いわゆる毛糸の帽子や、耳マフと呼ばれるもの。
擦り切れたりなんだりで、手放しては買い替えしてきたのだが、ようやっとそのサイクルから逃れられそうである。
フィッシャーマンキャップ、という帽子をご存じだろうか。
ベレー帽にも、つばのごく浅いニット帽にも見える帽子である。
もともとは、船上のように風の強いところで働く人のためのものであるらしく、強風でも飛ぶ心配がないという。
サイズの調整ができる。
男女兼用で、年齢やファッションを選ばない。
値段が手頃で、家で洗える。
その点が気に入り、試しに購入したのだった。
ある風の強い日、所用で夕刻まで外にいた。
フィッシャーマンキャップも、帰宅時まで被っていた。忘れるほど軽く、ほどよくあたたかく、ヘアスタイルを気にしなくてよかった。
もちろん、飛ばされることもない。
ベレー帽のように、角度や被り方に少しばかりテクニックがいるというわけでもない。
そんなわけで、ニット帽を買わなくなった冬である。