猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

チョコレート色の夕闇

空落ちがすっかり落ち着いたので

猫そっくりの毛糸屋さんの店主は大忙しです

ちょうど2の月が始まったばかり

あの季節が近づいてきたのですから

 

一時期落ちて冷えた空のかけらに

心を奪われる人らはあとをたたず

いろいろと困ったことになっていたのですが

それはまたいつかのお話

 

さて前にも書きましたように

遠い遠い小さな青い星では

ちょうど今頃の季節

チョコレートやプレゼントを交換するという

なにやら楽しげな習慣があるらしく

毛糸屋さんも仲間の猫から教わって以来

2の月にはVALENTINEのコーナーを

お店の片隅にひっそり作ることにしています

 

そういえば空落ちが起きる少し前のこと

夕焼けがチョコレートの色に染まったことがありました

雲予報士のご夫婦に訊いても

そのまた娘さんに訊いても

いまだによくわからないらしく

調査中という答えが異口同音に返ってきただけでした

 

おしまいの日は必ず訪れる

どんな命にもどんな星にも

早いか遅いかだけなのです

 だからこそ

ふだんごとを大事に大事に生きたいと

猫そっくりの店主は空を見上げました

 

トーザ・カロット岬の毛糸屋さんは

今日も歌う毛糸を買い求める人や猫で

にぎわっています