猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

殺 の検索結果:

心殺すくらいなら

立ち尽くすだけなら 埋もれてしまえばいい 恋が終わるぐらいなら 散ってしまえばいい 心殺すくらいなら 狂ったように歌えばいい あなたを許しながら ランキング参加中詩

とっくに滅びた言葉で

息を殺せば愛は死ぬよと 黙り込んだあたしに告げた だったらなんと伝えよう つまらない言葉でもとっくに滅びた言葉でも きみにあげればよかったと 愛を殺せば心は消えると 言葉を探すあたしに告げた だったらなんと伝えよう つまらない物語でもとっくに滅びた言葉でも きみを紡げばよかったと 心を殺せば楽になるのは 都市伝説だときみは言った だったらなんと伝えよう とっくの昔に滅びた言葉で

愛があふれる人に触れるたび

愛があふれる人に触れるたび 愛が死ぬようで 愚かなことよと苦笑しつつも 羨ましくてならない 愛が止まらぬ人に触れるたび 愛を殺すようで 思い過ごしよと苦笑しつつも 鼓動のスピード隠している 愛を求める人に触れるたび 愛を抱えたふりをする 何をどう言ったものかと 内心冷や汗ものなのに

心得

音律ばかりを調えてはいけない 言霊に寄りかかりすぎぬよう 詩人であることすら 気づかれぬよう振る舞いなさい 酸っぱい葡萄の逸話など ほうっておけばいい 甘い水の香りなど 消えてしまうのだから 詩を書く自分に酔ってはいけない 詩人であるなどと吹聴してはいけない 決して決して 心を殺してはいけない あふれさせてはいけない

破り捨てた春の1日

破り捨てた春の1日を いつかあなたが拾うのでしょう 甘い言霊冷たい態度 猫が足跡つけて去る 殺戮を破壊をやめてくれと 流れる文字の川を好き勝手にに読み散らかし 結局やっぱり遠くの出来事だと わたしたちは愚かにも納得してしまうのです 悲しいことを怒りの矛先を どこか不躾に放り投げる それだけで わたしたちは愚かにも満足してしまうのです いいえ 愚か者でも構わない 不躾でも構わない 戦争にあらがいます 戦争に反対します 不器用に呟き続けます

人ごとのように

まるで人ごとのように 心を殺す 身体を傷つけないなら いいでしょ、と言わんばかりに まるで人ごとのように 心を殺す 誰にもわかんないし みんなやってるなら いいでしょ、と言わんばかりに まるで人ごとのように 心を殺す ただいまも言えないほど 深く傷つけて 正しさの物差しをブンブン振り回しながら

雨の星

…ンターホン越しに声をかけつつ 帽子をとり マスクと手袋を滅菌袋に押し込む 靴は殺菌箱へ 服にアルコールをふりかけ 体ごと感情を脱ぎ散らかせば 降り続きの雨が清めてくれるだろう そして 僕は影も形もなくなって ようやくあなたを抱きしめることが 許されるんだ くりかえしくりかえし 愛してるとささやいても どこにも届かないと知っていながら ただいま、と ドア越しに声をかけつつ 自らをきちんと脱いで タンスにしまう そして どこからも誰からも 見咎められない 雨の星で命をつないでいる

殺「心」者たちへの手紙

amiyaoさんによるイラストACからのイラスト

朝方

あくびをかみ殺し カゴをレジ打ちに渡す …っしゃいませえ〜 …ござしたぁ〜 こだまする街の効果音 今日はそれすら心地よく 店を出ようとして 仕事用エプロンを つん やさしく引っ張られた おとしましたよ 風を磨くうさぎが たまたま降りてきたらしい 小さな声とふわふわの気配がして 編み上げたばかりの 小さなブローチが 自分の丸い手の中にあった 空が落ちても 悲しみが満ちても kanadeは失われないという言い伝えが 猫たちの間にはある それは朝方の こんな光景のことかも しれない

有罪

問われるダロウか 問われないダロウか できゴゴロだった まさかいなくなるなんて 予想できなかった 裁くのか 抵触するのか 指先ひとつ 単語ひとつのことじゃぁないか なんで俺だけなんだ みんなやってるじゃないか あっちでもこっちでも 殺しまくってるじゃあないか 心を minokikakuさん(イラストAC)

くず

星屑 とかいう美しく楽しげな単語のことではないのです 人の 人としての 人の屑だと 幼すぎてできなかったことも たまたまおろそかになったことも 一言で片づけられていました 星屑 とかいう輝く夢見がちな単語のことではないのです いい子にしていた雪の夜 たまたま虫の居所が悪かったのか おきまりの一言で片づけられていました 心の中だけの親殺しも 心の中だけの自分殺しも 犯罪ですらないけれど 結構ずたずただったよなあと とっくに死んでしまった昔の時間を 弔ってみたりするのです

殺し屋

気配を殺し 笑顔を殺し 言霊殺し 息を殺す 涙が死んで 心が死んで 空を見上げりゃ 星も死ぬ 何を殺して 何が死んで 遺りものだが幸はあるか 気配を殺し 笑顔を殺し 言霊殺し 息を殺す 涙が死んで 心が死んで 空を見上げりゃ 愛も死ぬ

荒野

誰かのためなのだ この行為こそが そう思いこんだとき 体の中からこぼれる空模様は 見返りのないもどかしさや 意外なほどの嫉妬心 正義の意味は消え去り 全てに蓋をする 誰かのためなのだ この行為こそが そう信じこんだ時 心の中からこぼれる風景は なかなか荒っぽく 意外と殺風景 愛情の熱は消え去り 全てがむき出しになる

買い戻す

そんなことは 一度だって思わなかった これからも たくさん手渡した あふれるほど押しつけた きみの顔なんて見もせず 愛情だと信じて ぎゅうぎゅう詰めた 思わない 買い戻すだなんて 過去を ふたりが歩いた空を それぐらいならいっそ 心を殺してしまうほうが まし 何も感じなくなるまで 眠るほうが まし

すれ違い

すれ違い 怒り喜び見殺しにする

こと刃

誰かを笑わせ 誰かを泣かせて 誰かが元気になって 誰かがしょんぼりする 誰かを怒らせ 誰かがへこんで 誰かを暴走させて 心を殺す

消失するやさしい記憶

舌にのせたのは 言の葉のはずだった 伝えたのは 記号ではないはずだった くるしくて せつなくて どうしようもなくなって そっと舌にのせたはずだった こんなふうに 無造作な記憶になって こんなふうに 殺風景な記録になって 曖昧に噛みしめた それすらもう消えそうだ 膨大なデーターベースは 崩れ始めてる 失うことこそ正義と言わんばかりに

ブランコ

空が斜めになったとき わたしはそっと目を閉じた 空が斜めになったとき あなたは言葉を探してた 空が斜めになったとき 風がくるくる舞いました 空が斜めになったとき 声を殺して泣きました