猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

偽物ミニマリスト-2

これは余計だ

そう感じるたび手放すことに決めて

大きな大きな袋を用意した

 

まずは風

もう磨くのにくたびれてしまった

季節の存在を記憶しているものも

幸い見当たらないようだ

捨ててしまおう

 

お次は空

自分らが住めるほど残しておけばよかろう

見上げるものも祈るものも

幸い見当たらないようだ

捨ててしまおう

 

そういえば

すっかり汚れてしまった海や川も

我らには必要ないもの

水を住処とする命さえ無事であれば

それでよかろう

 

なれば

いっそのこと小さな青い星ごと

袋に片付けてしまえば

 

女がニヤリと笑ったその時

「おかーさん、まだお仕事?ご飯にしよ」

可愛らしい声がした