猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

朝方

あくびをかみ殺し

カゴをレジ打ちに渡す

 

…っしゃいませえ〜

…ござしたぁ〜

 

こだまする街の効果音

今日はそれすら心地よく

 

店を出ようとして

仕事用エプロンを

つん

やさしく引っ張られた

 

おとしましたよ

 

風を磨くうさぎが

たまたま降りてきたらしい

小さな声とふわふわの気配がして

編み上げたばかりの

小さなブローチが

自分の丸い手の中にあった

 

空が落ちても

悲しみが満ちても

kanadeは失われないという言い伝えが

猫たちの間にはある

 

それは朝方の

こんな光景のことかも

しれない

 

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