これは余計だ
そう感じるたび手放すことに決めて
大きな大きな袋を用意した
まずは風
もう磨くのにくたびれてしまった
季節の存在を記憶しているものも
幸い見当たらないようだ
捨ててしまおう
お次は空
自分らが住めるほど残しておけばよかろう
見上げるものも祈るものも
幸い見当たらないようだ
捨ててしまおう
そういえば
すっかり汚れてしまった海や川も
我らには必要ないもの
水を住処とする命さえ無事であれば
それでよかろう
なれば
いっそのこと小さな青い星ごと
袋に片付けてしまえば
女がニヤリと笑ったその時
「おかーさん、まだお仕事?ご飯にしよ」
可愛らしい声がした