猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

すました顔で

街におびえ 孤独におびえ ユメにおびえ 希望に溺れても 恋におびえ うわさにおびえ 我楽多におびえ 人生を泳ぐ サカナになりすます すました顔して なりすます

jealous town

歯がみするくらい 素敵なのに きみはそれを隠していた 歩いた街の名も 逆さまの季節のことも 歯嚙みするくらい 幸せなのに きみはそれを隠していた 甘えた人の名も 明日の雨のことも

もしこの手を

もし この手をはなしたら 運命は後ずさりするだろうか もし この手をはなしたら 明日は遠くなるだろうか もし この手をはなしたら 心も迷子になるだろうか

時限装置

時限装置つきの 想いを肴に ”こちらこそよろしく” グラスを合わせた 時限装置つきの 想いを肴に ”また近いうちに” 嘘を飲み干した

迎えにくるまで

ゆめにもどれなくて 少しの間 迷子になった ゆめにもどれなくて 昨日と明日を 行ったり来たりした あと5マイル 目を閉じようか 朝が迎えにくるまで

恋にならないうちに

あの人が帰ったあと 飲みさしのアイスティー シンクに捨てた ころりと丸い氷たち 湯を注いで隠してしまおう 恋にならないうちに

せいいっぱい

あしただれかの 助けになれるでしょうか あしただれかを こまらせてしまうでしょうか あしただれかに 助けてもらえるでしょうか あしただれかが 傷つけていくでしょうか それでいい それでもいい 誰もが そうやって生きているのだから せいいっぱい 生きてい…

音(ね)

走行音と雨だれが 夜の匂いと混じり合う 風も消えて夢も消えて ただ 乾かない涙を数えている 走行音と雨だれが 夜の気配と混じり合う 歌も消えて眠りも消えて ただ 叶わない恋を数えている

世界で一番ちいさな

ぷっくりちいさな手から 世界で一番ちいさな花束を受けとった ぷっくりちいさなほっぺが 恥ずかしそうにぷっとなった ぷっくりちいさなからだで 世界で一番素敵なハグをしてくれた ぷっくりちいさなほっぺが プチトマト色にぽっとなった

猫の夢

なんとかしたくて そっと頬を寄せたり 耳元で名前を呼んだりする なんとかしたくて そっと舐めたり 背中に手を回したりする ひっかかないように 噛みつかないように あなたの夢にまぎれ込みたくて あなたに見つからないように

オルゴール

ちいさなちいさな せいいっぱいのグーを作って 君は黙り込んだ ちいさなちいさな せいいっぱいの「嫌だ」が言えなくて 君は涙をこらえてた 君の中のオルゴールは ちいさなちいさな音を奏でて 僕はそれを聴こうともしなかった ちいさなちいさな せいいっぱい…

ある恋のうた

そうして うちのめされてわめいた 心の右半分だけで それはひどく どろどろになってしまって 見る影もなかった たしかに薄紅だったろうに たしかにほほえみあったろうに それはひどく どろどろになってしまって 形をとどめてはいなかった

アンバランス

私を嘲笑し続ける私私を大っ嫌いな私私が許せない私私を許さないあなた

かみさまとうさぎ

今日の空は ざらざらしすぎて うさぎたちは 拭き掃除に余念がない 今日の空は つるつるしすぎて うさぎたちは それはもうてんてこ舞い 今日の空はよく晴れて うさぎたちが集まって かみさまとひなたぼこ 大きいのも小さいのも いばりんぼも泣き虫も みーんな…

いつかの祈りが届くまで

空の色を変えることは出来なくても 心に映しておこう 空の色に触れることが出来なくても 心に移してとっておこう 空の色がいつか消えても 祈りが届きますように いつかの祈りが届きますように

今日の曇り空が

今日の曇り空が 明日へ続いている 透き通った青い夢と涙に 繋がっている 今日の曇り空が 明日へ続いている 透き通った雨の雫と笑顔に 繋がっている 未来へ繋がっている

現世(うつしよ)

それは 外からきてとどまり続けるのか 中からきてくすぶり続けるのか 現世すら心もとない足元に 今日も鳥が舞う それは 外からきてとどまり続けるのか 内からきてゆさぶり続けるのか 夢幻さえかき消えた空に 今日も波が舞う

そらが笑う

切りとったばかりの空は スプーンを握りしめたぼくに 目くばせした 急がないと溶けちゃうよって いたずらっぽく笑うんだ 盛りつけられたばかりの空は スプーンを握りしめたぼくに ウインクした 急がないと消えちゃうよって さびしそうに笑うんだ ふしぎな音…

ショートケーキ

ひと思いに いっそのこと ためらいも哀しみも 吐息も ひと思いに いっそのこと 切り離してしまえたら 幸せいちごの ショートケーキみたいに

ひとさじ

たったひとさじ それが 光であっても 影であっても ほんのひとさじ それは あなたの中にも わたしの中にも 混ざり合ったり 分かれたり ゆらゆらと揺れているのです

小さい願い

眠れない夜がきて 窓を静かにあける 味方につけられるだろうか いつか 暗闇もかすかな光も くしゅくしゅ音をたてる部屋着も 路地裏の猫も 心の裏側も 味方につけられるだろうか いつか

せめてもの

次のわがままは空が泣き止んでからにします

てがみ

便せんを選ぶまで あれも これも 伝えるつもりでいた 便せんを広げるまで あれも これも投げつけるつもりでいた ぽたり インクが落ちて じわり 涙が広がった 薄いラベンダー色の便せんを 今はまだ うめられずにいる

砂時計

あなたのくちびるに あなたの胸元に あなたの心に さらさらと さらさらと 注ぎ続けたいのです わたしのくちびるに わたしの胸元に わたしの心に さらさらと さらさらと 注ぎ続けたいのです ただ 注ぎたいのです

嫌いになりすぎなくても

嫌いになりすぎなくても いいのだけど 昨日までの感情を どこかに置き忘れたい 嫌いになりすぎる必要も ないのだけど さっきまでの光景を どこかに閉じ込めたい 嫌いになりすぎなくても 生きていけるけど あなたといた季節を 消してしまいたい

身勝手

めんどくさいを越えたところにも きっと愛はあって つまらないの隙間にも きっとハグはある そんなやさしい嘘にも しがみついていた

幸せなこと・不幸せだったこと

幸せなことは 命を生かされているのだと 気づいたこと 不幸せなことは 勝手に生きているだけだと 思い込んでいた頃のこと 幸せなことは いつでも自分の中にあると 気づいたこと 不幸せなことは いつまでも誰かのせいだと 思い込んでいた頃のこと

弱虫

自分で自分を許せるまでは 灰色の蛹になることにしました

弱み

かみさまにさえ 弱音を吐けない

この心を

見境なく青く染めるのは 弱虫だからでしょうか あなたをちゃんと 好きになることに 分別なく青く塗りつぶすのは 臆病だからでしょうか あなたをちゃんと 抱きしめることに