猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

猫街は曇り空

猫街は曇り空 冷たく激しい風の街 指先も頬も心までも切り裂かれそうだ いまだ解けない絆の いまだ溶けない心の いまだハリツイタ笑顔の 意味を深く嘆く 猫街は曇り空 冷たく激しい風の街 指先も頬も胸の中までも切り裂かれそうだ ランキング参加中詩

月夜

のたのたすぼすぼ 月夜を歩く 散歩なんてもんじゃなく 迷子なんてもんじゃなく 速くも遅くもないリズムで のたのたすぼすぼ 月夜を歩く 春と冬とが手に手をとれば 西から急に雨こぼれ 苦い思い出脳からあふれ 速くも遅くもないリズムで のたのたすぼすぼ 月…

外食しない人のサブスク

空腹で目覚めた。 いい傾向である(詩人さんはお腹が弱い)。 とは言え、キッチンであれこれ始めるには早すぎる時刻。トイレと洗面を済ませ、常温の水を少し口にしても、どこかぼんやりしたままだ。 寝室以外のカーテンを開け、細く窓を開けてすぐに閉める。…

悩みなんて置き去りにして、スープをこしらえよう

眠っている間に 雨になった パラパラざあぁあ 不規則なリズムに起こされ ようやくなんだか軽い心持ちになった 冷蔵庫の中身と 自分の体調と 今の天気と あーでもないね こーでもないな 相談しながらこしらえるスープ キャベツが半分 玉ねぎちょっぴり 水菜を…

つぼみ

蔓性植物を好んで飾っている。 我が家にやってきた子たちのうち、花を咲かせるものは少ない。 それで、たまに球根を手に入れるのだ。 蕾にはなんとも言えぬ色香がある。 実際に種子や球根から育ててみると、それがよくわかる。美しいな、と思う。命が凝縮さ…

夜と光とわたし

夜にあふれかえる 星の瞬きだけを喰べれば この身から美しい音ばかりが 口をつくのだろうか 夜にあふれかえる 月の糸屑を纏ったなら この身から恨みつらみなど こぼれ落ちないのだろうか 口をつぐみ無理やり笑って 自分は幸せなのだと言い聞かせ 泣き笑いの…

幸せと不幸せはきっと同義語で

生きている間、 時間を止めることも進めることも叶わない我ら 過去に向かいやすく思い悩みやすくなるのは、 この全くもって落ち着かない天候のせいだろう 悩みの果てに少し未来へ 望みはそれだけだ 幸せと不幸せはきっと同義語で 喜びと悲しみもサイコロの目…

手放すこと、捨てること、忘れること、忘れられないこと、

引っ越しの予定こそないが、持ち物との距離感はそこそこでそれなり。 段ボールで荷物が届けば、その日のうちにできる限り分別しておく。 本を読み終わったら、手放す。 記憶は、形を変え美化されやがて昇華の時を迎える。 記録は、手放さない限り存在する。 …

笑顔の種

予報ではかなり高めで推移する、とアプリが伝えてくる。 だが、猫街はまたもや小雪がちらついた。ま、空が落ちるよりいいか…と思い直して、スープの残りを温めた。 鍋が熱々になったところで、戸棚からショートパスタを選び、ひとつかみほど入れて蓋をして火…

多分、きっと、死ぬまで。

鳴らない固定電話。 待っているわけでも、連絡するわけでも、ない。 さあて、もう外してしまおう。 手続きはネット上で簡単にできる。が、何箇所かで緊急連絡先に指定していたことをその度に思い出すのだ。 こちらから連絡することはないのだけど。多分、き…

きみのこと

詩人さん、剪定する

卓上で小さな森を作り始めたトラデスカンチア。 かわいい(嬉)。 このままにしておいても、グリーンで癒される幸せを日々受けとることができる。 ただし、グリーンだけになってしまったり、ラベンダー色が楽しめなくなると知った。そこで、今回の剪定である…

choisir

部屋干し用の洗剤や柔軟剤を使っていた。 だが、香りがどうにも強すぎ、かと言って石けん成分や自然素材に近いものだと、どうしたことか肌具合がよろしくない。 なかなか難しいところだが、柔軟剤はかなり前から使うのをやめており、代わりに酸素漂白剤を使…

あたしの、こと

狡い、狭い、頑な。 やさしい、強い、頑な。 悟り、明快、頑な。 まじめ、不真面目、頑な。 ランキング参加中詩

ワタクシゴト

冷たい。バカだ。 うまく立ち回れなかったり、少しの失敗をそう称される。ハグは、ベタベタしないでよ、と振り払われる。 本音を打ち明けるのは、ごくごく限られた範囲で。または、紙に書いて跡形もなく破り捨てる。親世代の大人には「生意気で扱いにくく子…

逃げれば惑う恋の月

二月きさらぎゆきげつき 逃げれば惑う恋の月 二月けいふううめみづき 追うほど増すのは悲しみだけで 二月友チョコ本気チョコ 逃げたい追いたいあなたに逢いたい ランキング参加中詩

愛以上、悲しみ未満

詩人さんにとって、 親孝行とはそんな感じである。 そして、そればかりか。 どんなに自己中心的でどんなにわがままであるかも、 痛感している。 …と、打ち明けたところ、 相手は「親孝行は、わがままでいいんですよ。それで間違ってないですよ」 そう言って…

詩人さんと水まわり

水まわりを掃除した。 今までとは違うやり方で。 キッチン用の止水栓セットを購入した。用事を済ませた帰り道、ふと「だいぶ古びてきたな」と思い出して、ネットで取り寄せたのである。 いい機会なので、流し台にぬるま湯をためてしばらくほったらかしにした…

とりあえずでいいから

とりあえず ご飯を炊いておく(おむすび作ればなおよし、だけど無理せず) とりあえず 水まわりをなんとなくでいいから 片付けておく(拭きあげればなおよし) とりあえず 少しのお金と身分証明と飴玉なんぞを バッグに入れておく とりあえず 空を見上げてう…

一筋縄ではいかない

詩人さんは、ときどき驚かれるような行動をする。 日帰りで九州から東北へ旅してみたり、例えば本を出してみたり。 それでも、いざ動くまでには人より時間がかかっている。計画中に誰にも話さないから、アクティブだと映るようであるのだが。 時として、慎重…

身勝手だとしても、だ

沈黙が好きだ その時間が愛しく溺れたくなる それを寡黙とも大人しすぎるとも (あるいはどっか足りないのか?と) 過ぎる心配と比べ過ぎマウントに 悩むことの多かったこと! モラハラという単語はまだ 一般的ではない頃の話 はてさてそんな家庭に育っても …

映画を1本

猫街のちょうどいい場所に、猫街シネマがある。 詩人さんは映画好き。と言っても、内容によってはなんらかの(使いこなせない)魔法が発動して手持ちの何かをすっ飛ばす危険性があるから、アクション多めの作品は外では観ない。 ハンカチが飛ぶとかポップコ…

わたしの声をわたしは

わたしの声をわたしは わたしはワタシの思いを私は ワタシとわたしの願いをあなたに 押し付けるばかりなのでした 強さも弱さもむしろ さびしい悲しいとやがて 無になり無理を生み出しては ようやく夢と訣別する わたしの声をわたしは わたしはワタシの思いを…

リズム

久方ぶりのインスタライブに、ちゃんと参加した。 “ちゃんと”と言うのは、前に配信があった時は高熱で寝込んでいたため、ろくすっぽ画面を見ることができなかったからである 編集者であるその人は、穏やかな語り口で丁寧にライブを進めていく。 と言っても、…

どんっ! てっきり、下手な魔法が自分から漏れ出たのかと思った。 昨夜書き物をしていたところ、キッチンのほうで大きめの…寝た子が起きるくらいの物音が響いた。いや、響いたと感じた。 なぜなら、耳で聞いたのではなかったから。 これはひょっとして、もし…

変化するもの

抑えつけという意味合いに変化しがち それはもらった方も手渡した方も 長らく気がつきにくい 「愛」という一言に 「腹立ち」やら「恨み」が巧妙に紛れ込むのだ できれば近しい人々からは受けとらずに(手渡さずに) いきたいものだ ランキング参加中詩

やさしい、の話

やさしい、は どこからくるだろう わたしと似た気持ちに出会ったとき わたしと似つかぬ気持ちに出会ったとき くる、じゃなくて 生まれる、のだといいのに あわれみ、ではなく マウント、ではなく くらべる、ではなく やさしい、は 生まれてくる 踏まれても振…

芽吹き初めての場所

芽吹き 初めての場所 明日の約束 家族が逝った日 思い出を発酵させる 寒すぎる時刻の 悩みの種を抱えて まだ 信じていた頃へと 芽吹き 初めての場所 明日の約束 家族が逝った日 ランキング参加中詩

舌を突き出した幼心のうちで

このあたりの言葉は汚いから使うな 頭が悪くなるぞ 幼少期の「ほんとうにあったかなり怖い話」である 汚い=乱暴な言葉を使うな、と叱られるのは まだ理解できても いわゆる「子ども心」にも ヘンテコな考えを持っている人たちだと 思わざるをえなかった 理…

温もり

夜明けが痛みを拭ってくれるなら 誰かの朝が救われるから 夜明けが絶望を軽くしてくれるなら 苦手なあのひとに 呪いではなく祝いを届けられるから あなたの言葉ひとつより 蕾ひとつ冬をこえたなら 温もりを知るでしょう ランキング参加中詩