猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

それはそれでいいじゃないか

哀しみの粒子が 朝の粒子と結びつき あたしはまた 澱んでいた 深呼吸も焼きたてパンも 今日は意味なく寄り添うだけだ 憂いも喜びもいつか一緒くたに あたしごと消えていくのだけれど それまでに 頭と心が乖離しすぎる日も 数え切れないほど味わうのだろう そ…

朝雨

ある朝の光景

おはよう ちょっと待っててな グリーンがあると 気が良くなるのよ 連れ合いの遺した言葉に 従って 今朝も僕はアイビーに声をかける 珈琲豆をひき 野菜だらけのスープを温め 厚切りパンにところどころバターを散らし グリルに突っ込む 用事を片付け 荷物を調…

欺瞞のふたり

あなたのために 振りまく愛だからと 彼は断言して ただただ真っ直ぐに真っ正面に 立ち塞がった だから 指先で「とん」って触れた 強い力なんて要らなかったわ ねえ そんな時代でしょ 綺麗なものほど裏はズタボロ 危なかしいったらありゃしない そうよ 嘘つき…

送り猫

更新

更新されていくのは あなたの日々だけじゃない 星の中も 星の外も 宇宙に閉じ込められているけれど 悲しみも 喜びも 同じ場所で生まれ消えゆくのだから 抱えこまずに行こう 更新されていたのは あなたの日々だけじゃない わたしの日々だけじゃない RF素材

軸なし人のロンド

あぶくを集めるように あたしは息をする 次から次へとやってきて 消えてしまうから あたしはいつも いそがしい あぶくを集めるように あたしは息をする 次から次へと通り過ぎ 二度とは戻ってこないから あたしはいつでも さびしがる あぶくを集めるように あ…

口福

濡れた木々に息をつく

濡れた木々の 香りを浴びれば ようやく心が息をつく 春は短く夏長く 秋また短く冬長く 繰り返されて 押し流されて ただ身体のみ運ばれる 濡れた木々の 香りを浴びれば ようやく魂が息をつく そうして身体に追いつくのである RF素材

同じではいられないのですから

わたしは何人もいます 別人格だと噂されることもあります 同じように振る舞っても 冷たいねと言われたり あったかいねと言われたり 太ったねえと 痩せたねえを その日のうちに何度繰り返されたろう わたしは何人もいます 別人格だと揶揄されることもあります…

雨の星

ただいま、と インターホン越しに声をかけつつ 帽子をとり マスクと手袋を滅菌袋に押し込む 靴は殺菌箱へ 服にアルコールをふりかけ 体ごと感情を脱ぎ散らかせば 降り続きの雨が清めてくれるだろう そして 僕は影も形もなくなって ようやくあなたを抱きしめ…

噂のたちかた

愛しすぎるか 憎みすぎるか どちらかにふりきれた時には かえってそれは起こりにくい むしろ ささやかな正義や 小さな思い込みや 見えるか見えないほどの 善意とされてしまいがちな それやらこれやらがワサワサ集まったときに 大きく大きくふくらむのだ ノス…

やさしさ

誰かの 言葉には表れない事象を どれだけ自分ごととして 捉えられるか たとえカケラのカケラでも シンクロできれば やさしさは枯れてないのだと思う 頼りなさげで消えてしまいたい時こそ やさしさを人は育んでいる RF素材

宿題(苦しくて大切な忘れてはいけないこと)

きみは僕ではないし 僕はきみではない 好きなことは同じでも どんなふうに どのくらい それは比べるものでも 競うものでもないだろう 嫌いな味は いつか好きになるのか 好きな味は いつか飽きるのか そうなるかもしれない そうはならないかもしれない 深く生…

詩人屋さんの日常-3(下)

鍋蓋のような空の下 のびをして にゃあんと鳴いた かき混ぜられた星に 人らの姿は見あたらず すっくと立ってスタスタ歩こうが スケッチブックに絵を描こうが ぎょっとした視線を向けられることもない 鍋の中身はいつしか吹きこぼれ いちばんどうでもいいもの…

春光景

五箇条

[その1] 自分の宇宙を過信しないこと [その2] 自分の宇宙と同様に他の宇宙を尊重し全否定しないこと [その3] 自分の宇宙を持て余したときは 空や海や樹々に またはそこに暮らす者たちに寄り添うこと [その4] 自分の宇宙を見失ったときは あわて…

苦手

のみこむことは 苦手だ 嚥下にかすかな問題があるのだろう 幼い時分から今に至るまで むせる回数は人より多めだった 親の昔語りによれば 心でのみこんだことを 言葉で吐き出せずに、ということも あったようである 例えば たまに飲む炭酸飲料が 口の中でころ…

重ねて使うための薄いマスク

年度初めである。 人の出入りがそこそこ多く、外出時同様、在宅時もマスクが手放せない。 そんな折、薄い綿のマスクの存在を教えていただいた。 一枚で使うのではなく、普段使っているマスクの内側に重ねるのである。夏場は濡らしても大丈夫らしい。 先日届…

花散らし

直してみる-3

今回のリフォームでは、水回りのほか、給湯器やガスコンロなども交換と相なった。 数秒とかからず、蛇口から湯が出る。 コンロやグリルはタイマーと連動しており、設定した時間で火が消える 一気に未来へジャンプした気もするが、最近はこれが主流らしい。 …

恋〜 一行詩 〜

人が決めただけのもの

生きている間は そこに縛られ それに従うしかなく 流れているのか 漂っているだけなのか 本質を見ることも計ることもできやしない ただ概念が脈々と受け継がれているだけなのに 疑問にも思わず 我らは閉じ込められている いや そう思わされている 確かに 閉…

いつかの未来

もっとずっと

ふくらむ蕾とパン種を 同時に血管にとりこめれば もっとずっと 自由でいられるだろう 垂れ流すように愛を 弄ぶように哀しみを 受け入れるのは喜びで 悪はスパイスになり もっとずっと 心の歪みに足をとられた ふくらむ蕾とパン種を 同時に血管にとりこめれば…

分析してみる

拙ブログでは、アクセス解析を実施している。 ブログにもともと搭載されている機能だ。 その他に、無料アプリをひとつ組み込んでいる。 訪問者数を示すカウンターを兼ねていたのだが、そういったものにはあまり興味がない(苦笑)。 面倒になり、そのうち表…

詩人の嘘

罪のない嘘を キミにあげる 今日だけはそうしたいから 詩を紡ぐのを休んだ 罪のない嘘で キミと笑い合う 今日だけはそうしたいから 詩人でいることを休んだ 罪のない嘘で キミを幸せにする 今日が終わっても たぶんきっと少しぐらいは ボクも笑えるのさ