夏至をすぎて
風向こうの岬にも
ようやく静かな雨が降り注ぐ
いつもの道を行けばほどなく
猫の詩人屋さんの住処が見えてくる
が
今日は久しぶりに毛糸屋さんを訪ねることにする
ひとのようにすっくと立ち
ひとの言葉を話し
ひとよりもひとのことを知り
歳を重ねることを忘れてしまった
猫そっくりの毛糸屋の店主
マタタビを持ってきてくださるのなら
お酒に漬け込んだのを
ひとがそうするように
薄くスライスして食べるのかと思っていたら
丸かじりに決まっているではないですか😈😈😈
そんなメールが返ってきた
元々は旅をする猫であったのだ
詩人屋さんほどではないが
多少は豪快な部分も持ち合わせているようである
それでは
風が戻って最初の静かな雨が落ちた日に
会いましょう
どちらからともなく
そんな話になり
僕は毛糸屋さんに会いにいくところだ
マタタビ酒の中には
ゴロンゴロンと大きめの実
雨よけの服に身を包み
静かな雨の中を歩いている