猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

アリスを追いこす白うさぎ

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ぼくはささやかに拗ねていた

 

あれほど急いだのに

夜のあの瞬間の角っこに

いちばんのりできなくて

光がするりと身をかわす

 

花冷えを独り占めしたいわけでも

闇を抱きたいわけでもないけれど

 

ぼくはささやかに拗ねていた

 

あれほど急いだのに

朝のあの瞬間の真ん中に

今日は

いちばんのりできなくて

時間がするりと身をかわす

 

朝焼けを独り占めしたいわけでも

きみに会いたいわけでもないけれど

 

体の奥にぽかっと穴が

ひとつだけ

 

アリスを追いこす白うさぎ

どうかぼくの手を離さないで

穴のそばで見守って