猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

葡萄

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あまりに喉が渇いていたので

葡萄にかじりついた

舌の上で広がるえぐみは

きみと交わしたキスのように

まとわりついてはなれない

 

あまりに心が渇いていたので

葡萄をのみくだした

喉の奥にあふれる甘さは

きみと交わした体温のように

まとわりついてはなれない

 

あまりに夜が渇いていたので

葡萄を揉みしだいた

手の中で壊れる果実が

ふたりの涙のように

まとわりついてはなれない