猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

霧の雨

ふたりの春

歪んだ風が春を呼ぶのは 重ねた愛が崩れるから 軋んだ手首が持ち上げるのは きみのつぶしたクリームいちご 荒んだ部屋をふんわり染めて ふたりはふたりにモドラナイ

ひとつ、ふたつ、みっつ

数えられないものだけを 大切にすれば 幸せなんてすぐそこに 数えられるものだけを 大切にすれば 不幸なんて日常茶飯事で なのに比べたり数えたり 挙句のはてに独り占めしたくなり 流れるものは朱だけでは済みますまいよ

逃げ方を模索する

てっとりばやい方法は かなり破滅的で悲劇である そうではなくて 生きながら逃げるのだ 毎日じゃなくていい 決めなくてもいい 同化でもいい 逃げてる自覚がなくてもいい 模索しているうちに見つかることもあれば 模索すら苦しくなることもあって 心とは 心だ…

春があたしを洗っていく

わざと光あふれさせて 春があたしを洗っていく 追いかけて追いついて 罪も闇も消え去るほどの 見事に光をあふれさせて 春があたしを洗っていく 傷つけて傷ついて 猛スピードの花吹雪に 寡黙に光をこぼしながら 春があたしを洗っていく 思い出も恋も ドアの奥…

やめた。

本来は好きで、便利だったから使っていた。 それをやめた。そのほうがずっと掃除がしやすいことに気がついたから。 トイレットペーパーホルダー(ホルダーカバー)。 全て手放した。 拭くのが簡単なタイプもあるにはあるが、「なくてもいいか」と。 ミニマリ…

逃れた先で紡いだ言葉は かえってわたしを束縛し いい子でいようと繕う笑みが かえってわたしを脆くする 強くいようと紡いだ言葉は かえってわたしを傷つけて 聡くあろうと繕う心は 今日も空へと堕ちていく

あなたの中は

あなたの中は美しいのか わたしよりも心が感情が美しいか それなら鍵を開け言葉を紡ぎ 体を透かすように耳をすませよ わたしの中は醜いのか あなたよりも心が感情が醜いか それなら扉を開け言葉をほどき 体を透かすように耳をすまそう

蒸し餃子

餃子を買って帰ろう コロッケでも唐揚げでもなく あの店の美味しい蒸し餃子を 買って帰ろう きみはバレンタインデーも知らぬげに そう言ってニコニコした スイーツは苦手で辛うじてミントキャンディを カリカリ砕く そんな二人には似合ってたかな 餃子を買っ…

イベントはありません

今日もまた 「イベントはありません」だ 例えばスマホを見られても 変に詮索されぬよう カレンダーアプリへの書き込みは避けている (それで約束を忘れたこと数知れず) これではイカンと 手帳をいちどきに3冊も買ったあの年 月に一度は後悔してた 本当の本…

雨粒。

雨に閉じこもる、一人残らず。 命の粒さえ逃げられはしないのだ。 やがて我らも雨粒一つになり果て、数えられ、還るのである。 再び雨に閉じこもるまで。

(だと夢想する愚かな群れ)

わたしたちが生きるのは 波紋の内側で(だと信じる愚かな群れ) 波紋の外側にはみ出さないように(だと夢想する愚かな群れ) どこか冷淡にどこか必死に 漂うのだ世界を わたしたちが朽ちるのは 波紋のひとつにもなれず(未来を呪って泣くものか) 波紋を起こ…

ジンピニンの端くれ

冷たい言葉と熱いハグを 同時にやってのける それは人でなしじゃなく人たらしの端くれだ ジンピニンの端くれときたら 温かい言葉にそっとトゲをこめる いつかあなたが深く傷つくように いつかわたしが正しく泣けるように

猫が照らす

「いつき、です」 昨日も。 一昨日も。 その前も。 下の名は、さらさ。 歌いはしないんだけども、なぜか同じ名前。 あの素敵な歌いびと、と。 それはそうと。 「開けて」 あしたも。 明後日も。 明明後日も。 空を、宇宙を。 ことばを尽くしても、 ことばを…

事件あるいはありがちな

困っている。 SNSは未だ活用しきれていないが、自動ツイート(指定した時刻に自動投稿できる)のサイトだけは便利に使っていた。 そのサイトが先日閉鎖されたのだ。2ヶ月分の予約ツイートを仕込んでいたのが、全て失われた。 筆者の場合、二箇所のブログを…

みおくり

何処

失ってなお追い求め 追い求めてなお届かぬ道の 乱れた足並み時しるべもなく よりどころは命にあらず 失ってなお追い求め 追い求めてなお届かぬ道の 崩れては重ねては 寂れた命のかけらすらなく よりどころは肉体にあらず

リズム

本格的な春を待たずして、大きく生活スタイルが変わった。 必要に迫られて。 そして、興味津々で。 理由はどうあれ、新しいことは楽しい。心地よい疲労感に満ちている。 試行錯誤の連続も、やがて充実感に変わっていく。 いずれは、新しい生活リズムに体も心…

あなたのことが

隠したかったのは 決して顔ではありませんでした 猫であることや言葉を話すことなど わたしはたいして気にしなかった 隠したかったのは 決してそんな物語ではありませんでした あなたのことがほの疎ましく あなたのことがほの羨ましく あなたとのことがほの…

遠くなれ近くなれ 心よ体よ そして時を紡ぎ続けよ 空へ空へと移ろえよ

影ふみ鬼

奇跡も運命も 時には油断するのだって ほらつかまえたこのとおり だけど踏んだそばからするりと逃げて 二度とは出会えないそうな

冬を忘れたひと

なあに雪って 空から降るのは雨 水が落ちてくるだけでしょう おかしなことを言ってるのね 寒いですって たくさん重ねて着ればいいだけでしょう 道が凍ってたですって おかしな話をするのね 季節は春だけよ 春だけでじゅうぶんなの 夏も秋もつまらないわ だっ…

ほんのミラクル、されどミラクル

もう10年近く前になるだろうか。 あるネットショップで羽織りものを購入したことがある。 最近まで大事に着ていたが、試しに母が袖を通したところ、温かく軽く大層気に入ったらしい。新しいものをプレゼントしたかったが、とうの昔に廃番になっている。 それ…

春を待つふたり

だしぬくより だしぬかれるほうが圧倒的日常だから 単語の存在すら忘れていた 思い出したのはきっと 3日ぶりに雪が止んだせいだ 恋のせいじゃない だからきみのせいじゃない ライバルを思い浮かべてブツクサ言うのは 飽き飽きだもの だしぬくより だしぬか…

雪の日(愛を受けとるだけの器になって)

瞬間 世界から色も音も消えた この扉は心ほど重くはなかろうと 押しあけたのが運のつき 瞬間 世界から言葉も時も消えた 足元から白く頭上へと軽く 舞いあがるものに 抵抗はしなかった 瞬間 体から生も死も消えた 天上から降り注ぐ愛を 受けとるだけの器にな…

閉じられた場所

極端に閉じられた場所(会員制だったり条件付きだったりするコミュ)には、長居できない体質(?)である。自動更新機能にまかせっきりで放置気味のTwitterも、年に数回は、より距離を置くようにしている。 少しでも、新鮮な気持ちでいられるように。 そして…

「あんなやつ…!」と口走ったあと

「あんなやつ…!」と口走ったあと 「もうね、とんでもなく誰より幸せになってしまいやがれ!」 そう付け足しておく 呪いの言葉より愛の言霊を 愛の言霊より心からのハグを 空想だけでも伝わらずとも 自己満足であっても傷ついても たとえばほんのひとときで…

とっくに滅びた言葉で

息を殺せば愛は死ぬよと 黙り込んだあたしに告げた だったらなんと伝えよう つまらない言葉でもとっくに滅びた言葉でも きみにあげればよかったと 愛を殺せば心は消えると 言葉を探すあたしに告げた だったらなんと伝えよう つまらない物語でもとっくに滅び…