猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

どっぷりだった頃

身も心もどっぷり浸しきって(仕事だったから)いた頃

嫌いではなかったが

“ああ音楽のない世界に身を投じてしまいたい”

度々思っていた

気づけば半ば無理やりに

ほぼ投げやりにそこにいて

どっぷり身も心も浸しきっていたのだった

 

いつしか

音楽へ導いてくれた人も鬼籍に入り

雛鳥らも巣立ち

「どっぷり」の意味も理由もなくなったところで

それでは、とばかりに

手放し放題の日々が始まる

 

悩まなくはなかったが

迷いはなかった

 

しばらくして

音楽を聴くのがこんなに嬉しく楽しいことなのかと

生まれて初めての感覚に満たされ

やっと断ち切れた

 

足元は不安定でも

ずっと続くわけじゃない

反対もまた然りである

 

 

 

f:id:Sala-Y:20211217103937j:plain