猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

安堵

もう過去に縛られなくていい 求婚されたとき そう安堵した もう誰も待たなくていい 別れを決めたとき そう安堵した

特番

少しは

光に満ちた未来を 力強く信じられれば 上滑りする感情や どこまでも絵空事の世界を 少しは愛せるだろうか 笑い飛ばせるだろうか

こぼした涙を拭うより

こぼした涙を拭うより こぼれた夢をふくらます なくした恋を嘆くより なくせた重荷に微笑んで 1日が終わるように空も終わり続け 朝が始まるように星も始まり続ける 上を向いて下を向いて ただ歩き続ける たまに振り返りながら

あたしについて-1

自信家ではない あるわけがない 持ち前の執念深さがあるだけだ 努力家ではない あるわけがない ただ続けることを好むだけだ 親切ではない あるわけがない 寄り添える言葉を知っているだけだ やさしくはない あるわけがない あなたを忘れることができないだけ…

やさしいさびしい眠りだけを

やさしいさびしい眠りだけを あなたにそっと届けましょう 潜れど潜れど浮きあがる 鳥によく似た魚のように やさしくさびしい眠りだけを あなたにそっと届けましょう 潜れど潜れど濁りゆく 底なし夢の奥の奥 さびしくやさしい眠りだけを あなたにそっと届けま…

豆でもいかが?

影ふたつみつ 揺れ隠れ ばばさまゆっくり豆洗う 光さんさん じれたよに ばばさまことこと豆を煮る 鬼さんこちら かってもまけても逃げやせぬ 豆でもゆるりと食うていけ

迷惑

相変わらずの“偽メール”は タイトルも手口も巧妙で もう笑うしかないほどだ 開きも触れもせず ゴミとして処理するのが常である あまりにも巧妙で フィルターをすり抜けたものも同様 すでにブックマークしている本物のサイトで 自分宛のお知らせごとを確認す…

お揃い

嬉しいな、楽しいなと思うより先に 「他の大勢の誰かと同じものを持つことになるのか」 と、ほんのりと抵抗を感じてしまう。 シリアルナンバーでもあれば、また違う印象になるのだが。 推しさんのグッズにそこまで究極に熱心ではないのは、そういう心持ちが…

作業は続く

Instagramのアカウントをまとめたくて、日々奮闘している。 PCであれば、複数アカウントは簡単に切り替わる。 ところが、どういうわけかスマホでは二段階認証になっている。 Wi-Fiが途切れた場所にいたり、しばらく使わないままでいると「あなたのアカウント…

夢問い語り

ワタシは問う 夢は何かと ワタシは答える もう叶ったので夢はいらないと ワタシは問う 夢のありかを ワタシは答える 生きていることが そもそも夢のようだと ワタシは問う 夢を叶えたいかと ワタシは答える すでに夢の中にいると

数えられないもの

雨のつぶ 生まれてから泣いた回数 幸せ 不幸せ 大好きって思ったこと 大嫌いって石ころ蹴飛ばしたこと 紡ぎかけたものを捨て去ったこと キミのことを思う回数

しかし私は鍵を開け

キミが壊れないように 言霊で守りましょう 不幸に気づかなくてもすむように 心に鍵をかけましょう 寒さがつのれば抱きしめる 暑さがつのれば木陰で過ごす あの子に負けないように生きなさい あの子を見返してやりなさい さあさ 心の鍵はしっかりかけて 何に…

恋に落ちるまでは

打ち捨てられたカケラなど 興味はなかった “燃えさかる”の枕詞も どこか他人ごとで 恋バナを舌にのせるたびに 心は冷えこむばかりだった 打ち上げられる季節になっても 心は動かなかった “雪も溶けるほど”の枕詞も どこか絵空事で 無理にうなずきながら苦笑…

置き土産

ひきだしの中身と大人を生きること

誰かの「幸せ」まねごとリストだっていい 愚痴リストだっていい 捨てようと迷っているものリストでも なんでもいい 時々 引き出しの中身を床にぶちまけて おいおい泣こう ギャンギャンわめこう それでもやっぱり 別れたくないと思ったものだけ ひきだしに戻…

ある日。

悲しみの感情が 心臓になだれ込む 僕は「ちらり」と横目で見やり 泣くかわりに 眉間にこっそり皺をつくった 長く「大人」を生きていると 心のままを表に出せば 不利になることが増えるばかりだ 嘘をつくのに疲れても 嘘を生きるのに慣れすぎて 悲しみさえ 他…

複雑

苦くて重いことが愛だと諭され 「いらない、そんなの」 本気で宣言した 思春期は厄介だ 遠くなりすぎた今でも 思い起こすたび恥ずかしくて 地の底までもぐってしまいたくなる 言葉通りでない態度も 愛だと決めつけられ 「なにそれ、頭悪いんじゃないの」 本…

初詣

やさしいやさしい曇りの午後に

やさしいやさしい曇りの午後に やさしいやさしい彩り求め やさしいやさしいひと時を やさしいやさしい気持ちで過ごします やさしいやさしい街並みの やさしいやさしい紅茶の香り やさしいやさしい約束かわし 次の冬を想うのです やさしいやさしい曇りの午後…

やってみ

すこおしだけ ほんのすこおしだけ 今より ついでに私より不幸になあれ そんなことに思いを砕いていたことも あったっけね 全て自分に返ってくるなんて 知らずにいたもの 昔々のお話よ 身に覚えがあるのなら そんな自分の心にも 「よしよし、平気だよ」 って…

いちねんせい-1

思えばこの星の住人全てが いちねんせいだった 否応なく 構築と崩壊のロンドの中に 投げ込まれたのである すなわち 噂に惑わされ忌み嫌う風潮がいっそう濃くなり 善意も悪意もひとり歩き 離れ離れになる命たち それでも繋がろうとする命たち 「大丈夫」「平…

夢を繰り返せ

夢はモノクロ 寒々しくも軽やかに 力強く駆け上がる勾配を どんどんぐんぐん 夢は終わらない 光も影も味方につけて 寒々しくも軽やかに いつまでもいつまでも 夢を繰り返せ 謗りも妬みもどこふく風 寒々しくもひとり進め モノクロの足跡残して

アオハル話

たちまち画面が暗くなり バスの中で居場所をなくした ただただ心細く ひたすらひとりを恥じた 今ではなんでもないこと 今ではなんとかなるでしょ、と笑い話 だけど アオハルは些細なことさえ重く抱えて 世界から切り離されたと ひたすら静寂を恥じるのだ 誰…

猫のいる光景

寒い 暗い でも悪くない 冷たい 歯痒い それも悪くない 仕事だし 雪だし うんうん まずまずの朝 いってらっしゃい いってきます あたしの笑顔 あたしの涙

喧嘩

あたしを隠す

そのうち冬は もっと濃くなって あたしを隠す やっとようやく 気兼ねなく 足跡残して 飛び跳ねる 耳を澄まして 少し怯えて そうっとそっと 小首かしげ また ひたすらに走ってく そのうち冬は もっと深くなって あたしを隠す 愛と祈りを織りあげて

樹と実

その樹はたしかに わたしの中で息づき 彩りよくアンバランスに 実をつけている 悪意を抱けば鈍色に 祈りを抱けば虹色に 光と闇を往復しながら 根を張るのだ 時にかすれ 時に潤い 時に曇り 時に消え去る ゴロゴロと実は落ち なみなみと心が満ちる その実はた…

ジェンガ

秒針を積み上げよう そこから憎悪と嫉妬をとり去ってしまうのだ もしもバランス悪く崩れれば それはきっと あなたにとって必要な成分だったかもしれない それでも いちどすべて壊してみればいい 手放してみればいい また生まれるのだから あきるまで 何度だ…