猫街暮らしの詩人さん

猫街に暮らす詩人さんのひとりごと

リンゴ

そんなの

どっちでもいいんじゃないっすか

 

こともなげに後輩は言ってのける

 

リンゴを俺がかじる

リンゴはやがて俺になる

リンゴは気を許して俺に食われたのか

リンゴに俺が気を許したのか

どっちでもいいっしょ

 

仕事仲間のわたしのことは

どう思っているのか

訊くはいっとき

訊かずは安寧

息苦しくなる前に

なるほどねえとため息ついた

 

リンゴをわたしもかじる

リンゴはやがてわたしになる

リンゴは気を許してわたしに食べられたのか

リンゴにわたしが気を許したのか

どっちでもいいことだ

 

きみへの想いに比べたら

どっちでもいいことだ