固いプリン、というものがはやっているそうだ。
猫街で噂になるくらいなので、多分少し前から話題になっているに違いない。ようやく黄色の風も落ち着いて、「詩人さんのせいで云々」と言われることもなくなった。
猫そっくりの店主のところでは扱っておらず、後で差し入れる約束をする。
少し足を伸ばし、駅前スーパーに寄ってみた。
珍しい野菜を少し、時折買う缶詰を少し、そして猫店主と自分自身への土産に固いプリンを買い求めた。目を丸くして喜んでくれるだろう。
何かあるとすぐイカ耳になる店主も、本気で不機嫌になっているわけではないのだ(猫街みたいな場所で店を営んでいるくらいだからね)。
使い慣れない魔法が、嬉しさでちょっとはみ出し、足元の草花をゆらゆらさせた。