猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

絵を描くさらさちゃん

こどものさらさちゃんは 机に向かって一心に絵を描いています 手が汚れちゃうのは嫌なので 幼稚園の頃から使っている色鉛筆を ひっぱりだしてきたのでした スケッチブックなんぞ まだ早い 画用紙なんか何に使うんだ 裏紙にでも描いとけ さらさちゃんが「絵を…

雨音

雨音

さえずりのように 雨音が溜まり続ける そうだ 天気予報では水曜日まで 降り続くらしい 死もいつの間にか 命のうちにたまり続けるのか 恋が滅んで 憂いが滅んで いつしか情も滅びゆく 最後に残るのは希望か絶望か さえずりのように 雨音が溜まり続ける 愛を満…

青く点滅する前に

青く点滅する前に 僕は記憶と思い出をごちゃ混ぜにする そのまま海に返してしまえば 誰かに無理やり話して聞かせることも ない 永遠に失われる感情を 好きに選べと言われたら 「では、喜びを」と願おう 悲しみを忘れないために 青く点滅する前に 僕は記憶と…

夏の至福-2

スフレタイプの小さなチーズケーキ。 濃度の高いカスタードプリン。 毎日食べるわけではないので、冷凍しておいてたまの“お楽しみ”にしている。 暑さで食欲が落ちても、するん、と体に入っていく。 黒砂糖入りのドーナツも、冷凍室から出してすぐ食べること…

残暑

過去をなだめすかすことも 過去と折り合いをつけることも 忘れてしまいそうな 残暑である 思考が停止しているのか 時間が停止しているのか さだかではなく 心の熱にうろたえる 夜明けが遠く闇は長く やがて 光を心待ちにする季節は 指先を浸し始めるのだ RF…

ふたりだったふたり

紙媒体で何かを読む 満員電車で器用に新聞を折りたたむ そんなことから 久しく遠ざかっているのだよね 昔の恋人から電話があり 満更でもなく言葉を交わすうち そんな話になった 在宅ワークが主流だからでしょ? あたしは推しさんのお顔とか ゆっくり愛でたい…

台風前夜

パクっとな

医学的見地からはどうなのだろう、と思わなくもないが 水分補給と同時に、あられをひとかけ食べるようにしている。 気温も湿度も高く、外にいても家にいてもクラクラする寸前までいくことがあり、なんとなく始めた習慣だ。 思い出した時にパクリ、という程度…

「ありえないから!!!」

ひとりと孤独が 結びつかないことを 父も母も ありえないから!!! 顔をトマトみたいに染めて 全否定してましたっけ 人と違うことをよしとしない風潮は 今より強かった頃だし 人の群れからはみ出しがちな娘を 一方では心配していたのでしょうけども いわゆ…

斯くして僕は

小さな検索窓や 流れ続ける文字の川に 否応なくさらされ続ける 日々である 仕事上 日常的 半ば必要不可欠に近いぐらいの 付き合いではあるが 想像力も創造力も萎えそうで 僕はたまにラジオ以外のアプリを 「片付け」る 通知はストップ 電話は留守電 LINEに至…

プレゼント

手のひらで包むと 起動音が振動になった 小鳥が呼吸するようだと きみは少しだけしんみりした 誕生日に何が欲しい? ありきたりな問いに 互いがときめいていた頃 小さなスピーカーが欲しいわ 珍しく音周りのアクセサリーを きみはねだった 濡れても平気なの…

泣く星

星が泣いています 心細くて壊れそうで 震えているのです 星が泣いています 愛されずほって置かれて 震えているのです 人らも泣いています 星の外にも宇宙の外にも 逃げられないからです RF素材

隣り合わせ

美は時に 嵐と隣り合わせである 朝焼けが人の心をうてば 夕刻までに滝のような雨が降るわけだ 忘れてはいけない 美しいものには 嵐を呼ぶ力が宿っているものなのだ 受け止める覚悟と 受け入れるしなやかさを 今日も空に願う なけなしの強さと 涙を引き換えに…

約束

涼しくなりましたねえ 夏の雨はやはり恵みになる 夕立という言葉は すっかり廃れてしまいましたが 人らが 忘れたわけじゃない どんなに激しく時が流れ どんなに悲しく時が満ちても あなたを思い出せるのは 幸せです きっといつか 遠くない未来のどこかで 会…

世界は意地悪

世界は 意地悪なんだ 子どものさらさちゃんは そう考えるようになりました 意地悪なことを言うお友達 意地悪なことを言う大人たち 意地悪なことを考えちゃう さらさちゃん自身の頭の中 世界が意地悪だから そんな風になるんだとしたら とっても納得なんです…

束の間

晩夏光景

夏の至福-1

定期的に会社へ、という生活から離れて久しい。 時間に縛られる仕事からも、数年前に解放された。 油断すると買物やちょっとした用事ぐらいでしか外出しない。もっとも、現在はそのほうが「褒められる」状況ではあるのだが。 もっと遠くへ行きたいな〜 映画…

盛夏

君へのメール

ご無沙汰しています お祭り騒ぎなテレビもラジオも 今日は心に重たくて 空と海の接する場所まで きています ペアで揃えたスマホも 放り出したいとこなんだが 君に便りもできなくなるので 思いとどまりました 君は律儀に 着信拒否もせず 「別れてからも手続き…

距離

距離を測って 距離を図る 距離をとっては 距離を探す 今思えば あなたもそうだったのだろうか 毎日笑っていても食卓をはさんでいても 寄り添っても乖離するばかりだね ある時 二人の意見が珍しく一致して 距離を育てることを手放した 図ることも測ることも必…

空を染めながら

何もない日は 幸せで 悩み多い日は不幸せ 何もない日は不幸せで ありあまることは幸せ 笑い飛ばせる幸せも 泣き崩れる不幸せも 同じ場所からやってきて やがて戻っていくだろう 空を染めながら 歩く僕らに 光も闇も味方するだろう

予約をした話

インターネットでワクチン接種の予約をした(個別接種) 会場は、我が家から徒歩数分の場所にある某クリニックである。 「web予約はページが開かない」 「電話は回線がパンク状態」 そんな話も見聞きしてはいたが、拍子抜けするほどすんなりと手続きが終了。…

わるこ・わるたろう

子どものさらさちゃんは しかめっつらになりました 鏡ばかり見ていると 中に吸い込まれちゃうわよ 暑さでイライラしているママに そう言われたからです 子どものさらさちゃんは ママの三面鏡が大好きで 無限に続く自分そっくりの顔たちと 会話をしていたので…

ずっと前のほんとのこと?

あたし 誰の役にも立ってない あたし いてもいなくてもおんなじ あたし 自分の役が見つからない あたし 生きてても死んでてもおんなじ あたし そんだけ絶望して それでも存えて 時に そこのけな勢い 時に 底抜けに笑う もうずっと前の ほんとのことなんだ? …

人ごとのように

まるで人ごとのように 心を殺す 身体を傷つけないなら いいでしょ、と言わんばかりに まるで人ごとのように 心を殺す 誰にもわかんないし みんなやってるなら いいでしょ、と言わんばかりに まるで人ごとのように 心を殺す ただいまも言えないほど 深く傷つ…

あふれるまで

誰かの悲しみには たやすく泣けるのに 自分の悲しみには無頓着で たまってきたら整理整頓するが そのうち一緒くたに混沌と混ぜ合わさっていく 誰かの痛みは自分と区別がつかなくなるのに 自分の痛みには無頓着で 傷が深くなっても あふれるまで溶け続けるのだ…

食事

足の裏から頭の上まで ただ注意深く 何も残さず 我らは星を「いただく」 その一部になる日まで 尻尾を持つもの持たぬもの 明日を知るもの知らぬもの 変化を呼ぶもの呼ばぬもの 生物も静物も ただ注意深く 何も残さず 我らは星を「いただく」ものたちである …

残暑

悲しいだけの歌が 耳からだだ漏れし 季節は夏なのに辟易する 始まりかけの恋は 日常を上滑りし 心にも身体にも馴染まない 明るいだけの歌が 耳からだだ漏れし 秋の兆しを求めて 逃げ惑う 今は 指先を包み始めたアイスだけが 僕の真実だ