2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧
朝が ざわざわと浸入する 心にも血流にも 地の底にも
初めての雨 初めての季節 移ろいながら咲いて 移ろいながら消える 初めての雨 初めての街 移ろいながら口づけて 移ろいながら泣く
天井に染み込んだ影 あなたが流したひとしずく 天井が吸い込んだ影 あなたが咲かせたひとひらの 天井の黒々とした影 あなたと咥えた夢のあと
記憶はなりすまし 記録は抜け落ちて 森の中 最後に希望と引き換えたのは いじらしいぐらい かすかな呼吸だった ライオンは歌う 眠らない仔は だあれだ 噛み付かれたい仔は だあれだ 夢を食べたのは だあれだ
さかさまの街に 群衆はあふれかえって 地中深く墨色の雲が流れた さびしい体は温もりもとめ 麗句を探してさまよい続け さびしい気持ちは冷たく濡れて 醜く笑って立ち尽くした さかさまの街に 群衆はあふれかえった 地中深くに傘がぶらさがっていた
透明な言葉の中に きっと棘は存在を主張して 黙り込んだ重苦しさは うけとったものにしか わからない でも あけすけな言葉にも きっと温もりが漂っていて 黙り込んだ瞳の色は 駆け抜けるような恋を 予感させた
新しいメールアドレスをひとつ SNSのアカウントをふたつ そして かぞえきれないほどの いいね が 僕から生まれた 使わないままのメールアドレスをひとつ SNSのアカウントをひとつ そして かぞえきれないほどの 悪態を 僕は忘れた
破滅しそうに優しい あなたはそういう人 わたしはいつも見えなくなって ワガママを叫んでた 破滅しそうに愛しい あなたはそういう人 ぼくはいつも見失って 傷つけることしかできなかった 破滅しそうに熱く 破滅しそうに凍えて 破滅しそうに惹かれあっていた
僕の憧れが いつか君を壊してしまいそうで それなのに強がって微笑んだ 僕の明日は いつか崩れおちそうで 瞳さえ合わせられない 僕は君を好きになり過ぎて 言葉の紡ぎ方を忘れてしまった 恋するたびに 黙り込んでしまう 恋するたびに 迷ってしまう
どんなに手の中で 震えても 苦い思いが広がるだけ なぜ 壊してしまったのだろう 声が聴きたい 声を届けたい
僕たちの未来が そのまた未来が どうぞ たらい回しになりませんように
饒舌な星空 うつむく青空 空が全て手放してしまえば だれも泣くことはないだろう 海が全てわすれてしまえば だれも見なくて済むのだろう 地が全て隠してしまえば だれもいなくなるだろう
名前がなかった 初めから持たなかった もうたくさんだと 思っていた 青い青い響きの中 ここにだけ 名前がなかった 初めからなかった
わたしとわたしの 間には いつも見えないドアがある ドアを開ければ いれかわり ドアを閉めては たちかわり それでも座っていられずに 落ちつきなくし 探します どこかに落ちているかもと 夢を見たくて 探します なくてなくして 七色光る 夢を見たくて 慌て…
舌にのせたのは 言の葉のはずだった 伝えたのは 記号ではないはずだった くるしくて せつなくて どうしようもなくなって そっと舌にのせたはずだった こんなふうに 無造作な記憶になって こんなふうに 殺風景な記録になって 曖昧に噛みしめた それすらもう消…
通学途中に浮くのが嫌で スニーカーで思いきり 畦道走ってた 雨の教室 レインコートで浮くのが嫌で 晴れた日と 同じ格好で笑ってた 冷えた足元 まとわりつく制服 鎧よりさびしかった 誰よりもひとりぼっち 誰よりも惨め そんなこと信じて どうかしてた 雨の…
この星の誰もが 心に海を抱えている 漂いながらうつむいたり ささやいたり あふれだしたりする この星の誰もが 心の海を抱いている 戯れながら見上げたり さけんだり 行き場を見失ったりする 人は海で できている 人は涙で できている
捨てたいと願うものほど 下のほうにあって 揺らぎも動きもしないから 上に新しく重ねてみた 捨てたいと願ったものは しばらくそのままだったけど だんだんひび割れ色褪せて 重ねた積み木をのせたまま ふわりふらりと揺らいでる
人の熱が星を裂いて 星の熱が人溶かす 互い違いの大気は薄く 肌にまとわりつくばかり 嗚咽のひと波やり過ごし なおも熱に浮かされる
登り始めはワクワクして 真ん中らへんではドキドキして そっと振り返ってみたりもする 迷いながら泣きながらたどり着いた先に キラキラの風が頬に触れて もっともっと遠くまで歩いていける もっともっと遠くまで歌声が広がっていく 心の向こう側に広がってい…
夜が連れてくるものは いつも小さな灯たち 遠い記憶の雫から 拾い集めた欠片たち 夜が教えてくれるのは いつも小さな言葉たち やさしい舌は偽り奏で ほころびかけた夢を抱く
どうしていつも逆回りなんだろう どうして大事なことは あとでわかるんだろう いつもいつも どうしてあとから心に落ちてくるのだろう
雨が降るなら 傘をさすのに 光がそそぐなら 受けとめるのに 想いはいつも ことばよりも先に こぼれ落ちて 黙ってあなたを抱きしめた
空が見えるようになった 頭の上に ちゃんと空が広がっているのが 見えるようになった あなたがいなくなったから 空が見えるようになった
踊り子たちの 足踏みのように 雷鳴がクレシェンドする 肩に頭をすりつけて 子猫は眠り続けてる 眉月いつしか退場し フラッシュライトに染まる部屋 頬に前足押しあてて 子猫は眠り続けてる
あなたを許した雨の夜 あなたを忘れた月あかり あなたが笑った曇り空 あなたが黙った帰り道
「どうせ」と「だって」を 繰り返すより 黙りこくって星を追った ほんの冗談みたいに 時が止まる ほんの冗談みたいに 涙が止まる
恋におちました 誘うように見上げる瞳 やわらかな手 冷たい耳 恋におちました 舐める仕草も 鳴く声も 忘れることができなくて 恋におちました 流れる尾っぽと 移ろう瞳を持つ彼に 一目で 恋におちました
大切だよ そばにいるよ とても大事だよ 大好きだよ 欲張りは承知 それでも伝えたい だから言えなくて さらさら時が流れていく
日付が変わる 今日が昨日に 明日は今日に どちらでもない瞬間を追い越して 繰り返されていく