも みんなみんな消えそうなぐらい 風は強いね とても強いね 髪を揺らし 背中を揺らし みんなみんな落ち着かなくて 風も強いね ほんとに強いね 君の想いと同じぐらいに とても強い

願っても流れていくのだけど

あと少し もう少しだけ 願っても流れていくのだけど あと少し もう少しだけ 願ったらとどめておけそうで あと少し もう少しだけ 薄桃色の川面を あと少し もう少しだけ

誰かが置いた哀しみが

誰かが置いた哀しみが 静かにそこにありまして 封もせずにありまして 落とし主は今いずこ 触れる姿も見当たらず 静かにそこにありまして 封もせずにありまして 花が舞えば哀しみも 消えてなくなるのでしょうか 花が散れば哀しみも どこかへ帰っていくのでし…

それでもつらくなったなら

わたしの中に水があって 揺れたり 滴り落ちたり 流れたり 流されたりしている あなたの中に水があって 揺れたり 滴り落ちたり いったりきたりを くりかえしている 迷うのは生きているから 戸惑うのも生きているから 泣きながら歩くのも この命を生きているか…

もうすぐ

大好きなのに 大嫌い 大嫌いなのに 大好き そんな歌が 風を運んでくる もうすぐ季節が変わる

この世でいちばんこわいこと

一番こわいのは 自分が作り上げた 幻影の部屋 一番こわいのは 自分が作り上げた 心の奥の奥にある 一番こわいのは 自分が作り上げた闇を 人にふりかけてしまうこと 一筋の光も介さず ふりかけてしまうこと

きみどり色の風

きみどり色の風が吹いた 寒がりな襟元から いつの間にかマフラーが消えた きみどり色の風が吹いた 寒がりな指先から いつの間にかミトンが消えた きみどり色の風が吹いた 寒がりな爪先は いつの間にか駆け出した きみどり色の風が吹いた 寒がりなふたりの背…