猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

愛の一欠片も

愛の一欠片もなかったと断言はしない

立場が逆転するのを恐れていたのだと

今になってようやく理解する

 

母の日も父の日も

「あれは百貨店の戦略でしかない」

と教えられ

学校で「お母さんお父さんにお手紙書きましょう」の宿題は

学期が終わってもなお終わらなかった

 

もう少し愛の本当を知りたかったと

空だか地だかに向かって文句の一つでも言いたくなる

もう少し愛が欲しかったと

この命を呪う

 

愛の一欠片もなかったと断言はしない

立場が逆転するのを恐れていたのだと

今になってようやく理解する