猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

苦手

のみこむことは

苦手だ

嚥下にかすかな問題があるのだろう

幼い時分から今に至るまで

むせる回数は人より多めだった

 

親の昔語りによれば

心でのみこんだことを

言葉で吐き出せずに、ということも

あったようである

 

例えば

たまに飲む炭酸飲料が

口の中でころげまわり

ひと息ではのみこめない

そんな日がある

 

ひどく辛いわけでも

ひどく悲しいわけでも

ないのに

 

魚の骨のように

粘膜を縫い付ける単語が

心を刺すのである

 

のみこむことは

苦手だ

夢も現実も喜びも悲しみも

口の中で暴れ続けている

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