不思議を感じることは
大人になれば
消える
両親には
そう言いくるめられていたのだが
心の隅では
親であっても嘘はつくのだと
妙に納得したものだ
(親だからこそ嘘をついたと言えなくもないが)
不思議を感じることは
大人になるほどに色濃く
鮮やかに訪れる
例えば
思いこみ激しく強すぎる言霊の持ち主が
実は人知れず
底無し沼のような悩みを
抱えていたりするものである
そのことを知っていて
黙っている狡猾さも
不思議ともなんとも思わず
人は案外当たり前に抱えていられるものである