この時代、完全に孤独な状況に陥るのは不可能に近い。
よほど意識していないと、難しい。
恐ろしいことに、称賛も断罪も指先をちょちょっと動かすだけでよい。
だが、心はたやすく孤独になる。
孤独だと思いこんでしまう。
決して悪いことではないのに「良いことではないのかも」という考え方が脈々と受け継がれてきたからだろう。
孤独と寂しいは同義語ではないのに、なかなか切り離せない。
恋人と一緒にいた頃、どれほど不安で孤独だったろう。結局は、互いの「孤独感」が膨れあがって、たちゆかなくなった。
「寂しい」が続き、泣いてばかりだった。
だが、二人でいた頃よりずっと「孤独」は軽くなった。
その人の声も顔も思い出すことはない。
濾過できたのか、吸収してしまったのか。
どちらでも構わない。
今となっては。