“閉じるだけでいいのにね”
わけ知り顔で囁いた
その画面を
その瞳を
その扉を
その心を
“閉ざすだけですむのにね”
わけ知り顔で微笑んだ
その画面を
その瞳を
その扉を
その心を
誰かの吐き捨てた言霊も
誰かが投げつけた嫉妬も
時も空間も越えるから
わざわざ拾いにいかずとも
いずれ
違う顔で還っていくのだ
持ち主のところへ
そう
世界につながっていることは
世界から見られていること
ただし
広い意味での世界なのやら
狭い意味での世界なのやら
世界中に隠された箱の中
善意も悪意も
熟成し続けている