猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

誰かの友人

遠くの街に暮らす

(風の噂によれば)療養中の知り合いがいる

とっくの昔に全快と聞いていたが

ふだんの交流がまるでないので

様子がさっぱりわからない

 

重くて(重量ではない)開封を躊躇うのは

いつものこと

他の荷物と同じく

念入りに消毒し

浄化のスプレーをそっとふりかけた

 

意を決して文字に目を走らせる

ご丁寧な近況報告と

執拗にこちらの様子を知りたがる

興味本位の言霊に辟易する

これもいつものこと

 

すぐには見えないところに

片づけて

返事は書かないでおこうと

そっと誓った

 

知り合い

とてもとても昔

誰かの

友人だったのだろうか

 

いまはもう

思い出すこともできないでいる

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umiphotoさんによる写真ACからの写真