猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

深くなる

季節から見放された風を 集める気にもなれぬまま 雨も夏も深くなる 望めば 星のどこにいても (あるいは星の外にいても) 何気ない会話から酒席まで 叶うのに 虚しさに寝返りだけが増えていく 仕事も恋愛も 誰にも会わずに完結する世界は 未来的で少しロマン…

委ねるうた

*作者註〜「むれ」「キョゾウ」の解釈は読者に委ねます

僕はそんな理由で川から離れたそのはず

はしゃいだ言葉に うっすらまとわる 妬みと嫉みを 鋭く感知し くしゃみが止まらなくなる ああ まただ 消しても隔てても 流れつくものに 今夜も辟易する だから 次第に辛くなって 僕はデジタルの川から 離れた それでも 隠されればかえって ほじくり返したく…

想いあふるる

恋愛相談

できることを あるいは できそうなことを 始めるのは楽しい 違うかなぁ そう思えば手放す 好きかも そう思えば抱き寄せる 恋愛も そんな具合に簡単ごとならいいのに 女友達は 僕の気持ちを知ってか知らずか そんなことを言う “友達”という言葉が 僕にとって …

雨深く

詩人屋さんの日常-8〜旅する先輩が送りつけてきたひとりごと

「私も!」だけにならない 「私も同じにします!」をちょっと変えてみる 「私は」を大事にする 「私だけ」を見つける だって 「私」と「あなた」は 違う命を生きているでしょう? 同じでないこと 重ならないこと たまに居心地悪いこと (家族だってそうだよ…

距離

あとひと月もすれば ふみの日が巡ってくる 恋人と送り合うのは たいていは絵文字かスタンプで 文字をしたためることなど 何年休んでいるだろう マスク越しの笑顔は 嘘ではないにしろ 僕は不安になってしまうよ ソーシャルディスタンスより 遥かな隔たりが ふ…

心を診る猫の医者-11

褒められるために 料理をしたり 掃除をしたり しているのだとしたら そうならなかったとき 寂しくなったり 虚しくなったり するでしょう? だったら いっそ わたしが気持ちいいから そうしているんだ と 自分で自分の 頭でも腕でもいいから やさしくぽんぽん…

きみといたことがとてもとても幸せだったといつか思える日が来るように

雨あがりの朝 虹を見ながら バイバイって言い合おう poko26 さんによる写真ACからの写真

心を診る猫の医者-10

おはよう 今日はありがとう 雨もたまには心を洗ってくれるものです あなたはどうしていましたか 春はもう 存在すら感じられなくなっているけれど そうですか 晴雨兼用の傘を使うのが お気に入りなのですね あれはいい 人らにも猫らにも ちょうど良い どんな…

無“住”力のススメ

ふわふわ不安な気持ちの中に おっかなびっくりでよいので 空間を作ってみる 誰も住んでいない 心地のよい部屋です 初めのうちは 狭すぎたり 広すぎたり なんともおさまり悪いのだけれど そのうちだんだん あたりまえになってくる それがあなたの支えになる …

だから。

あなたはあたしを 苦くえぐって 食べてしまうの だから いつも空っぽになる あなたはあたしを 深く抱きしめ 壊してしまうの だから いつもひとりぼっちになる あなたはあたしを 甘くほどいて 刻んでしまうの だから あなたの思い出に なれないの 1123_daさん…

素直になれない

君が話してくれるのは 遠くて苦い誰かの物語だ 友達の話よ 少し得意そうに つけ加えた 僕と君の間には ついぞ紡がれず 舌の上で溶ける 甘い西洋菓子のようなお話だ 君が話してくれるのは 近くて古い誰かの物語 わたしたちのことなんかじゃ ないわ 少し不機嫌…

改変

触れることのできないものたち

雨降りと土曜日の気分

ぽんこつくじら

ミントブルーの空の中 ぽんこつくじらが大あくび お口をあけたら飛びこんだ マリンブルーの丸いもの ミントブルーの空の中 ぽんこつくじらは飲みこんだ お口をあけたら飛びこんだ マリンブルーの丸いもの その頃地上は大さわぎ ショコラオレンジの闇はれて …

なんでもなさそに

告白の心得

照れたように笑って さりげなく それが難しければ 相手が「なあに?」と 振り向くほどの 気持ちのいい声量で 心をこめて

詩人屋さんの日常-7

命を編み直すことは 難しいのだけど (セーターのサイズを整えるようには いかないから) 心がもつれたことに 気づくことも たやすくはないのだけど (なかなか見えないものね) 絡まった結び目を のんびりほどくだけの 1日は 誰にだって必要だ 人らより頻…

実火槻〜みかづき

人のあらぬ確かめて マスク外さば 六月風 槻(けやき)に実る みかづきに 禍の終わりなど 尋ねたりき

心を診る猫の医者-9

柄にもなく そう 会話の中に登場する ありふれた言い回しです そうですか あなたらしくないと あまりにも言われ続けるのが 苦しくて それで体も心も 固くなってしまったと 人らは 「柄にもなくそんなことして」 「柄にもない、似つかわしくない」 「あなたは…

ひと呼吸ふた呼吸

心地よさを生む人

嘘のつきかた

過剰に笑いも泣きもせず 飾ることもせず シンプルな言葉で わかりやすく話すことが コツなのですよ

雨と心の重さ

雨と心の重さは 比例するのだという 論文を読んだことがある 誰でもアクセスできる場所に その論文は 公開されていた 雨粒100粒ごとに 心の重さは1ng(ナノグラム)増す だから 雨が降ると眠くなったり悲しくなったり するのだそうだ 禍の中にあって そんな…

あなたのため

あなたのための ラブソングを 僕は作らない あなたのための 涙を 僕は流さない あなたのための ハグを 僕は手放して あなたのための 微笑みを 命に変換し続ける

雨を理由にしない きみと別れるとき そう決めた 雨が降っても泣かない 傘を盗まれたとき そう決めた 雨を嫌いにならない 5月が終わるとき そう決めた 悲しいことが多すぎる 新緑の街で