猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ニセモノ詐欺師

魚も空を飛ぶんだねえ なにトビウオたちのことではないよ ほらきみの知ってるあの子やあの子海は息苦しくて我慢できないから飛ぶんだよ この星の表面積は何しろ 99パーセントが海で そこに暮らす命ときたら ゆうに満杯を超えているそうじゃないか 魚も空を飛…

偽物ミニマリスト-3

浴槽をカラカラに乾かし キッチンの水気を拭き上げ 洗面所はからっぽ 冷蔵庫には水すらなくて 胃の中にも何にもなくて そのうち 目玉も記憶も夢も 片付けてしまえばいいのだと 不条理に恋い焦がれる 空も風も太陽もなくなれば 星も見事に片付くだろうが それ…

チョコレート色の夕闇

空落ちがすっかり落ち着いたので 猫そっくりの毛糸屋さんの店主は大忙しです ちょうど2の月が始まったばかり あの季節が近づいてきたのですから 一時期落ちて冷えた空のかけらに 心を奪われる人らはあとをたたず いろいろと困ったことになっていたのですが …

偽物ミニマリスト-2

これは余計だ そう感じるたび手放すことに決めて 大きな大きな袋を用意した まずは風 もう磨くのにくたびれてしまった 季節の存在を記憶しているものも 幸い見当たらないようだ 捨ててしまおう お次は空 自分らが住めるほど残しておけばよかろう 見上げるも…

偽物ミニマリスト-1

深夜に立ち上げたPC画面みたいに 一日は始まり 目覚まし時計のベルも スケジュール管理も 好きな音楽を聴くのも 代価を支払うのも 画面ひとつで事足りるから ぼくは家具と家電をあらかた手放し 頓狂な服を手放し AIが寄り添ってくれるから 淡いのも濃いのも…

点滅

点滅するのは 信号だけだと思っていたのに 心が疼くのも点滅してるからだと あなたは何気なく言った なんでもない風に泣いたり 何食わぬ顔して傷つけたり そんなことを繰り返して ぼくらは大人になっていく 自分の傷には敏感なくせして 誰かの傷跡すら目に入…