猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

やがて返ってくるものについて-B

やがて返ってくるものについて-A

fujiwaraさんによる写真ACからの写真

I・TSU・KA・幻・想

隙間の存在が大事だと わかってはいるんです でも 詰め込むだけ詰め込んでおけば いつか役にたってくれるんじゃないかって ほら ちびた鉛筆も 切れたネックレスも あいつの指輪だって こうやって並べておけば なかなかさまになってるじゃないですか 破れたレ…

殺「心」者たちへの手紙

amiyaoさんによるイラストACからのイラスト

かくれんぼ今昔

ー昔ー 「鬼」が誰か 顔が見えて だから 夢中になって 鬼ごっこだか かくれんぼだか もうわからないぐらい 走ったり ひそんだりを 存分に楽しんだのです ー今ー 「鬼」が誰か すぐには見えない あるいは 「鬼」が誰か 探して吊し上げることを よしとする ま…

仮“騒”現実

拡散

かわいい かわいいかわいい かわいいかわいいかわいい いいね いいねいいね いいねいいねいいね すごい す い いぃぃ 正しいのは しくったのは バグったのは 初めのを せば 消 る 終 だ ら だからなあんにも 心配いらない まって よ だ っ い う 静かにして …

怒号

がさつなる 言の葉ひとつ踏みし朝

無機質で丁寧だ

削除しますか? メッセージは硬質で丁寧だ 知りたくないことほど リアルさを持って迫ってくる 尾ひれをたくさんくっつけて ⭕️⭕️さんを削除しますか? メッセージは無機質で丁寧だ 触れたくないことほど リアルさを持って伝わっていく 尾ひれをたくさんくっつ…

だんまり

10月の声をきいて1週間 君は頑なに だんまりを決め込んだままだ かりそめの名も 真の名も 器用に使い分けて それはもう 呆れるより感心するばかりで こんなに寄り添っているのに こんなに抱きしめあっているのに なんて遠いのだろう 10月の声をきいて1週間 …

痕跡と証明

カタカナとアルファベットと 数字を組み合わせたら 鍵は開くはず メモはしない主義 語呂合わせもしない主義 ああだけど どこかでもつれてしまったのか 鍵はなかなか開かない 代わりにあなたが いつだって記憶を引き受けてくれてたから 困ったものね 結局 半…

とめどなく情けない日々

閉じ忘れたアプリが じわじわ侵食するような 日々はもうとめどなくて 泣けばいいと 笑えばいいと そんな言葉さえ辛いばかりだ 開きたかったアプリを キョロキョロ探すような 日々はもう情けなくて 愛すればいいと 憎めばいいと そんな言葉さえ辛いばかりだ

彼はそう言って去って行った

あふれるつぶやきに 視界はさえぎられ それが嫌で 僕はSNSから離れた 数十秒に一度 スマホがぶるると鳴いて 愛する人からの声は すっかり隠されてしまう それが悲しくて 僕はSNSから離れた 友達ではない人と 友達になるのは興味深かったが 本当の世界を見失…

世界は不思議に満ちている

せっかく持ち合わせているのに 使い道がないのはつまんない 彼女はそう呟くと 13個目のアカウントを開いた 誰かとつながるわけでなく 誰かを探すわけでもなく 裏アカ欲求もまるでなかったが もしものために なんとなくこさえているうちに 13個になっていた …

有罪

問われるダロウか 問われないダロウか できゴゴロだった まさかいなくなるなんて 予想できなかった 裁くのか 抵触するのか 指先ひとつ 単語ひとつのことじゃぁないか なんで俺だけなんだ みんなやってるじゃないか あっちでもこっちでも 殺しまくってるじゃ…

世界

“閉じるだけでいいのにね” わけ知り顔で囁いた その画面を その瞳を その扉を その心を “閉ざすだけですむのにね” わけ知り顔で微笑んだ その画面を その瞳を その扉を その心を 誰かの吐き捨てた言霊も 誰かが投げつけた嫉妬も 時も空間も越えるから わざわ…

ぼくは言葉がワカラナイ

ぼくは言葉がワカラナイ デジタルの川が溢れかえるのを ただ眺めてるに過ぎない 光も影も炎上も派生するだけ派生して やがては 吹き溜まるか絡みつくかするのを ただ眺めてるに過ぎない ぼくは言葉をヨミトレナイ 甘くやさしい単語の向こうに ほんとは何があ…

あなたを知らない

すれ違いざまの 射るような視線は ふれるよりたやすく ぼくを粉々にしていく すれ違いざまの 嘲るような口元は 聴くよりもたやすく ぼくを散り散りにしていく すれ違いざまに 放たれた憎悪が いともたやすく ぼくをバラバラにしていく

でじたるの(句)

でじたるの 海にただよう嘘まこと

あなたを知らなくても

言霊のひなたに似たり さろんかな

仮想風景

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あなたのアカウントを凍結しました あなたのIDは無効です あなたのパスワードはこれこれですね 脆弱です 緊急です さあさあこちらへいらっしゃい 正しい情報入力を 100億円を振り込みましょう 久しぶりだね元気にしてた? あなたのことが忘れられません 笑っ…

ミュート

使い回された残酷な言葉が 指に触れて “お前こそ消えてしまえばいいのに” 少年は思った 父から浴びせられ 母からなすりつけられた カラフルな愛憎は やがて彼に 心を半分だけ機能し続ける技術を 習得させた 使い回された残酷な言葉が 指に触れて “お前こそ消…

休日

日がな一日 てのひらしか見なかった 約束も告白も買物も タップで済ませて あとはデジタルな川の流れをぼんやり見てた 日がな一日 てのひらしか見なかった 政治も旅も空模様も タップで済ませて あとはデジタルな川の流れに身を投じてた 選びに選んだお気に…

墨流しのきみ

きみを見つけたとき ぼくの内側は 墨流しで染めあげられた 自分の名と ぼくの名と 愛犬の名と 旧姓と さらに 3つのアナグラム それぞれ器用に使い分けては ひっつきむしのようについてくる きみを見つけたとき ぼくの内側は 墨流しで染めあげられた 自分の…

滴り続ける場所

だらだら伸びてくタイムライン 熱かったり冷ややかだったり 深刻だったりおふざけだったり ほんのふだんのことなのに 意味づけしたくてたまらない だらだら広がるタイムライン 噂だったり真実だったり 夢だったり嫉妬だったり ほんのいつものことなのに 傷つ…

なくなりっこないもん 消えたりしないもん 今はね 手放せるもん なかったことにできるもん 今にもね 覚えてられるもん 泣いたりしないもん 今だけね

カタカナにしただけなのに

カタカナで書いただけなのに ちょっと嘘つきになった カタカナを探しただけなのに ちょっと無口になった カタカナにしただけなのに ちょっとよそよそしくなった あたしの名字と あたしの名前

恐ろしく困難なこと

繋がっていることは 夢と真実の境界線だとすれば ほんとのほんとに孤独になることの なんと恐ろしく困難なことか 繋がっていなくても 夢と真実の境界線に紛れ込めば ほんとのほんとに仲間でいることの なんと恐ろしく困難なことか 無口な愚者は隠れ蓑 夢と真…

自分より1ミリでも不幸なヤツを

自分より1ミリでも不幸なヤツを ネットで見つけてほくそ笑む そんなことくりかえしながら おはようを交わす 自分より1ミリでも幸せなやつを ネットで 見つけてうらやんでる そんなことくりかえしながら 今日もかみさまが行方不明だよと 冗談交わす ヨノナカ…