せっかく持ち合わせているのに
使い道がないのはつまんない
彼女はそう呟くと
13個目のアカウントを開いた
誰かとつながるわけでなく
誰かを探すわけでもなく
裏アカ欲求もまるでなかったが
もしものために
なんとなくこさえているうちに
13個になっていた
ヘッダーもプロフも設定せず
ふわふわ漂う空(から)アカを
動かしてみるのもまた一興
では手始めに
“報告する”のページを開いて
事細かに英文で理由を記述し
然るべくところへ届けでる
そのまましばらく待っていると
すっかり忘れた頃
ご報告のあったアカウントを凍結しました
そんな便りが
うやうやしく届けられるという
彼女から直接聞いたわけじゃなく
(なんといっても誰とも繋がっていない)
彼女がやったという証拠もなく
(なんといっても噂に過ぎない)
そんなに簡単な話でもなく
(なんといってもやったことがない)
そもそも
13個も使い分けられるのだろうか
(なんといっても…え、そこ?)
まあつまり
世界は不思議に満ちていて
善意と悪意だけでは語れない
そういうことではないのかな