猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

正しく回るのならば

手放していければいいのに 手放せないものがあって 執着ではないのだけど こびりついた記憶は容易に削ぎ落とせない 投げつけられた単語のひとつひとつを 何かと縛りつけられた心のありようを 今さらなかったことにはできない だから綴る だから刻む 例え目の…

惨めになるだけだ わかっているから

惨めになるだけだ わかっているからやめようと 誓う それが数分でも数日だけでも 繰り返しているうちに習慣になって やめる=苦しい ではなくなる 何かと比べることを 誰かと比べることを ブレーキをかけすぎて つんのめる瞬間があったとしても やめようと …

とびきりよくはないにしても

ばっさり髪を切ることにした 恐る恐る ではなくて 暑さが厳しくなったから でもなくて 恋やら失恋やらとも 関係なくって ただばっさり そんな気分だった ピアスが似合う人に なりたかったようにも思うし 少年の顔をしてみたかった そんな憧れもあった気がす…

ちょっとものぐささんのグリーンライフ

放置気味でも すくすくと育ち 頻繁に水やりしなくていい それでも 梅雨の湿気を纏い 差し込む光を浴び それぞれ 個性的な表情を見せてくれる 長い付き合いの子 やたらと大きな葉っぱの子 上にばかり成長するので心配していたら いつの間にか下を向き始めた子…

すぎたな

頭に「甘」や「濃」を加えれば なんということのない ふだんの話 「食べ」や「飲み」を加えれば 笑みのひとつもこぼれるだろう では問題をあなたに 「う」を頭につけたなら 同時に 「い」を終わりにつけたなら それを 家庭で聞きながら大人になったなら どん…

雨 だけでなく 雪 だけでもなく とめどない 奥底の闇にもやさしく 傘をさそう ランキング参加中詩

蓋をかぶせる蓋をはずす 形を変える形を変える 見ていた知っていた 見なかった知らなかった 見つけていい気になって 気づいてあああと膝をつく あたしはそんなもので できている ランキング参加中詩

おまじない

使うことがないものは 手放せばいい でも 迷う迷う迷う 保存が必要な書類やら 頻度は低くとも定期的に使うものやらは ともかく 「あっちの世までは持っていけないから」 自分にも人にもにっこり笑って そう声をかける 小さく開けたり ちょっと軽くなったりす…

すっ飛ぶ

アイディンティティが軽くすっ飛ぶ出来事があった。感情の置きどころがまだ見つからない。 どう言葉にしていいのかもわからないのだが、一人で受け止めたり何らかの作業だの手続きだのが必要になるといった案件ではないのが救いだった。 なので、悩みという…

這入口の

這入口の 狭まるほどに底深く 行けども行けども 安らぎを得ず ランキング参加中詩

たいへんよくできました

悲しみを読み解く方法 悩みを生む術(すべ) 憎しみの隠し方 愛に鈍感になる技術 嫉妬の削ぎ落とし方と 跳ね返し方 ランキング参加中詩

悲しみを叫び愛を知る

遅すぎはしない 早すぎるということもない 止まったり止まれなかったり 過ぎ去ったり手を伸ばし続けたり 早すぎはしない 遅すぎるということもない あきらめを知り希望を知る 悲しみを叫び愛を知る ランキング参加中詩

偽善者

夢の中でなら 妬みも嫌味も自由自在だ 夢の中でなら 隣にいるのが誰だろうと自由自在だ 夢の中でなら 憎悪も悲哀も好き放題だ だからあたしは 今夜もよく眠れない ランキング参加中詩

ほどく

少し戻る いや 戻ったつもりになって もつれかけた言葉をほどくのだ 急がず慌てず 時に弾んだ気持ちで 時に穏やかな心持ちで 少し戻る いや 戻ったつもりになって もつれかけた感情をほどくのだ ランキング参加中詩

どうでもいいことなんでもないことどうしようもないことどうとでもなること

どうでもいいことに涙して どうでもいいことに頭を抱え どうでもいいことに気もそぞろ だけどどれもあたしを作ってる成分 なんでもないことに笑い転げて なんでもないことが忘れられなくて なんでもないことがすご〜く大事で そしていくつか飛び立っていく …

あ・い・ま

自信と過信の合間を 脱兎のごとく駆け抜ける 時にどちらともつかなくなり 居心地悪く劣等感に涙する 自信と過信の合間を ゆらゆらと彷徨えば 時にどちらともつかなくなり 眩しすぎて目を逸らすのだ ランキング参加中詩

包泣

死にかけた感情が そこにあるのなら 忍んで泣くくらいはできるだろう すべて終わる前に一度くらいは ランキング参加中詩

心の奥が詰まるのは

ランキング参加中詩

それっぽっちの

パラパラとおこぼれを あたしにとって愛はそれっぽっちの 飢えるを知らず 乾くを知らず パラパラ降りかかるのを あたしにとって愛はそれっぽっちの 与えるでなく 満たすでなく パラパラ剥がれていく あたしにとって愛はそれっぽっちの ランキング参加中詩

愛情たっぷり

愛情たっぷりの食事は チルドできるけれど 愛情たっぷりの食卓は チルドしたら最後 どうやっても元には戻らない 保証するよ その意味ではまだ 感情のほうが救いがあるかも知れぬ ランキング参加中詩

ランキング参加中詩

残雪

引っ掻いてもこぼれない 息を吹きかけても散らばらない 愛はそんなものなのだろうか それとも 憎しみが固まったものだろうか 生きるなら愛だけでも 終わるなら憎悪だけでも なのにどちらかだけでも 人は人とならぬよう 宿命(さだ)められている 引っ掻いても…

脱ぎ散らかす

まずは服を脱ぐ 上着も下着もすっかりと それからおもむろに背中に指をかけ あとはいつもと同じように 綺麗な感情と汚れた感情を 少しだけ残して あとは記憶の底に沈めた それから 自分も同じように湯船の底に沈んで ふわふわと眠る まずは服を脱ぐ 上着も下…

空を見上げる

哲学にはとらわれず ころべばまた立ち上がり 罵詈雑言には哀れみと俯瞰で 遠くに迷えば近くを踏み締め 思いが曇れば空を見上げる 寄る辺には偏らず つまずけば飛び越え 美辞麗句はその場限りの 遠くに憂えば近くに溶けて 今日が暮れれば空を見上げる 満ちて…

指先

指先を思い出に浸しながら 雲と風を求める やさしさと甘さを見分けられても 愛に含まれた苦味を 未だ理解できない 夢と妄想を見分けられても 悲哀に含まれた愛を 未だ理解できない 指先を思い出に染めながら 雲と風を求める せめて呼吸を忘れぬよう 奥底から…

夢の在り処も知らない

3月 肩が重い 背中の翼をもぎとられたせいか 使いこなせず 役立たずの夢とやらを 夜に紛れて捨ててきた だからなのか 3月 肩が重い 背中の翼をもぎとられたせいか 悔いるには早すぎるが 夢を抱けば傷ついて そのくせ笑顔は爽やかだ 言葉を尽くすすべを知らな…

雨粒。

雨に閉じこもる、一人残らず。 命の粒さえ逃げられはしないのだ。 やがて我らも雨粒一つになり果て、数えられ、還るのである。 再び雨に閉じこもるまで。

(だと夢想する愚かな群れ)

わたしたちが生きるのは 波紋の内側で(だと信じる愚かな群れ) 波紋の外側にはみ出さないように(だと夢想する愚かな群れ) どこか冷淡にどこか必死に 漂うのだ世界を わたしたちが朽ちるのは 波紋のひとつにもなれず(未来を呪って泣くものか) 波紋を起こ…

例えば私の周りだけなのだから

例えば雨が降るのは 私の周りだけなのだから 閉じ込めるも物語に編み込むも 自由自在だ 例えば空が澄み渡るのは 私の周りだけなのだから 解き放つも夢をあきらめるも 自由自在だ 傘をさすもささぬのも 自由自在だ

充電器

チャージャーは有り余るほど、持っている スピーカー専用・スマホ専用・デジカメ用・クリーナー用 こんなにあふれているのに 心のための、とか 感情専用、とか そんなものは存在しやしない 時間が解決するよ、と誰かが呟き 時間は残酷だよ、と誰かが笑う チ…