耳がキンとして
眠りから目覚め
現実感のないまま斜めになった光たちを眺めた
高速ビルからの夕日と
有名写真家のパッションあふれる展示と
併設のグループ展のあたたかさと
先ほどまで囲まれていた鮮やかな龍たちと
そんな幸せな時間を抱えて
機内でうとうとしていたところだった
思うように旅できるわけでないが
なんとかギリギリのタイミングで
少しだけ緊張に耐えながら
マスク下でいつもより優しい顔になって
首都のあの街へと出かけた
旅は過去も未来も内包していると
長らくその意味がわからなかったが
ぼんやりした現実感の中
地に足がついてないせいか(文字通り)
妙に全てが染みてくる
耳がキンとして
眠りから目覚め
現実感のないまま斜めになった光たちを眺めた
気流が少し乱れ機体が少し揺れ
それすら何処か懐かしく
飽きずに窓を眺めている