2019-04-19 葡萄 ふたり あまりに喉が渇いていたので 葡萄にかじりついた 舌の上で広がるえぐみは きみと交わしたキスのように まとわりついてはなれない あまりに心が渇いていたので 葡萄をのみくだした 喉の奥にあふれる甘さは きみと交わした体温のように まとわりついてはなれない あまりに夜が渇いていたので 葡萄を揉みしだいた 手の中で壊れる果実が ふたりの涙のように まとわりついてはなれない