猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ちょっと胸をはる

自分の気持ちが ほんのたまに わからなくなっても 人生の迷子になるわけでは ないのだから 泣いたら笑う 笑ったら泣く 鏡にそう打ち明けて ちょっと胸をはった

療養-5

やりすぎず 甘やかさず 当分の間 リハビリは続いていく はじめの頃は 加減がわからずであったが ほどなく もっと負荷をかけてよいことになり はたからみれば 「おいおいどうした」などと 心配されそうなポーズで 日々闘って(?)いる 「1時間おきに行うこ…

療養-4

ギブスがはずれてすぐの頃 何も持てず 何も拾えず 押すのも引くのも 遠い世界の出来事のようであった 先生の言いつけを守り (多少、動きの制限がある) 教わったリハビリメニューを 黙々と 数日たち ドアノブを動かせるようになり 床に落ちたものを拾えるよ…

調和

愚美人層

骨ついで

*骨ついで〜骨折

「愛」をよこせとキミは言う

ボクの心の真ん中に 真っ赤なリンゴが息づいて キミはそれを狙ってる 減るもんじゃないなら 分けなさいよ そのリンゴ キミはリンゴに 「愛」と名づけ 執拗にねだる キミも持ってるはずなのに 人のものまでとりあげるんだね もしかしたら実じゃなくて 種が芽…

真夜中の散歩-3

眼と腕と足の散歩が 順繰りに終わり 胴体もそれなりに砂まみれの ひとときを楽しんだ 鼻は花粉症がひどいからと あるじと留守番 それではと 耳と口が出かけていくことにした 風の音を聴き 砂の味を感じ(まだ焦げている) 人らの気配がないとわかるや お〜い…

真夜中の散歩-2

右眼も左眼も すっかり眠ってしまうと 右腕と左足が あるじを起こさぬよう そっと褥をはなれた しばらく逡巡していたが 燃え落ちた星のカケラぐらいは 拾えるだろうと 連れ立って出かけたのである 砂は焼け焦げ 空も熱く そんな夜も乙なもの 右腕と左足は 星…

祈りの朝

無頓着・無関心のススメ

登録中のコミュニティは そう多くないが いずれも すこぶる居心地が良い ある程度の無頓着さと 少しばかりの無関心さが あれば いっそう気楽になるだろう 毎日でなくていい ここぞという時に 心の片隅で ほどよく発動させておくことを おすすめする あなた自…

療養-3

ギブス生活の日々は すでに過去になった 無論 すぐに痛みが癒えるものでは ないので 当分は療養の身である 土鍋炊飯しているのは ギブス装着中も変わらず ただ 蓋と器を一度に運べず 洗う時は水とともに ゆるやかな時が流れる 少し前から 何かを新調する時は…

詩人屋さんの日常-6

トーザ・カロットの辺りは ずいぶん前から ネット環境に恵まれていて おかげで 星を渡る旅猫の大先輩とも 簡単にやりとりできる ただ SNSとなると わたしはいまだに苦手意識がある どうかすると アイコンひとつで 人となり(※猫となり含む)まで 透けて見え…

詩人屋さんの日常-5

上手に嘘をついて 人らの心を魅了するのが 生業だとしても ひとたび指先からこの世へ飛び出せば 嘘ではなくとも 真実でもなくなるわけで だとしたら 架空のつぶやきと称するのも また一興 ゆったりしたジャズが ラジオから流れ 鍵しっぽでリズムをとりながら…

心得-4

不安と後悔で 身動きとれなくなったら さめざめと泣く 布団にくるまるのは もう暑いだろうから シャワーでも浴びながら 気のすむまで 叫んでみる そして 好きな飲み物を片手に ため息を思いっきり あとは 猫をお手本に そんなことを度々やっていれば 今より…

過理執=かりとり

人が集まるから 距離が保てないから キケンだから そのほうがいいのなら 仕方ないです 桜並木に規制線を チューリップに鎌を 藤の花に大バサミを 人らの 星の 未来に光を

汚饌

すでに心は吐瀉物でけがれ 抱えた憂鬱の影は濃くなるばかり アノコノコトダマサイテー アノコノコウドウオカシー メダチタイノガミエミエー すでに心は汚物で満たされ 選んだ悪夢を迎え入れた アイツノコトドウデモイイ アイツノキボウガツイエレバイイ キエ…

ぎたりすと

腐安

不安は時として 己を強めたり いっそう用心深くしたり 助けにもなるものだが 多くの場合 人らが抱(いだ)くのは なに 自分だけは この場所だけは 平穏無事に決まってる そうだ そんなことが起こるわけもない という腐安である

はなうた

エントランスで 低い低い音律を 誰かが奏でている かけのぼるかと見せては また 五線紙にぶらさがるほどの 場所に 音律は腰をおちつけたがっている 終止符のない世界なんか 喉まででかけた 呟きをそっとひっこめ あたしは 「はなうた」という詩を書きはじめる

キタイニンギョウ

キタイニンギョウの群れから離れ ジブンノキモチからも遠ざかり 風と光のゼロ地点へ向かう キタイニンギョウの群れからは 禍はテロ! 禍で滅びる! 禍は終わらない! 禍は終わる! 耳と心をつんざく勢いの 声がたちのぼる 流されるのも自由 ぶれないのも自由…

聴美葯(じょうびやく)

夏の香りを かすかに嗅いで お気に入りのステーションに チューニングを合わせれば 禍の報せとともに 花奏(かなで)の癒し 世の中は 初めてのことに覆われたまま 確かなのは 星が美しさを取り戻しつつあること では 目下間借り中の我らにも 希望のかけらぐら…

誰かの友人

遠くの街に暮らす (風の噂によれば)療養中の知り合いがいる とっくの昔に全快と聞いていたが ふだんの交流がまるでないので 様子がさっぱりわからない 重くて(重量ではない)開封を躊躇うのは いつものこと 他の荷物と同じく 念入りに消毒し 浄化のスプレ…

療養-2

kon na jikan ni kuruna yo kega-nin no kuse ni uti de netero meiwaku nandayo yadawa kono-hito byouin gaeri nano ne jyokin sitokou goso-goso huki-huki 5mai mo tukaeba iikashira 声なき言葉が まとわりついても はいはい、と受け流すすべは 持ち合…

ショコラオレンジの夕闇-5

寝転んで見上げれば 蝕の始まりにも似た 黒々の影は 遮光カーテンのあちら側へ 伸びはじめている 外に出ずとも つながり合えることが 欲望と渇望を同時に産み落とした 歪んだ空は 今でもショコラオレンジ色に染まったまま 居座っているだろうか 半年前と同じ…

あける

いつかと似たような夜があけ ジャムのかたい蓋をあけ 閉じかけた心をあけ 黄砂を洗おうとドアをあけ いつのまにか休み明け いつか必ず 禍があける

療養-1

思わぬ事故で 療養中である そもそもの巣ごもり生活ではあったが 外科的治療を要するため 禍のさなか通院と相成った できないことを 数え上げ嘆くのはなんとたやすいのか だが不思議とそうはならず 「拍手ぐらいかな」 そんな心持ちで日々を送っている いつ…

心得-4

ささやかな灯りにも 憂いの言霊にも 傷にも 癒しにも ただひたすらに 喜びを

心得-3

かの「禍」とやらは 星中でワガモノ顔である いつ 何があってもいいように 備蓄を増やすことのみに 心を煩わせ 消毒・非三密・巣ごもりの日々であったが それでも 思いがけない「事故」は起こるもの その渦中にあっても 楽しみや喜びは信じがたいほど降り注…

風磨きのうさぎ〜おしゃべり

もうすぐあけるんだって それで何か変わるの? わかれていくだろうねえ いくつに? ふたつ そんな風に言う人らは いるらしい ふうん つまんないね つまんないね ほんとの ことは そう まだ もっともっと だよね そうだよ くすくす くすくす ほらほら 遠い星…