猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

一筆箋

選びがちな色がある 薄いピンク、桜色と君は呼ぶだろうか スマホカバー ボールペン そして 久しぶりの一筆箋 春でもないのに 夏でもないのに ましてや恋でもないのに 選びがちな色がある 薄いピンク、桜色よと君は笑うだろうか キーケース 淡く溶けるケーキ …

逃げれば惑う恋の月

二月きさらぎゆきげつき 逃げれば惑う恋の月 二月けいふううめみづき 追うほど増すのは悲しみだけで 二月友チョコ本気チョコ 逃げたい追いたいあなたに逢いたい ランキング参加中詩

身勝手だとしても、だ

沈黙が好きだ その時間が愛しく溺れたくなる それを寡黙とも大人しすぎるとも (あるいはどっか足りないのか?と) 過ぎる心配と比べ過ぎマウントに 悩むことの多かったこと! モラハラという単語はまだ 一般的ではない頃の話 はてさてそんな家庭に育っても …

束ねる

甘くあたたかで口溶けのよい 言葉を 罪と悔いとで 斜めに束ねました チョコレートみたいだね、って あなたが笑うからです ほんとうにとろけそうな眼差しで わたしの時間をとりあげるからです ランキング参加中詩

喉が乾くとき

あなたのことを思うたび とても乾いて ただそこにある愛を飲み干したくなるんだ だけどいつまでも満ちることはなくて あなたの声を忘れてしまうんだ あなたのことを思うたび とても乾いて ただそこにある優しさを飲み干したくなるんだ だけどいつまでも満ち…

雲合わせの夕刻

猫街区域は夜のはじめまで空落ちにご注意くださいその後は雲合わせのできる気象条件となるでしょう 立ち上げたままの音声アプリが 風変わりな天気予報を告げる 雲予報士による特別予報で 素敵な音楽の 音符と音符の間に隠されるように流されるものだから 知…

それでも黙っていなさいとあの人は言った

次はないかもしれない それでも黙っていなさいと あの人は言った そうして真夜中にいってしまった 伝えるべき人の名を 伝えるべき人の居所を遺しもせず 面倒ごとと秘密ごとに程よく時限装着を仕掛けて そうして夜中にいってしまった 家族の定義をわたしは知…

あなたはそれを知らない

さびしいと恋しいを 天秤にかけては またあくびする あなたはそれを知らない 優しさと距離を かけ合わせては またあくびする あなたはそれを知らない 怒りと孤独がないまぜになり 深く息をする あなたはそれをまだ知らない ランキング参加中詩

見送り

懐かしく奏でられている 母に抱かれるような 父と手をつなぐような 懐かしく奏でられている 体の中から頭の中から 知らない旋律の 血脈の 誰に教わったのか 誰が口ずさんだのか 懐かしく奏でられている 微笑みの中から涙の奥から 死の途を歌う ランキング参…

SNSでいわゆる「片思いフォロー」させて頂いている人が、亡くなった。 そのうちの一人には、生前2〜3回ほどお会いする機会があった。とっておきの裏話が茶目っ気たっぷりに明かされたトークショー、涙が止まらなかった作品の舞台挨拶、優しい笑顔と声。 サ…

梅雨入り

ランキング参加中詩

せめてもの空を知る

人生は我慢大会地獄じゃないけど やりたい放題天国でもなくて 節度と突き抜けを交互に編みながら 逃げもせず嘆きもせず 笑えども泣けども この命に閉じ込められ せめてもの空を知る ランキング参加中詩

ざらざらと

ランキング参加中詩

泣く日

感情がもたついて 足どりまで鉛のようだ 舌はパリンパリンに乾いて 愛を歌うことも忘れ 灰色に染まる景色 それでもまだあなたを忘れられない なのにまだあなたに会いたい ランキング参加中詩

あなたを思うとき

愛をうたうとき 少し背伸びする 憎しみを紡ぐとき 少し懐かしくなる 悲しみを編むとき 少しやさしくなる あなたを思うとき わたしは幸せになる ランキング参加中詩

心もよう

しまいこんだのはちょうど去年の今頃 わたしはまだ はじめましてを知らなかった とりだしたのはちょうど半年前のこと わたしはまだ その言葉を知らなかった かたづけようと決めたのはちょうど3日前のこと わたしはまだ その時間を抱きしめていたかった ラン…

手帳

ピンクの表紙を選んだから あたしの衝動は忘れ去られ 赤の表紙を選んだなら あたしは心を決めていた 緑の表紙を選んでいたなら 生真面目に振る舞ったかしら 青の表紙を選んでいたら 涙に暮れていただろうか ランキング参加中詩

みおくり

冬を忘れたひと

なあに雪って 空から降るのは雨 水が落ちてくるだけでしょう おかしなことを言ってるのね 寒いですって たくさん重ねて着ればいいだけでしょう 道が凍ってたですって おかしな話をするのね 季節は春だけよ 春だけでじゅうぶんなの 夏も秋もつまらないわ だっ…

明度

ある街にある人が引っ越した

まだまだ子どもで まだまだ夢いっぱいで 少ぉし背伸びが嬉しくて ちょびっと親にも秘密を作って そんな時代のお話 ある街にある人が引っ越した ある人とは幼稚園の先生で すご〜くすごく優しさと厳しさを 愛たっぷりに届けてくれた 素敵びと たまたまそうい…

金色うさぎ

飴玉を頬に隠すみたいに 好き、を心に忍ばせる 花束を慌てて背中に回すみたいに あなたの名前、を忍ばせる せめて金色の うさぎになって いつか光の体になって 守ってあげたい 触れることも叶わぬのなら 飴玉を頬に隠すみたいに 好き、を心に忍ばせる 花束を…

きみに会う夜、

きみに会う夜、少しだけ無理をする 肉体から黒い感情を切り離し 心から暗い景色を追い払い ちいっと高価な靴を履く きみに会う夜、少しだけ無理をする 背筋を伸ばし柔和な笑みを瞳にたたえ あたたかな単語を口の端から さりげなくこぼす きみに会う夜、少し…

あなたに会えない日も

空の色は こんな色ではないかもしれない もっと灰色で濁っているかもしれない 寒くはないかもしれない 喜びに溢れているかもしれない きっと悲しいふりをしているだけだ 空の色は こんな色ではないかもしれない もっと清々しく凛として 泣いたことなど忘れて…

手の中の恋

あなたを知る人の多くは あなたが知らない人ばかりで あなたを知らない人の多くは あなたがよく知っている人だった 不条理はいつもそばに 不義理もこの胸の中に 手の中の恋がいっそ かき消えてしまえと祈りながら 晩秋が溶けるのを眺めている

のたうちまわるほどあなたが好きだ

のたうちまわるほど あなたが好きだ 夜ごと夜ごと夢で逢瀬を願うほど あなたが好きだ のたうちまわるほど あなたを想う 朝な夕な寒くはないだろうかと心砕けるほど あなたを想う のたうちまわるほど あなたが好きだ 絶望と孤独の中で溺れても あなたが好きだ

拝啓あなたの想い出の中に

拝啓 あなたの想い出の中に 僕はいますか どこかで眠ったままでしょうか それとも死んでしまったでしょうか 眠ったままなら夢でも逢えましょう 死んでしまったなら諦めもつきましょう 僕はどうやってそれを確かめましょう? 拝啓 あなたの記憶の中に 僕はい…

遠雷

遠雷を辿れば まだ夜は深くて 夢すらも扉を固く閉ざしている 秋がくる夏がいく 空が高く風が吹き抜ける あなたはもういない あなたに会いたい まつ毛にとまった涙を払えば まだ朝は遠くて もぐりこむ毛布に希望を探す 秋がくる夏がいく 空が低く雨が吹き抜け…

深くなるのに

好きが深くなるのに 「優しさ系の見せしめじゃないの?」 そんなふうに言われたから 心を隠して曖昧に笑ってる それでも綺麗なことばかりでないのは 百も千も承知 かみさまが閉ざした宇宙は 思いのほか狭苦しくて息が詰まる 好きが深くなるのに 「傷つけ方も…

口癖

君の口癖が舌の上でのたうち回る あたたかく愛という滋養に満ちた それは素敵な口癖だ もう聞こえない もう会えない 傷つくには充分すぎる事実で よりによってこんな夜に 思い出に浸らずとも 君の口癖が舌の上でのたうち回る あたたかく愛という滋養に満ちた…