猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

私と朝と晩秋と

朝が私を締め出そうとしている。

 

いつもと変わらない通学路なのに、寝坊して10分遅い出発となった。それだけで、日常光景は見慣れないものに変容する。

 

学校に通っていた日々からはすでに遠ざかり、今日も今日とて急用があるわけでもない。

 

いつもの光の角度より緩やかで、人らはその中を急ぎ移動している。

晩秋が人らを包み込むのに、私だけが締め出される。

 

忘れ物でもしたのか、半べそでランドセルを揺らしながら走る子どもとすれ違う。

彼(または彼女)は、朝の中にいる。うらやましいことである。

 

小さな用事をいつものように済ませ、来た道を戻る。

ギクシャクしていた、私と朝と晩秋との間に少しだけ仲間意識が生まれたようだ。

 

朝も晩秋も、ほんの少し寝坊したのだから。