猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

首都-3

耳がキンとして

眠りから目覚め

現実感のないまま斜めになった光たちを眺めた

 

高速ビルからの夕日と

有名写真家のパッションあふれる展示と

併設のグループ展のあたたかさと

先ほどまで囲まれていた鮮やかな龍たちと

そんな幸せな時間を抱えて

機内でうとうとしていたところだった

 

思うように旅できるわけでないが

なんとかギリギリのタイミングで

少しだけ緊張に耐えながら

マスク下でいつもより優しい顔になって

首都のあの街へと出かけた

 

旅は過去も未来も内包していると

長らくその意味がわからなかったが

ぼんやりした現実感の中

地に足がついてないせいか(文字通り)

妙に全てが染みてくる

 

耳がキンとして

眠りから目覚め

現実感のないまま斜めになった光たちを眺めた

気流が少し乱れ機体が少し揺れ

それすら何処か懐かしく

飽きずに窓を眺めている

 

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