猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

アスファルト

アスファルト 濡れては消える虹のあと

連休の過ごし方

それじゃあ 熟れる3日前の プチトマトじゃないって 可笑しそうに彼は言う そんなのとっくに知ってるもん あたしは急に恥ずかしくなる わがまま放題拗ねたこと 山にも海にも行きたいけれど 渋滞は嫌だよ だけどあなたと一緒がいいの 美味しく食べたり呑んだり…

ぼくは言葉がワカラナイ

ぼくは言葉がワカラナイ デジタルの川が溢れかえるのを ただ眺めてるに過ぎない 光も影も炎上も派生するだけ派生して やがては 吹き溜まるか絡みつくかするのを ただ眺めてるに過ぎない ぼくは言葉をヨミトレナイ 甘くやさしい単語の向こうに ほんとは何があ…

共有

昨日を共有した人は 明日を待たずに去っていき よかったねえと泣いた顔文字 奥に嫉妬を隠してた あたしの中のいい子ちゃん あたしの中の困ったちゃん 一体いつから気づいてた? 鏡の中で踊って見せてよ もっともっと軽やかに

種の果て

不満の種を蒔き続けたなら いつか実ってしまうでしょうか 不安の種を蒔き続けたなら いつかあだ花と散るでしょうか 不満の実を愛でる人よ 不安の花を夢見る人よ 不運だと嘆いてはいけない 不変に縛られ 不幸を数えてはいけない やわらかな季節を生きなさい …

朝でも夜でもない時を 刻んでいる 秒針は小さく震え 長針短針重なって カチカチ微かに呟き続ける 明日でも昨日でもない時を 重ねている 秒針はやさしく震え 長針短針だきしめあって カチカチ歓喜の声あげる 生まれるものも立ち去るものも 数えあげられながら…

嘘と横顔

花散らしの感触が残る指で きみの横顔に触れたいと心から願った やさしくするほど嘘が降り積もるなら 春が消える前に会いたいと心から願った 青葉雨の降る街で きみの横顔に触れたいと心から願った 恋するほど嘘がつのるのなら 春が消える前に会いたいと心か…

アリスを追いこす白うさぎ

ぼくはささやかに拗ねていた あれほど急いだのに 夜のあの瞬間の角っこに いちばんのりできなくて 光がするりと身をかわす 花冷えを独り占めしたいわけでも 闇を抱きたいわけでもないけれど ぼくはささやかに拗ねていた あれほど急いだのに 朝のあの瞬間の真…

Can “eye” hear? Can “I” hear?

Can “eye” hear? え? と聞き返すまもなく 散る桜にきみの声が流される 言葉と想いを 同じように奏でられたなら 僕たちはそれなりにハッピーだったろうに Can “I” hear? え? と聞き返すまもなく 揺れる緑にきみの声が流される 言葉と想いを 同じように奏…

空向こうの雨の朝

まるで 空向こうだけ雨が降り続いているような モワモワ曇りの朝でした 桜は遠く 風は速く 不思議とオレンジの香りがする朝でした どんなお茶をトーストに合わせよう ささやかで幸せな迷いごとに 心がぽかぽかしてきます まるで 空向こうだけ雨が降り続いて…

初列車(始発電車)

初列車 花散らしの雨走りゆく

葡萄

あまりに喉が渇いていたので 葡萄にかじりついた 舌の上で広がるえぐみは きみと交わしたキスのように まとわりついてはなれない あまりに心が渇いていたので 葡萄をのみくだした 喉の奥にあふれる甘さは きみと交わした体温のように まとわりついてはなれな…

おしまいの光景

よく似た光景を手にいれたなら 喪失感は消えるでしょうか あの日 この場所で 隣にはきみがいました 初めての そして おしまいの光景の中に よく似た光景を手にいれたなら 痛みはやわらぐでしょうか あの日 この場所に きみといました 初めての そして おしま…

誰かの傷には鈍感になりすぎて 自分の傷を得意げに数えあげる いつかは忘れてしまうのだから 混沌の風が今日も吹き続けているのだし もうどちらがどうかなどと 比べるのも無意味で 誰かの傷には鈍感になりすぎて 自分の傷を丹念に数えあげる 多いほど立派な…

最高の思い出と最悪の感情

最高の思い出と 最悪の感情がないまぜに ぼくを引き裂く朝は ふ とため息ついてみる トースト焼いて コーヒー淹れれば 猫が遠くでお腹を見せる 最高の感覚と 最悪の感情がないまぜに ぼくを引き裂く朝は ほ と笑い声たてる 忘れかけたきみの名前も 覚えかけ…

新年度

新年度 サラダと笑顔で武装する

あなたについた嘘とあなたがついた嘘

あなたについた嘘と あなたがついた嘘 こうして床に並べてみたって 美しくも甘くもないのは 重々承知 あなたについた嘘と あなたがついた嘘 どちらがより罪深く どちらがよりシリアスか そんなことすらどうでもよかった あなたについた嘘と あなたがついた嘘…

ひりひりと(句)

ひりひりと焼ける爪先初デート

やる気のなさそな

ぱらたらぽらたら やる気のなさそな雨つぶが ときおり頬をうちました 心は頑丈ではないと思い知っても こんな日にトテトテ歩くのは 乙なもの ぱらたらぽらたら やる気のなさそな雨つぶが ときおり頬をうちました 春になったかならないか そんな頃にはよくあ…

ほとと ことと

まだ幼い感じのする風が ほとと ことと サッシをぎこちなくたたきます 空を見上げれば どこからか飛んできた桜の花びらが まとまって流されていくところでした ほとと ことと ほとと ことと まだまだあどけない調子で サッシが音をたてています 切なくならな…

ひとりぽっち

足りないだらけの ひとりぽっち 欲しいだらけの これっぽっち もうたくさんだと うそっぱち 答えがでなくて ひとりぽっち

満ちているのはいつだって

疎外感だとは気づかなかった いや 知っていたから どうにかなるものでも どうにかできることでもなかった あの頃は 疎外感だと知った いや 正体をつかんだところで 何かが変わったり 誰かがやさしくしてくれたり するものではないのだ どこにいても 疎外感を…

うそつきさんと呼ばれて

四月莫迦もすっかり鳴りをひそめ 困ったことに ほんとの意味での“うそつきさん”らが 闊歩しています 詩人屋さんもたま〜に あんたの商売は嘘をつくことだ な〜んて言われたりしますが 夢も希望も楽しみも 起こったことも起こってないことも 嘘つきめ と片づ…

詩人屋さんのひとりごと-a

いつか笑い話になど できれば話は別だが 空は 人らの願いも喜びも それから妬みも悲しみも 存分に吸い上げておいてから ある日なんの前触れもなく それらをこちらに投げ返す そうそう受け止められるものではないから こっちでわさわさ あっちでざわざわ こぼ…

あなたを知らない

すれ違いざまの 射るような視線は ふれるよりたやすく ぼくを粉々にしていく すれ違いざまの 嘲るような口元は 聴くよりもたやすく ぼくを散り散りにしていく すれ違いざまに 放たれた憎悪が いともたやすく ぼくをバラバラにしていく

やさしい奥さん

夜勤だから先に寝てて あなたがそう言うとき あたしはやさしい奥さんになって 甘い紅茶を差し出す おっ 悪いな あなたは1ミリも疑わず 美味しそうに紅茶を飲み干した お砂糖はちょっとだけ あとは蜂蜜 煮出したタンポポを混ぜ込んだ 夜勤だから先に寝てて 甘…

見上げれば

見上げれば 花舞う風のあどけなさ

片づけものをしています いるものは右の箱へ 手放すものは左の箱へ うう、と迷ったら真ん中の箱へ そうか 自分の心もそうやって片づければいいんだ 女ははたとひざをうち 目をつぶりました 自分の中をよくよく探れば 整理しきれないものばかりが どんどん重…

のばす手の

のばす手の ねこまに避かる春の闇 [訳] 伸ばした手を猫に避けられる春の深夜

風磨きのうさぎ-2

空にも地面にも心地のよい風が満ちています 今日は雨を降らせるお仕事はおやすみ 風磨きのうさぎは トランプみたいな平たい雲に揺られ うつらうつらしています うっかり落っこちないように ふかふかの前足を しっかり雲に突っ込んで ぽかぽか ゆらゆら うつ…