“そもそも走らせること自体が不可能でしょ”
あの人は自嘲気味に呟くだろう
決して私を責めることなく
“自分が片付けるからいいよ”
などと
上澄みだけはやさしい言葉を
つらつら並べていく
こんなに不在が続くのに
それはいつになるんだろう
私は現実を捻じ曲げて
あの人は何も見ないフリして
アクションひとつも起こさず
会話もすっかりたち消えて
側(はた)から見れば
“あんなに仲良しだったのに”
どうもそう映っていたらしい
今となっては笑い話に格上げだ
ロボット・クリーナーを走らせるたび
後めたさと高揚感がないまぜになるのは
致し方ないこと
“そもそも走らせること自体が不可能でしょ”
あの人は自嘲気味に呟くだろう
自分自身にうずもれながら