猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

予測変換より大げさだから

予測変換より大げさで 不確実な道ならば 未来は不安で面白いんだ 一段抜かしで駆け上がる階段が 残酷なほど正確に もつれさせるけど それさえ「ここにいる」と ひと時夢見る材料だ 予測変換より滑稽で 不確実な道ならば 未来は不安で面白いんだ

問わず騙り

傷ついても泣かないきみを ふわりと抱きしめては 羨ましくも 疎ましくも 感じたものだ 笑うのも泣くのも 小うるさいほどの自分とは 大違いだ 傷つけても泣かないきみを ふわりと抱きしめては 羨ましくも 疎ましくも 感じたものだ 笑うのも泣くのも 小うるさ…

速度

言の葉の届く速度が 海食(※)と同じとさならば かく傷つくこともあらざりけむに ※作者註…浸食

季違ふも

愛の搾かす

高望みせず それぐらいでもいいんじゃないか あたしはカスカスのレモンを 齧りながら きみの横顔を今日も愛でる 隣に座ろうが 肌が触れようが 一向に縮まらない二人の距離を 嘆く気にもならず たまに搾かすほどの 何かが心にぽちゃりと落っこちる もうそれだ…

愛より(た)やすく

愛を啜る人

愛を啜っては 真実ではないと吐き出すのだ そのくせ不機嫌の塊になり まだまだ足りないとばかりに 貪り続けるのだ 闇は揺れ 光は揺れ 入り乱れて影を落とす 群れに染まれない心を 誰が知るだろう 愛を齧っては 偽りだらけだと吐き出すのだ そのくせ不機嫌の…

海へ還る

微笑みも涙も 愛も憎しみも あなたに還っていくのでしょう それでもどこか どす黒く 生きる限りは汚泥を抱え 愛を飲み込んでは 消化できずにいるのです 微笑みも涙も 愛も憎しみも あなたに還っていくのでしょう いつかはきっと ついには必ず あなたに還って…

買わなかったもの、または買わなくなったもの-4

水切りかごの新調をやめた。 きっかけは、吸水マットの出会いである。 このマットに出会うまでは、水切りかごが傷むたびに買い換えてきた。 そろそろ書い直す時期だろうか、と考えていたところ、会員になっているネットショップで、マットの取り扱いがあるこ…

ずいぶん遠くに来てしまう

体は熱を帯びるのに ずいぶん心は冷え込んで 宇宙に閉じ込められたまま ずいぶん遠くに来てしまう きみは笑って呼び止めた 僕は戸惑い立ち止まる どこにも行けはしないのに ずいぶん遠くに来ていたな 体は熱を帯びるのに すっかり心は冷え込んで 宇宙に閉じ…

「さびしい」が佇んでいる

「さびしい」は「さびしい」でうめていくのだ ものでも言葉でもなく 「さびしい」感覚そのものと向き合うだけでいい 自分が「さびしい」ことを知ること 「さびしい」の正体を知るより 「さびしい」に招待されるぐらいの つもりでいればいい 「さびしい」は「…

誰かの日常

わたしはさがす

わたしはさがす 記憶の隅を 想い出の端を 心に刻みつけたはずの 風景を わたしはさがす きみの口ずさんだ歌を 退屈なあの映画を わたしは漂う 愛の記憶と憎悪の海を ほんの少しの真実を求めて

うつろいごと

禍に思う

始まった頃 突拍子もないケガをして 通院した ひと目で重傷とわかる姿で 買い物する 人の温かさにも冷たさにも 深く触れた 通院が終わる頃 突拍子のない出来事で 離れた家族らと顔を合わせた 彼らの健やかな日々を確かめるうち 仲良しだった猫にマスク姿を嫌…

わたしたちは道の途中で泣く

わたしたちは 道の途中で泣く 泣きながら明日を紡ぐのである いつか笑うために さめざめと泣くのだ わたしたちは 道の途中を知る 泣きながら世界を紡ぐのである いつか笑うために さめざめと泣くのだ 幸せだったと気づくために 泣き続けるのだ

孤独考-4

好きあってはいたのでしょう 互いに心地よく 互いに尊敬して 悩みは隠さず 愛情を育てつつ 穏やかに続く時間を信じていたのですから あなたがいない時間が 愛しくて大切になってしまったのは 計算違いでした ひとりでいる砂糖菓子のような多幸感は じわじわ…

2回目-番外編

2回目接種の番外編。 発熱は37度弱でおさまったのだが、いつまでも体の中から熱感が抜けなかった。 この時、いちばん「美味しい」と感じたものは、スイーツでもうどんでもおむすびでも豆腐でもなかった。 丁寧に洗って、皮ごと煮込んでおいた大根。 パクつい…

するりくるり

するりくるり きみがつぶやく するりふわり ぼくはかわす するりふわり きみがうたう するりくすり ぼくはふりむく するりくすり きみはみあげる するりくるり ぼくはさまよう するりくるり きみがささやく するりくるり ぼくはみつめる *RF素材

孤独考-3

この時代、完全に孤独な状況に陥るのは不可能に近い。 よほど意識していないと、難しい。 恐ろしいことに、称賛も断罪も指先をちょちょっと動かすだけでよい。 だが、心はたやすく孤独になる。 孤独だと思いこんでしまう。 決して悪いことではないのに「良い…

忘却と問い

わたしが強くなったのでしょうか この世が薄れていったのでしょうか 不確かなものほど敬われ あるべき姿ともてはやされる わたしが弱くなったのでしょうか この世が暴走していったのでしょうか 確実なものは崩壊の一途を辿り カラの器に嘆きが遺る わたしが…

2回目-3

3日目の朝。 起床時の体温は、36.4度。その後も安定していた。1度目の接種時に比べて、楽だったと思う。 体内の熱感が幾らかおさまってきた。 接種箇所の痛みは相変わらずだが、範囲が狭くなっている。塗る鎮痛剤(骨折時に処方されたもの)と、冷却シートで…

2回目-2

2日目、起床時の体温は36.4度。 腕の痛みと軽い頭痛、味覚の変化は特になし。体内の熱感は変わらず、家の中ではブラトップで過ごした ともかく、暑くてたまらない。クーラーや扇風機を適宜使用する。 接種の前日、コーヒーを飲まなかった(アルコールはもと…

2回目-1

2回目の接種が終わった。 1回目と同じクリニック。個別接種である。 ちょうど連休の狭間にあたる平日が予約日だったため、待合室は混み合っていた。 それでも、自宅からものの数分という距離は、大変にありがたい。 今回も受付で検温があり、無事に接種の運…

お友達とさらさちゃん

さらさちゃんが中学校の頃 ようやっと 心の底から何でも話せるお友達ができたのです その子は ちょっとだけ複雑な…と思われがちな 家庭環境でしたが 自分もどちらかと言えばそうだったので さらさちゃんはちっとも気にしませんでした やがて お友達のおかげ…

雨の狭間 風の狭間

雨の狭間に風の狭間に あなたの声を探さなくなる未来を 「我がもの」と寄り添えるだろうか もはや忘却は 知恵でも智恵でもないとすれば かみさまから愛とともに贈られた ギフトであるならば もがき続ける日々の 救いにもなろう 雨の狭間も風の狭間も あなた…

凍え続ける夜

月が満ちても 月が欠けても ああ夜はなんて長いのかと 嘆くばかりだ 祈りの果てを求めれば 指先はすでに冷たく 願いの先を見据えれば 誰かがくすりと笑った 月が満ちても 月が欠けても ああ夜はなんて長いのかと 嘆くばかりだ 1秒は果てしなく 僕は凍え続け…

買わなかったもの、または買わなくなったもの-3

今風に言えば「推し活」をしている。 と言っても、SNSでもそこまで語っているわけではなく、イベント参加の回数もそんなに多くはなく、グッズは今や買うよりも、何かに応募していただくことのほうが多くなってきた(ありがたいことです)。 よって、活動と言…

折節は世より急ぎ足なり

トーザ・カロット岬の毛糸屋さん〜雲ちぎりのシロップ、味見〜

トーザ・カロットの岬に再び 暑くも寒くもない素敵な日がやってきました ちょうど 雲ちぎりのシロップが出来上がる頃 「半分忘れる魔法」がほどけていきます 猫そっくりの毛糸屋の店主は 何か楽しいことがありそうだけど それはなんだったのか すっかり思い…