猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

寂しい二人

悲しくならなかった日を探すのは

簡単ではありません

心が悲しみに傾けば傾くほど

匂いも景色も鮮明になりすぎて

ほんの些細なぬくもりや

ほんの小さな幸せを

塗りつぶしてしまうからです

 

命の意味を

愛の意味を

見失うこともあって

そんなことばかりではないと

体の隅ではわかっていても

砂のように自分が壊れ続けている音が

きこえるのです

 

寂しくなかった日を探すのは

簡単ではありません

自分の弱さもずるさも

わかりすぎるほどわかった上で

足りない、足りないと

なじっていました

 

あなたのそばでずっと感じていたのは

そんなことばかりでした

互いに溺れすぎていて

互いに平行すぎて

二人はただ寂しかったのです