猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ふたりだったふたり

紙媒体で何かを読む

満員電車で器用に新聞を折りたたむ

そんなことから

久しく遠ざかっているのだよね

 

昔の恋人から電話があり

満更でもなく言葉を交わすうち

そんな話になった

 

在宅ワークが主流だからでしょ?

あたしは推しさんのお顔とか

ゆっくり愛でたいほうだから

雑誌はちょっと無理して紙で買うよ

 

ふーん

そういうものなんだな

だが

写真のサイズも文字のサイズも

好きにその場で変えられることを

忘れちゃこまる

 

まあねえ

ものが増えすぎないよう

気をつけることにするよ

 

お互い様だろ

俺も趣味のものだけは

捨てられないんだ

 

ふふっ

それが原因でうまくいかなくなったんだったわ

じゃあそろそろ

 

ああ

声が聞けてよかった

ありがとう

 

いいえこちらこそ

 

スマホが熱を帯びる前に会話は終わり

あたしは再びダンボールに

思い出を詰め込み始めた