身も心もどっぷり浸しきって(仕事だったから)いた頃
嫌いではなかったが
“ああ音楽のない世界に身を投じてしまいたい”
度々思っていた
気づけば半ば無理やりに
ほぼ投げやりにそこにいて
どっぷり身も心も浸しきっていたのだった
いつしか
音楽へ導いてくれた人も鬼籍に入り
雛鳥らも巣立ち
「どっぷり」の意味も理由もなくなったところで
それでは、とばかりに
手放し放題の日々が始まる
悩まなくはなかったが
迷いはなかった
しばらくして
音楽を聴くのがこんなに嬉しく楽しいことなのかと
生まれて初めての感覚に満たされ
やっと断ち切れた
足元は不安定でも
ずっと続くわけじゃない
反対もまた然りである