猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

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片づけものをしています

いるものは右の箱へ

手放すものは左の箱へ

うう、と迷ったら真ん中の箱へ

 

そうか

自分の心もそうやって片づければいいんだ

 

女ははたとひざをうち

目をつぶりました

 

自分の中をよくよく探れば

整理しきれないものばかりが

どんどん重なっていくようで

うんざりしてきます

 

ようし

 

女は目をつぶったまま

心の中に大きな箱を3つ思い浮かべました

いるものは右の箱へ

手放すものは左の箱へ

うう、と迷ったら真ん中の箱へ

 

ところが

ものと違って思いは混ざり合っているので

なかなか右や左にすんなり片づいてくれないのです

 

しばらくの間

しかめっ面をして

右、左、うう、と続けていましたが

パチリと目をあけました

 

またにしましょう

いずれは忘れてしまうこともあるだろうし

無理に片づけなくても

まるごと自分なのだもの

 

さてと

 

再び女は片づけものを始めました

いるものは右の箱へ

手放すものは左の箱へ

うう、と迷ったら真ん中の箱へ

 

手放すものが箱にいっぱいになり

女はよいしょ、と箱を抱えて

集積所へ歩いていくのでした