学生時代、熱でどうにも起きあがれないことがあった。
大抵は風邪かお腹の不調。当然「欠席」ということになる。二日もじっとしていれば浮遊感は抜けずとも、退屈を味わうくらいの余裕は出るというものだ。
枕元のラジオに手を伸ばす。
午前中とあって、なかなか若者向けの番組に出会わない。今のように、全国のラジオを好きなように聴けるわけでもない。
それでも、たまにヒットチャート上位の曲がかかって、心が躍る。
昔の黒電話の呼び出し音から始まる、相談番組があった。
リスナーとスタジオを電話回線でつなぎ、日替わりの「先生」がお悩み相談に回答する。
その番組が、苦手でならなかった。
自分の心にも、悩みやら人間関係の重さがしみわたり、憂鬱になる。
当時は似たような時間帯に、各局で相談番組を放送していたらしく、チューニングを変えても、誰かが誰かの相談にのっているものだから、早く終わらないだろうかなどと思っていた。
我ながら失礼な学生である💧
今、相談番組は聴かないが、意外なことに大好きな相談コーナーをひとつだけ見つけた。
学生時代とは違って心に程よく染み渡り、自分の至らなさや人生の重さとも、改めて向き合わせてもらえる。
黒電話の呼び出し音ではなく、軽快なオリジナル曲で始まるそのコーナーは、ドラマでも忠実に描かれていた。
こうして、ますますラジオ好きが高じていくのだ。