猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2024-01-01から1年間の記事一覧

詩人さん、傘を買う

お気に入りの青い傘を、猫店主の店で壊してしまう。無論、店主と取っ組み合いの大喧嘩の果てにということではない。 店が終わったあと、二人してコーヒーを淹れ、バックヤードで固いプリンを堪能した。 あまりの美味しさに詩人さんの使い慣れない魔法が発動…

なんのひとつも

なんのひとつも 生まれこない苦しみを 知り抜いているとは言わぬが なんもかんもと ランキング参加中詩

一筆箋

選びがちな色がある 薄いピンク、桜色と君は呼ぶだろうか スマホカバー ボールペン そして 久しぶりの一筆箋 春でもないのに 夏でもないのに ましてや恋でもないのに 選びがちな色がある 薄いピンク、桜色よと君は笑うだろうか キーケース 淡く溶けるケーキ …

湧きあがってはかき消され やがて干上がって

数えきれなかった あたしの中のあたしだけしか知らないはずの 数えきれなかった 湧きあがってはかき消され やがて干上がって 数えきれなかった 律したことも歪んだリズムも 見送った背中も。 ランキング参加中詩

詩人さん、固いプリンを買う

固いプリン、というものがはやっているそうだ。 猫街で噂になるくらいなので、多分少し前から話題になっているに違いない。ようやく黄色の風も落ち着いて、「詩人さんのせいで云々」と言われることもなくなった。 猫そっくりの店主のところでは扱っておらず…

拠りどころ

とりあえず 言葉がそこにあること おなかが痛くないこと わたしもあなたも 身体の中が鎮まって 明日を迎えられること ランキング参加中詩

花を贈る、花を選ぶ

ボックスフラワーが好きで、時折プレゼントにもしていた。カラフルで、ケーキみたいで、暮らしの中に彩りを連れてきてくれる。 今年はちょっと趣向を変えてみよう。そう思ったのは、とある花屋のコンセプトを知ってからだ。 東京の店なので、九州暮らしの筆…

失敗

色と軽さに惹かれ、モバイルバッテリーを買った。 しばらく何事もなく使っていたのだが、短時間でエンプティ状態になるので気になった。 そのうち、ランプの点滅の様子がおかしくなり、さらに待てど暮らせどフル充電にならないという不具合が出てきたので、…

day-by-day calendar

いつの頃からか習慣になり 生活の一部となり 今に至る すなわち 月の終わりと月の初め 日めくりカレンダーを よいしょ、とひっくり返す 今月も早かったな いい時間も 頭を抱えたくなる時間も それはそれで必要だったよな とか 言葉にしたこともできなかった…

心配を食べて生きている

風が止まない。よく警報が出ないものだ。 早々に洗濯物を取り込み、桜が枝ごと飛んでいくのでは…と心配がつのる。 女は、特に母という生き物は、心配を食べて生きている気がする。 心配の種が一粒も見当たらなくなれば、自ら内側に潜っていき種をこしらえる…

あの人との別れ方

声をかけない 話しかけられない空気感を めいっぱい纏う ショートヘアにピンクを入れて 後ろ姿であたしだと悟らせない SNSは 報告してブロックね(あんまし効果ないけども) 長い付き合いだったけど 無理して「嫌悪」を受け取る必要ないんだもの 幸せになろ…

詩人さん、「あれ」と出会う。

料理番組でしか見たことがなかった「あれ」。実は、名称を知らなかった。 スライサーやレンジで使える餅容器など、小さなキッチン用具を少しずつ新調している。一番欲しいのはキッチンバサミなのだが…それはともかく。 「あれ」が欲しくなったのは、ラジオで…

本当のところ

ききそびれた 本当のところを きけば だけども教えてくれたかどうか 代わりは 似たものは惜しみなく だけども本当に欲しかったのは 口を開けて待っていたところで 与えられはしないのだ ききそびれた 本当のところを きけば だけども教えてくれたかどうか ア…

アイツ

春雷に怯える夜も カラクリを憂える昨日も 嘘つきを罵る川面を遠くから眺めては 幾つの真実を共有できるのかと 冷たく笑う 蕾ほころぶ朝も 理(ことわり)崩れる街の 幾許かは幸せを拡散できたろうにと 冷たく笑う 不安に慣れ過ぎ冷静さを纏うばかりの 日々…

生まれた日

あなたの上をわたしの上を 誰かの上を その日は音もたてず通り過ぎる 誰かと祝っても 孤独を楽しんでも その日が音もたてず通り過ぎる 誰かが知っていれば あなたが忘れてしまっても わたしのままに 淡々と その日は音もたてず通り過ぎる いい日だ ろくでも…

体重

歯科治療を終えて、体重がちょっと増えた話をどこかで書いた。 噛み合わせがうまくいくので、口の中を噛むことが激減。それで、同じ時間で今までより多めに食べることができるようになったようだ。 それでいて、咀嚼もできているからだろう、お腹の不調に悩…

流涕

引き金になったのは あなたの声だった 引き金になったのは あなたの背中だった 引き金になったのは 雨粒を確かめた あなたの視線だった ランキング参加中詩

じゃがいもとはなっこりー

新ジャガの季節、菜の花も…と思うのだが、なぜか猫街近辺のスーパーで見かけるのは「はなっこりー」である。 ブロッコリーや菜の花もよいが、まるっと食べることのできるはなっこりーは、この季節に食卓にのぼりやすくなる。 袋の中でよくよく洗って、キッチ…

コーヒーと毛糸と花

冬物の引き出しをひっかき回し 慌ててセーターに着替える 季節が丁寧に丁寧に足踏みを繰り返すから 猫街も幾分白っぽい風が吹く それでも約束は約束だ 無理しなくてもいいんですよ、 あなたは私たちと違って 人みたいなものだから 珍しく電話をくれた猫そっ…

あたしの中の群衆

あぶくですら宿命だとするなら いっそ生まれる前の そのまたずっと前の はるか昨日へ 思いすら存在しなかったあの時にまで 息をつきたい だけどあたしの中の群衆が そうさせない 微笑みたい だけどあたしの中の群衆が そうさせない 許したい だけどお前なん…

ココット・エブリィ〜ほんとの春になるまで

リフォームしてから、ガス火炊飯が難しくなった。システムキッチンに組み込まれている、働き者の安全装置のせいだ。 それでも、ココット・エブリィで揚げ物したり煮物をしたり。 ただ、最近は電気圧力鍋で(揚げ物こそしないが)事足りるようになったので、…

乾くか乾かないとか そんなことだけ心配している 風そよぐ朝 彼女はあたしを見向きもしない 降るか降らないか そんなことだけ心配している 暖かな空 彼はあたしを見向きもしない 何を口に入れたところで 腹痛のもとだから こっそり食べたふりをする あたしは…

希望

またひとつ なくしものをした 今度ばかりは手痛かった ただひとつ 残っていたのを 使い果たしてすっかりひからびて またひとつもうひとつ などとふざけてる隙に うっかり落として粉々だ またひとつ なくしものをした 今度ばかりは手痛かった 誰かのおこぼれ…

風景に会いたいから 旅するのではなく あなたに会いたいわけじゃなく ただ 風を抱きしめたくなる それだから詩人さんは 人生を旅するのです ランキング参加中詩

日曜日和

日曜が苦痛だった 今でこそ曜日を意識しても なんと言うこともないが ただただ苦痛だった テリトリーを侵食し続ける 愛という名の束縛と 大切だ、の一言で片付けられる 自我の否定 日曜はそんなものが 殊更に強くなる 苦痛だった 今でこそ曜日を意識しても …

充電

スポドリの代わりにすればいいさ ねじ巻きを忘れないように、との但し書きは 確かに欠かせないのだがね じゃあ エンプティになったなら その時はその時 眠って眠って眠り倒して また次の時に悩めばいい なんだってできるから きっと ランキング参加中詩

確約

どんな命も否応なく 死出へ向かうのだから 急がない慌てない焦らない 怖がらない お誕生日おめでとう ランキング参加中詩

モバイルバッテリー

持ち歩き用の充電器が2〜3台ある。 そのうちの1台が、半分だけ壊れた。二口あるOUTの片方が反応しなくなったのだ。 半分使えるのだから、ちょっとぐらい そんな悪魔めいた囁きは、脳内から追いやってしまおう。 すぐにはどうということもなかろうが、やは…

大人と呼ばれる間際、自分が苦手だった。

子どもの頃、チーズケーキが苦手だった。 思春期の頃、アップルパイが苦手だった。 大人と呼ばれる間際、自分が苦手だった。 大人を通り過ぎた今、チーズケーキに目がない。 ランキング参加中詩

真実

人生斜め読みぐらいが ちょうどいいのさ ランキング参加中詩