猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

ロボット・クリーナー

“そもそも走らせること自体が不可能でしょ”

あの人は自嘲気味に呟くだろう

 

決して私を責めることなく

“自分が片付けるからいいよ”

などと

上澄みだけはやさしい言葉を

つらつら並べていく

 

こんなに不在が続くのに

それはいつになるんだろう

 

私は現実を捻じ曲げて

あの人は何も見ないフリして

アクションひとつも起こさず

会話もすっかりたち消えて

側(はた)から見れば

“あんなに仲良しだったのに”

どうもそう映っていたらしい

 

今となっては笑い話に格上げだ

 

ロボット・クリーナーを走らせるたび

後めたさと高揚感がないまぜになるのは

致し方ないこと

 

“そもそも走らせること自体が不可能でしょ”

あの人は自嘲気味に呟くだろう

自分自身にうずもれながら

 

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