猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

思ったのです-3

しかと日付を思い出せないが そんなに最近のことでも そんなに以前のことでもなく なんとなくつけたテレビに “こうやって掃除するんです” 除菌用スプレーと布巾を手にした人が 大袈裟だのやりすぎだの そんなコメントを まるで気にする風でなく リズミカルに…

思ったのです-2

傷ひとつない両の手を 眺めては 血だらけだと嘆いているのに 涙ひとつ見せない両の瞳を 覗き込まれて 強い人だと謗られます 見た目だけでは伝わらないのに 見た目だけしか信じない 何者なのか 互いにはっきりさせようと 努めるほどに見失って どんどん距離が…

思ったのです-1

叱られたいと 思ったのです 甘いだけの言葉も 尖りすぎた言葉も 今はいらない ただ ちゃんと叱られたい そう願ったのです どんなにわがままだと罵られようと ないものねだりと嘲笑われようと やわらかく笑える日が くるように 泣きたいと思っているのです

詩人屋さんの日常-3(上)

魔法の見える人らが ショコラオレンジ色の夕闇に 干渉することもされることもないと 詩人屋さんはよぉく知っていたのです それでも あたり一面ショコラオレンジ色の中 まるでこの世にひとりだけ そんな心持ちが深くなれば なんだか具合が悪くなる時間だって…

詩人屋さんの日常-2

アイスクリームを舐めおえると 丁寧に顔を洗う 口の周り ほっぺ おひげ 目の周り ほんとうの猫のように ゆっくりと のんびりと 人らに 大猫だ!と指さされることも こわごわ鍵しっぽにさわられることも 気にしなくてよくなったのは 残念というか 安心という…

詩人屋さんの日常-1

鍋蓋のような空の下 あたしはアイスクリームを買う 春と呼ぶには汗ばむほどで 初夏と呼ぶには悲しいほどだ 鍋蓋のような空の下 あたしはアイスクリームを混ぜる 春と呼ぶには汗ばむほどで 初夏と呼ぶには悲しいほどで 鍋蓋のような空の下 あたしはアイスクリ…

鏡像

わたしは私でいるだろうか 私はわたしになれるだろうか わたしが私にできること 私はわたしにできること わたしの私はどこにいるのか 私をわたしは見つめているか 涙の夜も 悩みの朝も 繰り返し繰り返し わたしを私が 生きている わたしは私を愛せるだろうか…

明日がこないかのように-3

明日がくるだなんて そんなこと 誰が決めたのでしょうか 今日と地続きのまま日付がカチリと 回るたび 自分の足元を思わず確かめてしまうのです 明日を意識してないと言えば 嘘になるのだけど 明日がこないかのように振る舞うことが 今を大事に生きることにも…

武装

右手には 誰かが傷つくであろう単語を 左手には 誰もが微笑むであろう出来事を 口元には 少し悲しげな言霊を 手元には好奇心の塊を 足元には光と影が交錯する タオルを取り替えるように 私たちは毎日 何かでもって武装するのだ 右手には 君を泣かせる手紙を …

明日がこないかのように-2

明日を信じることを 時々 やめています 何も 夢を諦めたり 不安から逃げたり そういうのじゃなく 残り時間を数えるぐらいなら むしろ ないものと思えば 今日のこの時間も 愛おしく確かになるというもの 心配症で莫迦みたいだと 笑われても そうかも知れない…

あの日

3のつくうた

3月は あっという間に3週間 休日までは3日足らずで あと3ロールのロールペーパー 3店回ってカラの棚 それでもいいこと3つ数えて ありがとうと 呟いた buraridaさんによるイラストACからのイラスト

心を診る猫の医者-7

頭の後ろあたり 頭の上のあたり 肩越しでもいいので 自分の目はそこにある そんな風に想像してご覧なさい 初めのうちは へたっぴで笑っちゃうぐらいで 構わないから だんだんと 少し遠くから全体を眺められるように なってくるから 俯瞰ってなんだろな よく…

うさぎのお手ふき

パッケージに 誰もが知るうさぎの絵をあしらった お手ふきを使っている 敏感肌に超がつくほどの 体質であるので 以前から手荒れ対策にと 用意しておいたのだ (お財布にもやさしい) 数日前のこと この愛らしい商品が 数倍の価格で出回っているのを 知った …

心を診る猫の医者-6

心配ごとの先回りだけは しないでおきましょう なにも 「備えるな」 「その時に考えろ」 ということじゃないのだけど それで対処できる人は それでよいし 備えれば落ち着いて過ごせるのなら それでよいし だけど 起こっていないことを 考えすぎてもくたびれ…

今日が好きになる

ついにPCもスマホも なんだか不調になったので (というより回線のせいだろうか) 久しぶりに10年日記を引っ張り出した 昨日泣いたけど 今朝はにっこりできたよ 遠い明日 今日が少しでも 「いい日だったんだよ」と 言えるように そう書いておくことにした ky…

日常心と平常心

冷凍庫には作り置きの おかずが数品 戸棚にはローリングストック中の あれやらこれやら 「備蓄」をよくよく確かめて 野菜を少し買い足そうか 缶詰はそろそろ入れ替え時期だねえ 明日は誰もいないからあれを食べちゃおうか パウチのツナでサンドイッチ作ろう…

それが日常だと

マスクの代わりに 美しい言霊と音律を 唇と舌で味わう ハグとキスで 愛を紡ぐ 固く握手を交わし 触れ合う指先にも心がときめく 向かい合って 笑ったり泣いたり 時々怒ったりもする それが日常だと 誰もが心置きなく 叫ぶことができますように

あたしは

使い込まれた言葉より 使い古された言葉を 大事にする人になりたい 時々でいいから そんな人でいたい 懐かしいけどぶきっちょな 昔からの言霊を 心から愛せる人になりたい たまにでもいいから そんな人でいたい

寂しさの理由

心の奥に組み込まれたもの

ただの思い出語りになっていないか 優しさを錯覚してはいないか 確かに人は いつか忘れてしまう 傷が小さくなるように 進むことができるように 太古から 心の奥に組み込まれているのである それでも小さく深く 今日は朝から心が疼く ただの思い出語りになっ…

日常光景

ミリ単位

あれもこれもそれも この店になければあの店へ あるいは ブラウザのタブをありったけ開いては カートに限度数いっぱい 積み上げる 陥りがちなのだ ミリ単位で心配の種を 人は自ら作り出す生命体だから 不安も希望も始まりはどこか似ていて ふわふわと飛び回…

やがて返ってくるものについて-C

猫からの手紙-2

ひと雨きそうな曇り空 きみは 「ぽんっ」と音をたてる 柄つきのバカでかい帽子を ぶら下げやってくる 久しぶりに きみの足元に駆け寄りたいのに バカでかい帽子が今にも 「ぽんっ」と言いそうで いつもより遠くから にゃあにゃあ喚くんだ 振り回されたり 追…

やがて返ってくるものについて-B

当たり前のこと

不思議を感じることは 大人になれば 消える 両親には そう言いくるめられていたのだが 心の隅では 親であっても嘘はつくのだと 妙に納得したものだ (親だからこそ嘘をついたと言えなくもないが) 不思議を感じることは 大人になるほどに色濃く 鮮やかに訪れ…

ほんの少しの言い訳

見えることだけを信じていたら きっといつかまた 痛い目をみるでしょう 見えないことだけを信じていたら きっといつかまた 何かを見失うでしょう 両方をバランスよく思ったとしても きっといつかまた 苦しくなってしまうのでしょう それでもまちがっては い…

土鈴の雛人形

カラカラコロコロ 土鈴の雛人形たちが 手の中で やさしく歌います 手ゆびを拭うためのシートと ドアノブを拭うためのシートを 丁寧に使ったあとで そおっと 両手に包んでみたのです たくさんの段はないけれど 玄関で 行ってきますと ただいまを 受けとってく…

猫からの手紙-1

意識しすぎれば うまく使いこなせないこともある それは 何も魔法だけに限ったことではないのです それを知っていれば 心配の種は小さくなります 眠れない夜も お腹が空かない朝も 過ぎてみれば なあんだ そう思える日がきます がんばれも がんばろうも 今は…