猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2016-01-01から1年間の記事一覧

サラダ

レタスのフリルも愛らしい サラダビーンズたっぷり盛って ブラックオリーブちょっと添え オニオン刻んで パセリをぱらり ドレッシングはノン・オイル あなたの嫌いなヘルシー・サラダ 嫉妬と一緒にいただきます

ごろごろ

氷がごろごろ出来上がる 頭の中 手のひら 秘密のSNS 氷がごろごろ積み上がる 足元の そのまだ奥深く 隠した日記帳 氷がごろごろ流れ出す 罪深く 慎みをもって 記憶の片隅

猫の目変わる目

猫の目変わる目 くりくりお目々 遊んで眠って食べたらこっくり 猫の目変わる目 キラキラお目々 またたびほろ酔い思わずがぶり 猫の目変わる目 くるくるお目々 雨の日うとうと膝の上

わたしが食べた街の名を

わたしが食べた街の名を 今では誰もが口にする 秘密だけれど隠しちゃいけない だいじなだいじな街の名だから わたしが食べた街の名を 今では誰もがためらって 忘れたいけど隠しきれない 悲しい悲しい街の名だから わたしが食べた街の名を 今なお誰もが噂する…

摩訶不思議

摩訶不思議なる 街の人は 曲がり角など気に留めず 下り坂など気にもせず 飛び越え乗り越えまた消える 摩訶不思議なる 街に住み 四つ角などもしたり顔 西も東もなくなって 飾って繕いまた消える

あなたに触れた

あなたに触れた 心のままに はじける砂音 涙が熱い 透けるような肌 強い眼差し あなたに触れた 記憶のうちに 焼ける西風 涙が青い 抱きしめた心 遠いからだ

ぴりびわり そわそろり

ぬめぬめ生きて ぬるぬる遊ぶ おめおめ帰れば 海も空も青い 用心深くぴりびわり 誰にも言わずにそわそろり ぬめぬめ歌って ぬるぬる笑う おめおめ歩けば 水も風も甘い あのこに会ったらぴりびわり なんにも言えずにそわそろり 月にも頼れずぴりびわり 陽にも…

真夜中のドライブ

走行音 遠雷にも似てきみ想ふ

線路が軋むたびに 忘れられるなら 何度でも旅に出る 置きっぱなしのうわさと お手軽な友情は 今も健在だろうか 心が軋むたびに 逃れられるなら 何度でも夢を見る かぶり続けた仮面と お手軽な友情は まだ健在だろうか

シェフ

あなたはわたしを あらわにすると 優しく手を添え 細かく細かく刻むのです それから躊躇もせず 業火になげこむのです ひとつになれる歓喜と熱で 打ち震えるのを あなたは冷たく眺めていました やがて消えてしまうのに あなたの中で

夏雲が浮き足立つ頃 少年は夢を覗き込む 煮えたぎる鍋の中 何もかも生煮えで 悲しくなって目がさめた 夏雲が浮き足立つ頃 少年は夢の淵に触れる かき混ぜられる鍋の中 何もかもとろけすぎ 可笑しくなって目がさめた 夏雲が浮き足立つ頃 少年は夢を喰む この…

ふわふわ

ふわふわ猫の子 足首そろり むにゃむにゃごろごろ 朝はまだこない すやすや猫の子 膝の裏ぴたり にゃあにゃあごろごろ 夢の中でさんぽ ふわふわ猫の子 お腹にころり ミィミィすやすや しっぽで返事 ふわふわ猫の子 いつかの夕べ 虹の橋 雲の上 きっとまた会…

台風

三角に 空を切りとる野分けの音(ね)

秋ひとつ

洗面台 くつくつ揺らぐ夕陽かな

鼻歌

乱れ調子の鼻歌も きみにかかれば たちまち極上の調べになる ちょっとふくれて きみは調子の外れた鼻歌を奏でる 僕たちはいつまでも笑ってられた 乱れ調子の鼻歌 もっとリクエストしておけばよかったね あの夏で聞き納めだなんて 思わなかったから きみも 僕…

最期の日まで

その日まで 一緒にいる ずっとずっと そばにいる じれったくて 大嫌いになって 時々やめたくなったり 離れたくなったりする だけど その日まで そばにいる ずっとずっと 一緒にいる 一番近くて 一番遠くて わかりあえない 私と私 だから その日まで ずっとそ…

交響曲

森の子 空の子 命が満ちて 世界の切れ端 気取って握れば 音符も休符もどんどん右へ 体を巡る恋より熱く 風と光が吹き抜ける

豪雨

雨と 雨の 雨は 雨ぐるみの 雨あとを 雨から 雨へ

雨が降っている 大粒の雨が降っている あの月からも この星からも 滝のように流れ出して 息苦しいほどの 雨が踊っている

雪が降った

雪が降った いてもたってもいられないほどに 真っ白な雪が降った 最高気温は今日も更新され 不機嫌の飼いならし方にも 慣れたのに 雪が降った いてもたってもいられないほどに 真っ白な雪が降った まるで 蝉時雨のように 雪が降った

凍結

置き去りにされても 忘れ去られても 消える定めでも 絵に宿り フィルムに宿り 映像に宿り ひとときの死を忘れ あなたはそこにいる

遠泳

過去を全否定するのか 未来を全否定するのか 噛み砕いて無理やり飲み込んで それからでも遅くはないのだと 夢を喰われ続けながらも 泳ぎ続けている

眠くてたまらないから 優しくなれない 眠くてたまらないから 優しくされたい 眠くてたまらないから 君に会いたい 眠くてたまらないのに 君に触れていたい

私の中で

のたうちまわる言霊が苦しくて 壊れた日々さえ愛おしくて もっと触れていたくて 少女は駄々をこねている 今日も明日も

気がついたのは あの日と違って 右肩が濡れてなかったから 気がついたのは あの日と同じ帰り道 気がつかなかった 離れ始めた二人の気持ち 揺れていた君の心

きみがいなくて

見上げるソラに 前みたいに きみがいなくて 宇宙は僕からはみだして しまうんだ 見上げるソラは いつもみたいに赤く燃えて 宇宙はいつのまにか 僕から過ぎ去っていくんだ 見上げるソラが ほんとうにきれいだと 泣きじゃくっても 宇宙は僕からはみだしてしま…

たちどまれども

たちどまれども たちどまれども 深い彩(いろどり) 熱のあと

今だけ

お願いです 今だけ急ブレーキを かけてください 涙と恋の始まりに

約束したから

時間軸からはみだしてふたりだけで会いましょう初めからそうだったように

そこだけではなく

そこだけではなく それだけではなく 空だけではなく 外だけではなく 削ぐだけではなく 層だけでもなく 奏だけではなく 総だけではない そんな日