猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

失せもの

わたしの欲しいものリストに いつもお前はいないんだねえ わがままも勝手きままも妬みも こんなに自由に育っているのに いつもお前は素通りしていくんだねえ 愛よ夢よ希望よ どこぞで落っことしてしまったんだかねえ ランキング参加中詩

ただ虚しく

とびきりのニセモノで構わないなら それも家族 とびきりのアイジョウを語り尽くすなら それも家族 とびきりのヨロコビを説明するなんて 結局できなかったのに 母のひも父のひもただ 虚しくすぎていくのだ ランキング参加中詩

捌(は)けくちのその先は

愛と呼ばれるもの 温もりと称されるもの 光に見えるもの やさしい言葉の端々 ながれ流れてkagayki失い 流れながれて意味を失う 憎と呼ばれるもの 冷ややかと称されるもの 汚れに見えるもの さもしい単語の数々 指先ひとつで世界は澱み 目から耳からとめどな…

不思議

大きく壁一面に 44 とあった 幼い頃は迷宮のようで たまに隣の棟に入ってしまい (何しろほぼ同じ姿なのだ) 泣きながら自分の家を探した 数字が書かれた壁は 今でも恐ろしくて 営業で団地を通り抜ける日は 節目がちになる soshite yumede unasareru 何に…

ととのひ

誰かレト甘ゆるほどには 心の調ひたり 誰かレト憎むほどには 体力の追いつかぬなり 誰かレト愛するほどには 気力の乏しきなり ランキング参加中詩

やさしい単語だけを探し続けていても ぬくもりある言霊だけを見つけたとしても 潜む刃に敏感になるばかりで 眉ひとつ動かさず 傷つくことも傷つけることも上手くなる いつか 終わることも終わらせることも 同じくらい上手くなれるだろうか ランキング参加中詩

本をひらき耳をすませ 心をひらき全て吸い込んで 口をひらき言葉を澄ませ 心をひらき全て取り入れて いっぱいいっぱいになって ぎゅむぎゅむになって 隙間もすみも見当たらない 見かねて問いただす 満足しているのか本当に 消化不良を起こしているのでなけれ…

愛情たっぷり

愛情たっぷりの食事は チルドできるけれど 愛情たっぷりの食卓は チルドしたら最後 どうやっても元には戻らない 保証するよ その意味ではまだ 感情のほうが救いがあるかも知れぬ ランキング参加中詩

恋をするなら

嫉妬するなら美しく 恋をするなら躊躇わず 傷つけるならあどけなく 傷つくなら後腐れなく ランキング参加中詩

たとえば

好きなことにまで鈍化するようじゃ 面白くはないでしょう 生きているんだもの 星を踏み締めて ランキング参加中詩

心殺すくらいなら

立ち尽くすだけなら 埋もれてしまえばいい 恋が終わるぐらいなら 散ってしまえばいい 心殺すくらいなら 狂ったように歌えばいい あなたを許しながら ランキング参加中詩

愛を届ける人

これみよがしにふりまくよりも 根深くじっとり憎むように 愛を届ける人になりたいのだ 奥底からとりだすのだから もうどちらでもない 区別もつかない 言葉ですらないものを 後生大事にしたところで 一生きみには届かないのだ ボルトを締め上げるような 伝え…

愛の一欠片も

愛の一欠片もなかったと断言はしない 立場が逆転するのを恐れていたのだと 今になってようやく理解する 母の日も父の日も 「あれは百貨店の戦略でしかない」 と教えられ 学校で「お母さんお父さんにお手紙書きましょう」の宿題は 学期が終わってもなお終わら…

忘れるため、忘れないため。

舌先は苦さを忘れるため 爪先は涙を隠すため 指先は嘘をつくため 背中は温もりを忘れないために。 ランキング参加中詩

指先

指先を思い出に浸しながら 雲と風を求める やさしさと甘さを見分けられても 愛に含まれた苦味を 未だ理解できない 夢と妄想を見分けられても 悲哀に含まれた愛を 未だ理解できない 指先を思い出に染めながら 雲と風を求める せめて呼吸を忘れぬよう 奥底から…

手帳

ピンクの表紙を選んだから あたしの衝動は忘れ去られ 赤の表紙を選んだなら あたしは心を決めていた 緑の表紙を選んでいたなら 生真面目に振る舞ったかしら 青の表紙を選んでいたら 涙に暮れていただろうか ランキング参加中詩

夢の在り処も知らない

3月 肩が重い 背中の翼をもぎとられたせいか 使いこなせず 役立たずの夢とやらを 夜に紛れて捨ててきた だからなのか 3月 肩が重い 背中の翼をもぎとられたせいか 悔いるには早すぎるが 夢を抱けば傷ついて そのくせ笑顔は爽やかだ 言葉を尽くすすべを知らな…

皮膚

怒りは皮膚を食い破り 嫉妬は皮膚を食い散らかし 悲しみは皮膚から滲み出て 喜びは皮膚を艶めかせる ランキング参加中詩

逃げ方を模索する

てっとりばやい方法は かなり破滅的で悲劇である そうではなくて 生きながら逃げるのだ 毎日じゃなくていい 決めなくてもいい 同化でもいい 逃げてる自覚がなくてもいい 模索しているうちに見つかることもあれば 模索すら苦しくなることもあって 心とは 心だ…

怖かった。

ヘリコプターが怖かった。 まだ学校にもあがらない頃だったろうか。とても低く飛んでいるのか、モーター音が近く迫り、母の手を引っ張って「逃げようよ」と言った。 落ちかかる火の粉、そんな幻影をかすかに覚えている。 轟音が通り過ぎた。何事も起こらなか…

断捨離と残り時間

本と服とレコードは お墓に持って行けないのだから 自分に何度も言い聞かせ 手放し続けた 部屋の中は空洞に 心は安堵に満たされる それでも何か捨てられないかと 数え続けるのが人というもの ある朝 数えるものがついになくなり 残り時間を数え始める 日めく…

あの人を赦すより

それもあなたらしさだと まずは自分を受け入れなさい 道は続き 思いは紡がれ 優しくなれるひとときが訪れる それからだって遅くない 気づけたことに感謝を 想像力の鍛錬を 赦すも赦されるも やがては交わり溶けていく 深い傷と痛みを抱えて生きるとしても。 …

美味しくなかったもののこと

美味しくなかったもののことは すぐ忘れるくせに 嫌いになった人のことは いつまでも忘れられない ふたつ確保してひとつは凍らせて 味見してううん、と唸って それきり忘れて年末にびっくりするんだ 人のことは 人だけは そんなふうにいかないね どこに凍ら…

愛がうるさい

愛しくて嬉しくて綺麗で輝いて だけどうるさい。それが愛だ。 降り注がれてるのに見えなくて 抱きしめてるのに伝わらなかった。 それが愛だ。 調子のはずれた音律のように 垂れ流されて疎まれてそれをも厭わない。 それが愛だ。 勘違いしやすく思い込みに傾…

どろりどろりとろりとろり

感情で生きている それがプラスにもマイナスにも 作用し続けて われをわすれる 感情に無関心になる それがプラスにもマイナスにも 作用し続けて われをわすれる 感情は生きている ひとときとして同じ形には とどまれないのだ どろりどろり とろりとろり とど…

命(イキモノ)

悩みを少々希望をひとふり 悲しみ多めの夢をさんふり 闇が満ちても光はそばに なにもかにもが愛しい命(イキモノ)

キラキラしたもの

からすや猫にそういった性質があるように、キラキラしたものが好きだ。 「しまい込んだまま忘れてたの。この先使うこともないだろうから差し上げるわ」と、知り合いからアクセサリーをいただいた。それで初めて、キラキラに魅せられている自分に気がついた。…

はらう

闇を祓う 煤を払う 露(つゆ)はらい、厄払い 暑気払い、やっかいばらい 売り払う、出払う はらいのける なんとも偉大な言葉であることよ

体力

人を嫌うのは簡単 人を好きになるのは偶然 人を愛するのは時々億劫で 人を憎むのには体力がいる

今はまだわからなくても

動きなさい 鍛錬しなさい そうすれば大事にすれば それはきっと あなたの命に刻まれる 今はまだわからなくても 今はまだ信じられなくても 今はまだ憎々しげな言霊に溺れがちでも